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設立編
—第13章:天使化
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案内に従い、街を駆け抜けていく。
住民たちが逃げてくる方向に向かって走ればいいだけなので、場所の特定は容易だった。案内してくれた住民に避難するよう伝えると、リオを担ぎ、さらにスピードを上げて進んでいく。
走りながら周囲を見渡すと、どこか見覚えのある風景が目に入った。この道はテクノバーグ家へと続く道だ。嫌な予感がしてきた矢先、とうとう悪魔たちと出くわす。
テクノバーグ家が襲われているわけではなかったが、かなり近い場所にある噴水の広場で、悪魔たちと対峙している者たちが見えた。
「レオン!」
「ヴェルヴェットか!」
そこにはテクノバーグ家の親衛騎士長レオンと、彼の部下たち、そして傭兵たちがいた。本来、彼らはテクノバーグ家を守護する親衛騎士たちだが、騎士というのは主君のみならず民を守ることもその務めだ。テクノバーグもまた民から信頼の厚い大貴族であり、レオンたちには街の住民を守るよう命令が下されていた。
少し前、レオンは街の住民が襲われているとの知らせを受けた。ヴェルヴェット(マリア)に諭され、騎士としての義務を果たそうとするが、どうしてもアナスタシアのことが脳裏をよぎり、一歩踏み出せずにいた。そんな彼の前にアナスタシアが現れ、強い口調で命令した。
「レオン!街の住民を守るのです。それが騎士としての務め!本懐です!」
その言葉を聞いたレオンは意を決し、アナスタシアに跪いて必ず成し遂げると誓い、悪魔がいる噴水広場へと向かった。
出発前には、アナスタシアたちをなるべく窓のない安全な部屋に避難させ、厳重に警護することも確認する。悪魔の位置はすぐそこだ。防御さえ固めていれば簡単には突破されないはずだと自分に言い聞かせ、馬に乗って広場に急行したのだ。
「一匹残らず殲滅するぞ!」
レオンがそう叫び、目の前の悪魔に切りかかっていく。いったん刃を交えたことがあるため、レオンの実力はわかっている。これなら周りも安心だ。
しかし、
「敵が多い…住人もまだ取り残されている」
近くの悪魔を次々と斬り伏せるが、この数では時間の問題で取り残された住民たちにも被害が出るだろう。広場の中央には女子供を含む住民が多数取り残されており、騎士たちが囲むように守っているが、それでも守り切るには多すぎる。
「おい、マリア!一気に殲滅する魔法はないのか?」
—あります、ただし…私の攻撃魔法は悪魔たちには無類の威力を発揮しますが、人間にも影響を与える可能性があります。
—カルマ値が低い人間には痺れや痛みが発生し、場合によっては死に至ることもあります。
森の入り口で騎士たちが死んだのはこの影響か。アナスタシアたちを殺そうとした悪意が彼らのカルマを下げ、即死したのだろう。傭兵ギルドで魔法を使おうとしたときはその場で殺意を持っている人がいるとは思えない、こらしめだけで済ませようとしただけだろうか?だが、今はそんなことを考えている暇はない。
「じゃあどうする?剣で一匹ずつ倒していくか?」
—住民たちの集団に入ってください。結界を張ります。
なるほど、結界なら攻撃ではないため、ダメージの心配はなさそうだ。騎士たちは必死に住民たちを守っているが、それも限界に近い。リオを担いで住民の元へと突撃する。
「おおおおお!」
—唱えてください、ホーリーシールドと
「ホーリーシールド!」
ヴェルヴェットは片手を天に掲げる。光のバリアが瞬く間に広がり、周囲の仲間たちを包み込む。その中にいた悪魔たちは一瞬で灰となり、さらに侵入してくる悪魔もまたバリアに触れるや否や灰と化す。
「すごい、これが結界の力か…」
結界の力を見て感嘆すると、囲んでいた悪魔のほとんどが瞬く間に消え去った。結界の内外にいる騎士や住民たち、傭兵たちもその光景をただ見つめている。
「天使…」
レオンが呟く。彼は以前、ヴェルヴェットに慰められたときの光景が思い出された。訓練中も度々ヴェルヴェットの姿が脳裏に浮かんでいたが、まるで女神のように思っていたあの女性の正体は…そう、女神ではなく天使だったのだ。
バリアに向かってきた悪魔たちも全て灰となって消え、あたりには静寂が戻る。ヴェルヴェットから生えた羽根がふよふよと風に揺れているだけだ。
「ヴェルヴェット…!」
振り返ると、リオが震える声で尋ねる。
「その羽根は一体…?」
「えっ?」
ヴェルヴェットは近くの池の反射に映る自分の姿を見つめる。そこには、背中から大きな羽根が生えた自分が映っていた。
「なんだこれ?え、一体なんなのこれ!」
焦る。あたしはただの人間のはずなのに、なぜ天使のような羽根が生えているのか全く理解できない。いつから生えているのか?傭兵ギルドにいたときは生えていなかったはずだ。だとしたら、ここに来てからか?一番可能性があるとすれば、結界を張った瞬間かもしれない。
考え込む間に結界が自然に消え、天使の羽も消えたようで、周囲からの反応が薄れたことからもそのことが察せられた。
これは一体どういうことかとマリアに聞こうとしたとき、目の端に屋根の上にいる悪魔が映る。
「くそ、まだいるぞ!」
ヴェルヴェットは叫ぶと、自らも屋根に登り、生き残った悪魔を追いかけていった。
住民たちが逃げてくる方向に向かって走ればいいだけなので、場所の特定は容易だった。案内してくれた住民に避難するよう伝えると、リオを担ぎ、さらにスピードを上げて進んでいく。
走りながら周囲を見渡すと、どこか見覚えのある風景が目に入った。この道はテクノバーグ家へと続く道だ。嫌な予感がしてきた矢先、とうとう悪魔たちと出くわす。
テクノバーグ家が襲われているわけではなかったが、かなり近い場所にある噴水の広場で、悪魔たちと対峙している者たちが見えた。
「レオン!」
「ヴェルヴェットか!」
そこにはテクノバーグ家の親衛騎士長レオンと、彼の部下たち、そして傭兵たちがいた。本来、彼らはテクノバーグ家を守護する親衛騎士たちだが、騎士というのは主君のみならず民を守ることもその務めだ。テクノバーグもまた民から信頼の厚い大貴族であり、レオンたちには街の住民を守るよう命令が下されていた。
少し前、レオンは街の住民が襲われているとの知らせを受けた。ヴェルヴェット(マリア)に諭され、騎士としての義務を果たそうとするが、どうしてもアナスタシアのことが脳裏をよぎり、一歩踏み出せずにいた。そんな彼の前にアナスタシアが現れ、強い口調で命令した。
「レオン!街の住民を守るのです。それが騎士としての務め!本懐です!」
その言葉を聞いたレオンは意を決し、アナスタシアに跪いて必ず成し遂げると誓い、悪魔がいる噴水広場へと向かった。
出発前には、アナスタシアたちをなるべく窓のない安全な部屋に避難させ、厳重に警護することも確認する。悪魔の位置はすぐそこだ。防御さえ固めていれば簡単には突破されないはずだと自分に言い聞かせ、馬に乗って広場に急行したのだ。
「一匹残らず殲滅するぞ!」
レオンがそう叫び、目の前の悪魔に切りかかっていく。いったん刃を交えたことがあるため、レオンの実力はわかっている。これなら周りも安心だ。
しかし、
「敵が多い…住人もまだ取り残されている」
近くの悪魔を次々と斬り伏せるが、この数では時間の問題で取り残された住民たちにも被害が出るだろう。広場の中央には女子供を含む住民が多数取り残されており、騎士たちが囲むように守っているが、それでも守り切るには多すぎる。
「おい、マリア!一気に殲滅する魔法はないのか?」
—あります、ただし…私の攻撃魔法は悪魔たちには無類の威力を発揮しますが、人間にも影響を与える可能性があります。
—カルマ値が低い人間には痺れや痛みが発生し、場合によっては死に至ることもあります。
森の入り口で騎士たちが死んだのはこの影響か。アナスタシアたちを殺そうとした悪意が彼らのカルマを下げ、即死したのだろう。傭兵ギルドで魔法を使おうとしたときはその場で殺意を持っている人がいるとは思えない、こらしめだけで済ませようとしただけだろうか?だが、今はそんなことを考えている暇はない。
「じゃあどうする?剣で一匹ずつ倒していくか?」
—住民たちの集団に入ってください。結界を張ります。
なるほど、結界なら攻撃ではないため、ダメージの心配はなさそうだ。騎士たちは必死に住民たちを守っているが、それも限界に近い。リオを担いで住民の元へと突撃する。
「おおおおお!」
—唱えてください、ホーリーシールドと
「ホーリーシールド!」
ヴェルヴェットは片手を天に掲げる。光のバリアが瞬く間に広がり、周囲の仲間たちを包み込む。その中にいた悪魔たちは一瞬で灰となり、さらに侵入してくる悪魔もまたバリアに触れるや否や灰と化す。
「すごい、これが結界の力か…」
結界の力を見て感嘆すると、囲んでいた悪魔のほとんどが瞬く間に消え去った。結界の内外にいる騎士や住民たち、傭兵たちもその光景をただ見つめている。
「天使…」
レオンが呟く。彼は以前、ヴェルヴェットに慰められたときの光景が思い出された。訓練中も度々ヴェルヴェットの姿が脳裏に浮かんでいたが、まるで女神のように思っていたあの女性の正体は…そう、女神ではなく天使だったのだ。
バリアに向かってきた悪魔たちも全て灰となって消え、あたりには静寂が戻る。ヴェルヴェットから生えた羽根がふよふよと風に揺れているだけだ。
「ヴェルヴェット…!」
振り返ると、リオが震える声で尋ねる。
「その羽根は一体…?」
「えっ?」
ヴェルヴェットは近くの池の反射に映る自分の姿を見つめる。そこには、背中から大きな羽根が生えた自分が映っていた。
「なんだこれ?え、一体なんなのこれ!」
焦る。あたしはただの人間のはずなのに、なぜ天使のような羽根が生えているのか全く理解できない。いつから生えているのか?傭兵ギルドにいたときは生えていなかったはずだ。だとしたら、ここに来てからか?一番可能性があるとすれば、結界を張った瞬間かもしれない。
考え込む間に結界が自然に消え、天使の羽も消えたようで、周囲からの反応が薄れたことからもそのことが察せられた。
これは一体どういうことかとマリアに聞こうとしたとき、目の端に屋根の上にいる悪魔が映る。
「くそ、まだいるぞ!」
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