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学園祭編
38 ドギマギな男
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「ついに、この日がやってきたなルーク・アルバンベルト……!」
「本当に俺達頑張りましたよ、オーウェン会長……」
生徒会長とズタボロの状態で生徒会室の窓から覗く景色は、いつもの学園の雰囲気が一掃されていた光景だった。
青々とした晴天の下で、生徒たちは普段の制服に代わり、少し派手な刺繍の入った服や手作りの飾りをつけた帽子をかぶって歩き回っている。学園の門から校舎に向かっての道には木製の露店が立ち並び、焼き菓子の甘い香りが窓越しからでも感じられる。
他にも学園に通う生徒の家族、昔この学園に通った卒業生と思しき人々が、校舎を見上げながら笑い声を交わしている姿が見える。
本日は、ティーンポゥ学園の学園祭開催日である。
今日まで本当に大変だった。俺がプレイしていた時の主人公は学園祭準備まで楽しそうでヒロインとイチャイチャしているだけで、あっという間に学園祭当日がきたというのに、現実の俺達ときたらあちらこちらへ毎日走り回り、休む間もない日々が過ぎていくだけであった。イチャイチャなんてのとはまったく無縁の日々である。……、イチャ、イチャ……。
――気持ちよかった?
……脳裏に、甘い男の声が過ぎるがあれは違う。あれは、学園祭の芝居のためのものであって断じてイチャイチャとかそういうものではない。あれを分類するとすれば、事故だ。色々多感で疲労により思考停止した男子がたまたま2人揃ってしまったが故に起こった事故である。
あの夜以降、カイリと2人きりになることは無かった。
生徒会の仕事がさらに忙しくなり、また逆に昼間の授業時間が減って生徒の学園祭準備にあてるための時間が増えた事でクラスの皆と練習ができるようになった。そうなるとカイリと俺だけで過ごす機会も自然となくなっていった。
カイリと2人きりになれば、なんだかまた妙な雰囲気になりそうな気がしていたので関わる機会が減った事はいいのだが、そうなると新たなカイリとの思い出が更新されない事で、逆にあの日の出来事が鮮明に色濃く頭にこびりついてしまった。
時折感じるカイリからの視線を、生徒会の仕事中は無駄に意識してしまって気が散ってしかたがない。男同士とはいえ、童貞が気軽に他者とキスをするものではないと思う。
開催日当日である今日も生徒会としての仕事はあったが、カイリは給仕喫茶の準備があるといって今朝は参加しなかった。そのせいか、今日の俺は仕事におけるパフォーマンス力は向上していた。行動スピードがいつもの1.5倍はあった。もはやカイリの存在が俺の中でデバフである。
「今日はこれからクラス演劇があるのだろう。ギリギリまで助かったよ。他は俺達だけで行うから学園祭は楽しみつつ自分の役目に徹してくれ」
オーウェンは俺を労うと、ぽんっと肩を叩く。他の周りの生徒会の皆も「お疲れ様」「主演頑張ってね」と俺にむけた激励の拍手を送った。
生徒会長はとても厄介で、迷惑な人であるが別に嫌いでは無かった。生徒会の仕事は忙しかったが、学園祭までの準備期間は充実していて、自分が気を緩めたら死ぬ世界にいることを時々忘れるくらいだった。きっと、青春って今日までの日々の事を言うのだろうなとすら思った。
「俺の方こそ、楽しかったです。ありがとうございま、」
「また後日改めて生徒会長の引き継ぎについて話すから頼んだぞ~」
「あーとつぜんなにも聞こえなくなったそれではー!!」
だが、青春を送らせて貰った感謝と、生徒会長後任を引き受けるのはまた別の話である。
俺は逃げるように生徒会室を飛び出して、自分のクラスのある校舎へと急いで向かった。
***
「昨日最終仕上げが終わった所なのですが本当にお似合いですわ!」
「き、綺麗すぎますルーク様、これは国一番の画家を呼ぶべき案件……誰か今すぐここに!画家を!」
「騒ぐなモグリソン」
「本当に俺達頑張りましたよ、オーウェン会長……」
生徒会長とズタボロの状態で生徒会室の窓から覗く景色は、いつもの学園の雰囲気が一掃されていた光景だった。
青々とした晴天の下で、生徒たちは普段の制服に代わり、少し派手な刺繍の入った服や手作りの飾りをつけた帽子をかぶって歩き回っている。学園の門から校舎に向かっての道には木製の露店が立ち並び、焼き菓子の甘い香りが窓越しからでも感じられる。
他にも学園に通う生徒の家族、昔この学園に通った卒業生と思しき人々が、校舎を見上げながら笑い声を交わしている姿が見える。
本日は、ティーンポゥ学園の学園祭開催日である。
今日まで本当に大変だった。俺がプレイしていた時の主人公は学園祭準備まで楽しそうでヒロインとイチャイチャしているだけで、あっという間に学園祭当日がきたというのに、現実の俺達ときたらあちらこちらへ毎日走り回り、休む間もない日々が過ぎていくだけであった。イチャイチャなんてのとはまったく無縁の日々である。……、イチャ、イチャ……。
――気持ちよかった?
……脳裏に、甘い男の声が過ぎるがあれは違う。あれは、学園祭の芝居のためのものであって断じてイチャイチャとかそういうものではない。あれを分類するとすれば、事故だ。色々多感で疲労により思考停止した男子がたまたま2人揃ってしまったが故に起こった事故である。
あの夜以降、カイリと2人きりになることは無かった。
生徒会の仕事がさらに忙しくなり、また逆に昼間の授業時間が減って生徒の学園祭準備にあてるための時間が増えた事でクラスの皆と練習ができるようになった。そうなるとカイリと俺だけで過ごす機会も自然となくなっていった。
カイリと2人きりになれば、なんだかまた妙な雰囲気になりそうな気がしていたので関わる機会が減った事はいいのだが、そうなると新たなカイリとの思い出が更新されない事で、逆にあの日の出来事が鮮明に色濃く頭にこびりついてしまった。
時折感じるカイリからの視線を、生徒会の仕事中は無駄に意識してしまって気が散ってしかたがない。男同士とはいえ、童貞が気軽に他者とキスをするものではないと思う。
開催日当日である今日も生徒会としての仕事はあったが、カイリは給仕喫茶の準備があるといって今朝は参加しなかった。そのせいか、今日の俺は仕事におけるパフォーマンス力は向上していた。行動スピードがいつもの1.5倍はあった。もはやカイリの存在が俺の中でデバフである。
「今日はこれからクラス演劇があるのだろう。ギリギリまで助かったよ。他は俺達だけで行うから学園祭は楽しみつつ自分の役目に徹してくれ」
オーウェンは俺を労うと、ぽんっと肩を叩く。他の周りの生徒会の皆も「お疲れ様」「主演頑張ってね」と俺にむけた激励の拍手を送った。
生徒会長はとても厄介で、迷惑な人であるが別に嫌いでは無かった。生徒会の仕事は忙しかったが、学園祭までの準備期間は充実していて、自分が気を緩めたら死ぬ世界にいることを時々忘れるくらいだった。きっと、青春って今日までの日々の事を言うのだろうなとすら思った。
「俺の方こそ、楽しかったです。ありがとうございま、」
「また後日改めて生徒会長の引き継ぎについて話すから頼んだぞ~」
「あーとつぜんなにも聞こえなくなったそれではー!!」
だが、青春を送らせて貰った感謝と、生徒会長後任を引き受けるのはまた別の話である。
俺は逃げるように生徒会室を飛び出して、自分のクラスのある校舎へと急いで向かった。
***
「昨日最終仕上げが終わった所なのですが本当にお似合いですわ!」
「き、綺麗すぎますルーク様、これは国一番の画家を呼ぶべき案件……誰か今すぐここに!画家を!」
「騒ぐなモグリソン」
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