34 / 60
設立編
—第22章:あらたな仲間
しおりを挟む
アモンはバスタオルを体に巻いて立っている。
「で、どうだ?」
「まぁ…いいんじゃない?それにしても大きいわね、身長は変えられないの?」
「それは無理だな。変身だって魔法じゃない、なんでもかんでもってわけにはいかない。」
それもそうか。もともと190センチはあろうという高身長で、子供みたいなサイズになれるわけがない。悪魔の時はたいして気にならなかったが、自分とは20センチ以上の差があり、目の前に立たれるとかなり威圧感がある。
それにしても、とアモンの顔をちらっと見る。変身したときも思ったが、人間を基準にすると相当な美青年だ。あの禿げた悪魔がどうしてこんな顔立ちに変身したのか。
「あんた…その体というか顔、どうしてそれ?」
「ああ、どうやってこれを思いついたのかって話か?わからん、なんとなく頭に浮かんだんだよ、理由はわからん!」
そう言うと両手を腰に当てて偉そうに胸を張る。
「バカやめろ!タオル落ちるでしょ!わかったから、もうわかったから!」
手で目を覆い、その間にずれ落ちたバスタオルをまた体に巻きつける。
「人間になれるのはわかった。で、人間になって何するのよ。自分の飯は自分で稼ぐのよ。あんた、ただでさえグルメなんだからご飯代だけでも大変よ」
「いや、お前と一緒に傭兵として仕事するぞ」
「はぁ!?なんでよ、他にもいろいろ仕事あるでしょ?」
「他にもあるっていっても、いきなり覚えられるか不安だ。それにずっと知らない人間といると、何かの拍子でバレるかもしれないだろ。見た目でわからないっていっても、言動とかで悪魔だってバレる可能性もあるしな。それに俺様は戦力になる。インチキほどじゃないが相当楽ができるはずだ。なんたって俺様は中級悪魔だ、下級悪魔ごときじゃ相手にならねぇ。それに…」
と、ここでアモンが言葉を溜める。
「あのゴミども、ちょっと何かあるとギャーギャーわめきやがって!こっちが下手に出てると調子に乗りやがる、上には毎回嫌味を言われるしよ、マジでぶっ殺してやりたいと思ってたんだよ」
とんでもないことを言い出す。仲間でもむかついたから殺すというのは、さすが悪魔だなと感心する。
「ということで、金稼げるし悪魔どもぶっ殺してストレス発散になるし一石二鳥だ。お前と一緒に傭兵ギルドに入るってことでよろしく」
たしかに一理ある。インチキできない以上、これからはあくせく働かないといけない。しかしアモンがいれば、だいたいの敵は倒してくれるだろう。現状としてはベストな選択肢かもしれないと気づき、納得しかけた。
…ただ、頭の中の誰か一人が納得していないような気もするが、今までとそこまでやることは変わらないし、ギャーギャー言わないだろう。
「よし、いいでしょう。だけどその前にやることがある」
「なんだ?」
「服の調達よ」
翌朝、買った服を持って自宅に帰ってくる。昨日は遅かったので服屋が開いていなかった。色々やるのは今日だと決め、風呂に入ったあとに戻ってきて寝ようとしたが、アモンがベッドに横たわっていた。
思い切り蹴り飛ばして床で寝かせた。床で寝かせるなんてひどいと言われたが、ほぼ全裸の男と同じベッドで寝るわけがない。じゃあ悪魔に戻って寝ればいいのかと言われたが、そもそもでかくて寝にくい。
部屋に入り、のんびりと朝食を食べているアモンに少しイラっとしながらも、買ってきた服を投げつける。
「とりあえずさっさと着ろ、いや、私の目の前で着替えるな!もういい、後ろ向いてるから早く着替えて」
後ろを向いていると、着替える音が聞こえてくる。少しして「終わったぞ」という声で振り向くと、そこにはまともな服に着替えたアモンの姿があった。
上半身には、革製のフィットしたベストがしっかりと筋肉を引き立て、胸部と肩にはさりげなくも機能的な装甲が施されている。下に着たリネンのシャツは袖を肘までまくり、手首には戦闘の痕跡を隠さず残す指抜きグローブ。
その腰には、銀色に光るバックルが目を引く革のベルトが巻かれ、いくつかの小さなポーチが並ぶ。軽やかに動きながらも、すぐに道具を取り出せるような設計になっている。
そして、黒く引き締まったズボンが長い足にぴったり合い、しっかりとしたレザー製のブーツが足元を守っている。
だが何よりも彼を際立たせているのは、その背中に流れるように掛けられた長い黒いマントだ。片方の肩に無造作に掛けられている姿は、容姿と相まって貴族的な優雅さも兼ね備えている。
素材がいいのもあるが、自分のセンスが光った見事なコーディネートだ。
「いいね、だいぶいい男になったわね」
「だろだろ?これならどんな女だって落とせるぞ、きっと」
そう言いながらアモンは片手をあたしの口元に当て、顎を指先でくいっと引き上げる。
アモンと目が合うが、目を細めて低い声で言い返す。
「もう片方の足にも風穴あけてほしいようね?」
アモンは尋常ではないくらい身震いして、後ろに下がり尻もちをつく。
「う、うそうそ!すみません、ご主人様!冗談キツいって!」
引きつった顔で半笑いするアモンを横目に、心の中で歯ぎしりしながらもフンっと踵を返す。
「ほら、行くわよ」
「行くって、どこへ?」
「傭兵ギルドだ。あんたをパーティーとして登録する」
「で、どうだ?」
「まぁ…いいんじゃない?それにしても大きいわね、身長は変えられないの?」
「それは無理だな。変身だって魔法じゃない、なんでもかんでもってわけにはいかない。」
それもそうか。もともと190センチはあろうという高身長で、子供みたいなサイズになれるわけがない。悪魔の時はたいして気にならなかったが、自分とは20センチ以上の差があり、目の前に立たれるとかなり威圧感がある。
それにしても、とアモンの顔をちらっと見る。変身したときも思ったが、人間を基準にすると相当な美青年だ。あの禿げた悪魔がどうしてこんな顔立ちに変身したのか。
「あんた…その体というか顔、どうしてそれ?」
「ああ、どうやってこれを思いついたのかって話か?わからん、なんとなく頭に浮かんだんだよ、理由はわからん!」
そう言うと両手を腰に当てて偉そうに胸を張る。
「バカやめろ!タオル落ちるでしょ!わかったから、もうわかったから!」
手で目を覆い、その間にずれ落ちたバスタオルをまた体に巻きつける。
「人間になれるのはわかった。で、人間になって何するのよ。自分の飯は自分で稼ぐのよ。あんた、ただでさえグルメなんだからご飯代だけでも大変よ」
「いや、お前と一緒に傭兵として仕事するぞ」
「はぁ!?なんでよ、他にもいろいろ仕事あるでしょ?」
「他にもあるっていっても、いきなり覚えられるか不安だ。それにずっと知らない人間といると、何かの拍子でバレるかもしれないだろ。見た目でわからないっていっても、言動とかで悪魔だってバレる可能性もあるしな。それに俺様は戦力になる。インチキほどじゃないが相当楽ができるはずだ。なんたって俺様は中級悪魔だ、下級悪魔ごときじゃ相手にならねぇ。それに…」
と、ここでアモンが言葉を溜める。
「あのゴミども、ちょっと何かあるとギャーギャーわめきやがって!こっちが下手に出てると調子に乗りやがる、上には毎回嫌味を言われるしよ、マジでぶっ殺してやりたいと思ってたんだよ」
とんでもないことを言い出す。仲間でもむかついたから殺すというのは、さすが悪魔だなと感心する。
「ということで、金稼げるし悪魔どもぶっ殺してストレス発散になるし一石二鳥だ。お前と一緒に傭兵ギルドに入るってことでよろしく」
たしかに一理ある。インチキできない以上、これからはあくせく働かないといけない。しかしアモンがいれば、だいたいの敵は倒してくれるだろう。現状としてはベストな選択肢かもしれないと気づき、納得しかけた。
…ただ、頭の中の誰か一人が納得していないような気もするが、今までとそこまでやることは変わらないし、ギャーギャー言わないだろう。
「よし、いいでしょう。だけどその前にやることがある」
「なんだ?」
「服の調達よ」
翌朝、買った服を持って自宅に帰ってくる。昨日は遅かったので服屋が開いていなかった。色々やるのは今日だと決め、風呂に入ったあとに戻ってきて寝ようとしたが、アモンがベッドに横たわっていた。
思い切り蹴り飛ばして床で寝かせた。床で寝かせるなんてひどいと言われたが、ほぼ全裸の男と同じベッドで寝るわけがない。じゃあ悪魔に戻って寝ればいいのかと言われたが、そもそもでかくて寝にくい。
部屋に入り、のんびりと朝食を食べているアモンに少しイラっとしながらも、買ってきた服を投げつける。
「とりあえずさっさと着ろ、いや、私の目の前で着替えるな!もういい、後ろ向いてるから早く着替えて」
後ろを向いていると、着替える音が聞こえてくる。少しして「終わったぞ」という声で振り向くと、そこにはまともな服に着替えたアモンの姿があった。
上半身には、革製のフィットしたベストがしっかりと筋肉を引き立て、胸部と肩にはさりげなくも機能的な装甲が施されている。下に着たリネンのシャツは袖を肘までまくり、手首には戦闘の痕跡を隠さず残す指抜きグローブ。
その腰には、銀色に光るバックルが目を引く革のベルトが巻かれ、いくつかの小さなポーチが並ぶ。軽やかに動きながらも、すぐに道具を取り出せるような設計になっている。
そして、黒く引き締まったズボンが長い足にぴったり合い、しっかりとしたレザー製のブーツが足元を守っている。
だが何よりも彼を際立たせているのは、その背中に流れるように掛けられた長い黒いマントだ。片方の肩に無造作に掛けられている姿は、容姿と相まって貴族的な優雅さも兼ね備えている。
素材がいいのもあるが、自分のセンスが光った見事なコーディネートだ。
「いいね、だいぶいい男になったわね」
「だろだろ?これならどんな女だって落とせるぞ、きっと」
そう言いながらアモンは片手をあたしの口元に当て、顎を指先でくいっと引き上げる。
アモンと目が合うが、目を細めて低い声で言い返す。
「もう片方の足にも風穴あけてほしいようね?」
アモンは尋常ではないくらい身震いして、後ろに下がり尻もちをつく。
「う、うそうそ!すみません、ご主人様!冗談キツいって!」
引きつった顔で半笑いするアモンを横目に、心の中で歯ぎしりしながらもフンっと踵を返す。
「ほら、行くわよ」
「行くって、どこへ?」
「傭兵ギルドだ。あんたをパーティーとして登録する」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流@3/19書籍発売!
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる
みおな
恋愛
聖女。
女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。
本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。
愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。
記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。
追放された【才能鑑定】スキル持ちの俺、Sランクの原石たちをプロデュースして最強へ
黒崎隼人
ファンタジー
人事コンサルタントの相馬司が転生した異世界で得たのは、人の才能を見抜く【才能鑑定】スキル。しかし自身の戦闘能力はゼロ!
「魔力もない無能」と貴族主義の宮廷魔術師団から追放されてしまう。
だが、それは新たな伝説の始まりだった!
「俺は、ダイヤの原石を磨き上げるプロデューサーになる!」
前世の知識を武器に、司は酒場で燻る剣士、森に引きこもるエルフなど、才能を秘めた「ワケあり」な逸材たちを発掘。彼らの才能を的確に見抜き、最高の育成プランで最強パーティーへと育て上げる!
「あいつは本物だ!」「司さんについていけば間違いない!」
仲間からの絶対的な信頼を背に、司がプロデュースしたパーティーは瞬く間に成り上がっていく。
一方、司を追放した宮廷魔術師たちは才能の壁にぶつかり、没落の一途を辿っていた。そして王国を揺るがす戦乱の時、彼らは思い知ることになる。自分たちが切り捨てた男が、歴史に名を刻む本物の英雄だったということを!
無能と蔑まれた男が、知略と育成術で世界を変える! 爽快・育成ファンタジー、堂々開幕!
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる