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学園祭準備編
37 きもちいい男*
しおりを挟む指先がベルトを外すと、冷たい空気が下腹部に触れて一瞬体が震える。
ズボンが少し下げられ、下着越しにカイリの指が俺の陰茎の輪郭をなぞる。焦らすような軽いタッチに、下半身が勝手に反応してしまい、恥ずかしさで顔が熱くなる。
「っ、くそ……、ぅんっ……」
文句を言おうとしたが、掠れた吐息しか出ず、余計に情けない。カイリは俺を見て、口角をわずかに上げて満足そうに笑う。その表情が色っぽく見えて、俺の心臓をさらに煽った。
「先輩、声我慢しないで」
カイリの手が下着の上から陰茎を軽く握り、親指で先端をゆっくり擦る。
布越しでもその刺激は鋭く、腰を引こうとするが、カイリのもう片方の手が腰を押さえ込んで逃がさない。指が下着の縁に引っかかり、するりと下ろすと、生の肌に触れるカイリの指先が熱くてたまらない。陰茎の根元を軽く押さえられ、じわっとした感覚が下腹部に広がる。
「ぁあ、ん」
我慢してた声が漏れ、慌てて口を押さえるが、カイリがその手を優しく下ろさせ、陰茎の側面を指でなぞり始めた。ゆっくり上下に動く指先に熱が溜まっていく。
「せんぱいのここ、あつい」
「や、め……ぁっ」
「ふふ、かわいい」
「ん、――ッ」
快感が下腹部を突き抜け、陰茎がトクトクと脈を打つ。
カイリの指が最後の一押しをして、俺は短く震えながらあっさりとイってしまった。息が乱れ、頭が真っ白になる中、カイリが耳元で低く囁く。
「きもちよかった?」
敬語も抜けた甘い声の問いに、俺は短くコクッと頷くしかできなかった。
果てた瞬間、解放感の次にやってくるのはどっとした疲労感だ。静かな部屋にはしばらくの間、俺の荒い息遣いだけが響く。
窓から差し込む月の光がカイリの顔を淡く照らし、目を細めて俺を見つめるその表情が穏やかで、さっきまでの熱っぽさが嘘みたいだ。
だが、ベッドのシーツに吐き出された己の欲と、下半身に残る熱と湿った感覚が現実を突きつけてくる。
「ルーク先輩?」
ベッドの端に腰掛けているカイリが、俺の顔を覗き込む。距離が近く、キスの余韻が唇に残ってるみたいで、目を合わせるのが気まずい。俺は視線を逸らし、乱れた制服を直そうとするが、指先が震えて上手く動かない。
「も、問題ない。ちょっと疲れただけ」
「俺、やりすぎちゃったかな。ごめんなさい」
「いや……別に、お前が悪いわけじゃない。俺が変な気分になってただけだし」
言葉を濁すと、カイリはホッとした様子を見せた。
「俺、副会長補佐なんで。どんなことでもルーク先輩のサポートをさせていただきますよ」
そのサポートとやらに性的なものまで組み込まれているのはやりすぎだと思うのだが、相変わらず善意100%の表情であるカイリにそう言い返すには、野暮というか、良くしてもらった俺としては気まずいものがある。
やっとの思いでズボンのベルトを締め終え、カイリの顔を見上げると、彼はまた瞳を細めて俺に微笑んだ。
「今日は疲れたと思いますし、練習はやめて、また今度にしましょうか」
「そ、うだな。そうしてもらえると助かる。今日は変なとこ、いっぱい見せた」
「いいえ、役得でしたので気にしないでください。嬉しかったです」
カイリも乱れた制服を整えると、部屋の入り口に向かう。
「また、明日」
カイリが扉を閉めて出て行ってからは、色々と限界であった為シーツを引き剥がすことが精一杯で着替えることもせずに俺はベッドに倒れ込んだ。
横になってはいるものの、ベッドに残る微かなカイリの匂いとさっきの出来事が頭を巡り、目を閉じても身体は疲れているはずなのに眠気は一向に来ない。
また明日……明日って、どうしたらいいんだ。学園祭の演技をするための経験と言ってエロいキスをして、それに反応した息子を懇切丁寧に抜いてもらった後輩と俺はどう接すればいいんだろう。
何故あんなことしてしまったのだろうか、というかカイリ慣れてなかったか?好きな人いるみたいだったからヒロインと既に色々やっているのだろうか。一体どのヒロインのルートに進んでいるのだろうか。今度は逃さず聞き出さなければ。
――気持ちよかった?
……キスって、気持ちいいんだなぁ。
「……ッ」
先程までの顔から火が出る程恥ずかしい出来事を思い出して、枕に顔を押し当てる。
俺はそこで声にならない悲鳴を上げながら、明日が来ないことを強く願った。
-学園祭準備編 終-
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