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実技試験編
09 誰も傷つけない事実を造る男
しおりを挟む「ルーク様は、俺が愚かにもお前に魔石を仕込んだ事を知るなり、お前達を助けに走り出したのだ」
「なんだって……?」
「そんなルーク先輩……!」
正義感の強いレインはモグくんがカイリに魔石を仕込んだという部分で怒りを露わにし、カイリは俺がカイリ達を助けに走り出したの部分しか耳に入っていないのか感激した瞳で俺を見ている。そんな目で見るな。本気でお前達が心配で走り出したというよりかは、俺の命が危ぶまれていることに慌てて走り出しただけなのだ。
「……モグリソン、謝罪の気持ちがあるのであれば君はまずカイリに謝罪すべきだ」
「おっしゃるとおりです。カイリ・フェンディル、僕はまず魔獣寄せの石の効果を見誤っていた。そして君をただ周りから持て囃されいる調子に乗った恥知らずと決めつけ、懲らしめようとした結果ルーク様はじめ皆を危険にさらすこととなった。この事は学園長に自ら伝え、どんな罰も受ける所存だ。申し訳ない事をした、本当にすまない」
意図して生徒を危険にさらしたということを知られればただではすまない。
数々の悪事を行ったゲームのルーク・アルバンベルトが直ぐ処罰を受けなかったのは、あくまで公爵家であるからであって同じ貴族でもモグリソンでは光属性を持つ生徒を殺しかねない状況にしたと知られればどうなることか。
「先輩は、どうしたいですか」
「えっ」
モグリソンに掴みかかる先程までの雰囲気とは一変した落ち着いた様子で、カイリは振り返ると何故か俺に膝をついて丁寧に訊ねた。
「先輩は俺達を命がけで助けにきてくれました。先輩のおかげで俺とレインは目立った怪我もなく、大怪我を負ったのは先輩です。そして、モグリソン先輩はルーク先輩の知り合いだ。どうしたいかは、俺達は先輩の意思を尊重したいです」
きっと、カイリもモグリソンがこのまま辿るであろう行く末について察しているのだろう。
だから、俺が求める答えに委ねようとこうやってしてくれているのだ。もし、俺の判断に委ねてくれて、誰も傷つかない結果があるのであれば俺は――――
「……これはお前達が、彼を許してやってくれるのであればの話だ」
「はい」
「俺の傷は回復薬のおかげで大して残らないだろうし、偶々俺は森を通りかかって大型中型を討伐することになったが……うん、良い運動になった」
「ふふ、分かりました。偶々森の近くで鍛錬に励んでいた先輩は大型の呻き声に気づき俺達を助けに来て下さったんですもんね」
俺とカイリの中で俺達の中の一連の事件の事実はたった今、そういうことになった。
モグリソンは俺達のやり取りが終わり事を理解すると、膝から崩れるように地面に突っ伏し「ルーク様、カイリ・フェンディル、ありがとうございます」と泣きながら感謝していた。正義感の強いレインも彼女自身も巻き込まれた側であるというのに「……今回の事で死者も出ていないし、2人が決めたのなら」と寛大な彼女は渋々といった形ではあるが納得した様子をみせた。
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