【本編完結】エロゲーの悪役令息に転生したら主人公からの求愛が止まらない

はかまる

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ヒロイン分岐編

18 ルート分岐が訪れる男

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「やっと会えた。すみません、色々事情聞かれて拘束が長くて……あの!先輩の怪我は」
「カイリじゃないか先日はありがとう助かった。お前の活躍について学園中持ちきりだ。さぁ、俺の事はいいから皆にお前の武勇伝を聞かせてやるんだな。では」
「っ先輩――」


 俺はカイリ主人公から逃げるようにその場から立ち去った。





 ・

 ・

 ・

「わからん」

 ここ最近の俺の日課は自室にてこれまでのカイリの人間関係をもそもそと紙に書き込み、主人公のゲームの進捗具合を確認する事である。
 今日も今日とて主人公がどのヒロインのルートに進んでいるのかを考察して早二時間、一切の見当はついていない。
 本命候補は以前大きな好感度上昇イベントを無事クリアしたレインとモニカの二名だがどちらもあり得るしどちらも無いといったら無いだろう。
 本命ヒロインのうちの1人、レイン・ゴーティスはカイリへ恋情を抱いているというより、最近はカイリを渦巻く環境について妄想をする事が好きという特殊性癖の方向へ向かっている気がする。
 先日もちょうどレインが妄想小説を配っている現場を押さえる事に成功したところだ。

『レイン!!ついに捕らえたぞ、勝手に俺とカイリの仲良し小説を全校生徒に配っているだろう!!』
『こ、これは表現の自由です!!それに今は生身の実在する人物が登場する小説故に合言葉が分からない者には配布しないなどの配慮はしてます!!』
『ナマモノウェブ小説書くオタクみたいな配慮を今更しても無駄だ!!』
『う、うわぁぁぁ』

 所持していた俺とカイリについて好き勝手に書いた小説を押収した時は心底傷ついた顔をしていたのだが、風の噂(情報提供モグリソン)によるとまた懲りずに配布を再開しているようだ。ゲームで見ていた彼女のメンタルの強さをこんな形で再び痛感する事になるとは思いもしなかった。
 そんなわけでレインからのカイリへの想いについて可能性として低く思えるが、カイリからレインへの想いについては現時点不明のため有力候補としてまだ見ても良い人物だろう。

 モニカ・ラッセンテルについてだが、彼女の方がある意味で問題かもしれない。
 モニカは好感度上昇イベントをクリアしたにもかかわらず、あれからカイリと特段距離が縮まった様子がないのだ。

『こんにちは、カイリくん』
『やぁ、モニカ』

 主人公人間関係お絵描きと同様日課となりつつある、主人公動向ウォッチングで奴らの状況を確認しているがこの2人はあくまで挨拶をする程度だ。
 だが、現時点では好感度イベントをクリアした攻略対象である事に変わりは無い為、モニカの想いもカイリの想いも不明ではあるが有力なヒロイン候補といえるだろう。

 他のヒロイン達も続々とカイリに接触はしているみたいだが、大きな好感度上昇イベントなどは特に彼女らに起こる事はなくあくまで有力なのはレインとモニカのみだ。ハーレムを築く事となれば彼女らのどちらかが中心になる事だろう。
 主人公の恋愛模様によって、俺の今後の対策も変わる。現状、分け隔て無いということは、いつどのタイミングで皆が好き=ハーレムエンド直行になりかねないのだ。

 主人公が幸せになればなるほど、ハーレムに近づけば近づくほど俺の死亡フラグは立ち、魔獣に食い殺される未来が笑顔で走ってやってくる。これからもどうにか起きた事案に対して関わらない・濡れ衣着させられないを徹底するしか他ない。

 こんなヒロインと主人公の好感度状況など全く予想がつかない状態である種絶望的ではあるが、そんな俺にとって近々大変ありがたいイベントがやってくるのだ。
 俺が現在通っているティーンポゥ学園には貴族の子息が多く通う事もあり、長期休みに入る前夜は社交の練習行事として学期末パーティという、政治や家柄等をバチバチに考慮した社交界に比べあくまでライトな全校生徒対象とした交流会が開催される。

 この催しへの生徒の参加は任意であるがほぼ全生徒が出席し、生徒同士交友を深めたり、婚約者あるいは意中の相手が居ればダンスへ誘いだし学生時代の想い出作りに励んだりと学生達にとって大イベントである。

 つまりは原作ゲームにとって、勿論この行事はヒロインの好感度上昇イベントである。
 しかもただの好感度イベントではなくこのパーティは原作ストーリーとしては折り返し地点にあり、このダンスでは主人公への好感度が一番高いヒロインをダンスに誘えて、共にダンスを踊る演出があり以降はそのヒロイン中心のルートが確定となる。

 ダンスの際、カイリが誰を誘うのかここを注目していれば今後の自分の身の振り方が分かるということだ。
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