聖女は傭兵と融合して最強唯一の魔法剣士になって好き勝手に生きる

ブレイブ31

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設立編

—第21章:無職の変身

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「ぐへへへ」

にんまりと笑う。真面目な顔をしようとしても、どうしても笑ってしまう。先ほどから笑いを堪えていたせいか、余計に我慢ができなかった。

悪魔たちとの戦闘を終え、興奮も一段落した後、調査が行われた。調査の結果、特に何も発見されず、痕跡も不明とのことで骨折り損ということになった。だが、結果に関係なく報酬はもらえるため、気にもせずその報告を聞き流してそのまま王城に戻り、国王に謁見した。

報告の最中、仲間の一人が悪魔たちとの戦闘で自分が活躍したことを伝え、特別報奨金を追加でもらえることになったのだ。

部屋の端に置いてある、大きな袋に視線を移しながら、椅子に座って酒を飲む。

「はは、手で持ち上げるのも一苦労ね」

上機嫌に酒を煽る。その大きな袋には、1万ギア相当の硬貨が数え切れないほど詰まっている。これだけあればしばらく遊んで暮らせると、何を買おうかと考えを巡らせる。

「最高級のチーズもいいわね、この際武器も買い換えようか…高級ワインを片っ端から買うってのもいいなぁ」

明日やることを何度も妄想する。妄想だけで酒が進む。すると、アモンが近づいてくる気配を感じた。

「お、来たわね」

アモンのためにグラスに酒を注ぐ。今日は機嫌がいいのでこのくらいはやってやろう。

窓がガチャっと開き、アモンが入ってくる。

「よう…」

自分の機嫌とは真逆で、アモンは沈んだ声と疲れた顔で部屋に入ってきた。

「お疲れさん!まぁ座ってお酒でも飲みなよ。いやぁ細かいことはよくわからないけど、いい仕事してくれたようで」

そう言って、静かに座ったアモンの前に酒が入ったグラスを置く。

「ん?どうしたの?お手柄だったわよーとりあえず一杯飲んで、今日はおいしいご飯を食べよう。今日はあんた好きなもの、いっぱい揃えてるわよ」

俯きながらアモンが口を開く。

「俺、クビになっちゃった…」

「えっ、クビってどういうこと?ああ、中級悪魔のポジションを解かれたのか。まぁ、しょうがないでしょ。あたし逃げるの早すぎだろって思ったし。味方だったらそりゃ信頼を失うって!」

笑いながらアモンの肩をバンバン叩く。

「ま、いいじゃない。下級になっても、また1から一生懸命がんばれば…」

……あれ、それってもしかして中級悪魔ではなくなったってことは、つまりもうインチキが使えない…?

全然笑いごとじゃないことに気づき、絶望にうなだれる。ちらりとアモンがこちらを見て、静かな声で答える。

「いや、魔王国をクビだってさ」

「そっち!?…いや、どういうこと?魔王国をクビって、悪魔じゃなくなっちゃうの?」

「いや、そうはならないだろう。悪魔は悪魔だよ。ただ、魔王国に属してない悪魔なんていないからな…」

「今までいなかったの?」

「いや、いたにはいたさ。でもクビになるってことは殺されるってことだ。そういう意味では、クビになって生きている悪魔なんてのは普通いないな」

「じゃあなんであんたは生きてるの?」

察したようにアモンは答える。

「戻った先で聞き耳を立てて、俺の処分を先に知ったんだ。それで一目散に逃げてきたってわけさ」

そう言うと、アモンは目の前に置かれた酒のグラスを一気に飲み干した。

「どうしよう?」

「いや、知らないけど…」

本当にそんなこと言われても知らない。悪魔が追放された場合の生き方なんて、どの書物にも載っていないだろう。

「ねぇ、マリア、何かいい手はない?殺す以外で」

アモンは嫌そうな顔をしつつヴェルヴェットを見た。

—そんなこと急に言われましても…殺す以外の答えって難しいです。

「なんか言ってるのか?」

アモンが尋ねてくる。

「殺せばいいじゃないかってさ」

そう言って酒を飲むと、アモンも「ケッ」とつまらなそうに酒をつぎ、2杯目を飲む。

「あ、そうだ」

「ん、なんか思いついたの?」

「俺、魔王国から逃げるときに変身して逃げてきたんだ。人間にも変身しようと思えばできるんだが、人間に変身して隠れて暮らすってのはどうだ?」

「変身してバレないの?」

「人間にはまずバレないな。聖女のような位の高いやつにはバレるだろうが、それと悪魔には結構バレる。集中してじっと見られると多分バレるが、アモンだってことは変身を解かない限りわからない。…ただ、口調でバレる可能性はある」

「ふ~ん」

なんとなく聞きながらあまり興味なさそうに酒を飲む。もうインチキできないし、アモンが変身して住んだところで旨みがない。

ふとマリアの「殺す以外思いつかない」というセリフが脳裏をよぎる。さすがに部屋で一緒に酒や飯を共にしてきた相手を、旨みがないからといって殺すのはあまりにも薄情すぎる気がする。

などと考えているうちに、そもそもの原因が悪魔たちを殲滅した自分にあることを思い出す。うん、やっぱりなんとか助けてやろう。

「とりあえず変身してみてよ」

「よし、見てろよ」

アモンが立ち上がり、自分の前で全身に力を込めていく。

その姿から伸びる髪が変化し始めた、銀色の髪が生え揃っていく。光が反射し、銀のように輝く長い髪がゆらりと風に揺れる。その髪は肩にかかり、完璧なまでに整えられたかのようだ。

顔立ちが変わっていく。シャープな顎、鼻筋の通った端正な顔立ちが露わになり、その瞳は赤く輝く。鋭い眼差しで睨みつけるその姿は、とても魅力的な目を引かれるほどの魅力を放っていた。

身体も変わっていく、たくましい体躯が現れ、筋肉の一つひとつが緻密に形作られた。そこにはまさに何年も鍛え上げ、肥大した筋肉を極限まで凝縮して細め、完全に洗練された肉体だった。

驚いているこちらの様子を見て、アモンは薄く笑みを浮かべた。

「どうだ、いい感じだろ?」

「う、うわあああ!服着てないのかよ!このバカ!」

そう叫びながら、その顔を殴りつけた。
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