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設立編
—第29章:バランスのいいパーティ?
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三人は傭兵ギルドへ行くために商店街を歩いている。
今朝、レオンが部屋に来て「ヴェルヴェットのパーティに入る」と言ってきたのだ。眠い目をこすりながら、わけのわからないことを大きな声で話してきたので頭を叩いて扉を閉めようとしたが、頑なに閉めさせようとしない。
仕方ないので「着替えるから閉めさせて」と言ったら、ぱっと手が離れたのでそのまま閉めてベッドにダイブして寝ようとしたが—「なにをやっているのか」と—大きな声でマリアに咎められたので、しぶしぶ着替えて応じた。
これまでの問答でレオンが大きな声で騒いでいたため、アモンが気づいて部屋に入ってきた。
レオンが言うには「騎士を辞めたからパーティに入れて欲しい」とのこと。
なんで辞めたのかと理由を聞いたが、あーでもないこーでもないと色々とはぐらかされた。
まぁ理由なんてどうでもいい。でも正直パーティには入れたくない。理由は簡単、取り分が減るからだ。
ただでさえアモンが入ってきて報酬金が下がるのだ。これ以上増えたらさらに報酬が下がる。
とてもじゃないがパーティに入れるわけにはいかない。
アモンはというと、特段何も反応していない。どちらでもいいようだ。前回喧嘩していたのに、特に感じるところがないのだろうか。それが悪魔だからなのか、個人的な性格なのかはわからない。
正直にその旨を伝えると、「金はいらない」などと言ってきた。
またしてもわけがわからない。金がいらなければ傭兵なんかやる理由は何もないはずだ。
そもそも、だ。報酬がいらない傭兵なんて信用できないのだ。傭兵というのは顔見知りの信頼はもちろん重要だが、それと同じくらい「報酬」という名目で責任が生まれるのだ。
その責任がない傭兵なんか信用できない。どうせてきとうな仕事をするに決まっている。
だがそれを言葉で言っても意味はない。こういうことは行動で表すから意味があるのだ。
諦めてくれと言いかけた時「ならば」と—理があるであろう情報を口にした。
その内容は「俺ならば近辺の地図は熟知しているので、絶対に道にも迷わないし、悪魔が好んで出現する場所も知っている。そして何より、俺がパーティに入れば強さの他に、その信用力でどんな依頼でもほとんど受けることができる」ということだ。
確かに、長年大貴族テクノバーグ家に仕えていた親衛騎士長様だ。これ以上信頼できる人物というのはそういないだろう。
そういう意味ではかなり有用かもしれない。なんだったらおいしい依頼をあらかじめ取っておいてくれるかもしれない。
それに実際に、レオンは相当腕が立つ。アモンと二人がいれば、あたしは本当になにもしなくてよくなりそうだ。
これは、ありか?そう思い、にやりとしてレオンの要望に乗った。
そして今に至る。
いつも通り入り口のドアを開け、カウンターにいるダンカンにメンバーの登録依頼をする。
「はいはい、レオンさんですね。
素性は知っておりますよ。なんたってテクノバーグ家の親衛騎士長様ですからね。」
「元だ」
「あれ、そうなんですかい?まぁでも傭兵ギルドに入ってくれるのはありがたいですぜ。この街の治安に関して言えば、たいして差がないってことになりますからね」
やはり騎士として、何か問題があれば傭兵と共に即座に駆けつけていたのか。噴水公園の件を思い出す。あの時もテクノバーグ家が近いとはいえ、関係ないにも関わらず悪魔の殲滅に来ていたからだ。
ダンカンは登録作業を進める。
「ええと、レオンさんは騎士だったので、つまり登録の職業は剣士ってことになりますね。
はい、これで登録完了です。
これでパーティは4人になりますね、ギアの…ええと、剣士のヴェルヴェットさん、機械技師のリオ、剣士のアモンさん、そして剣士のレオンさんと」
一瞬嫌な名前を出そうとしたダンカンを睨みつけ、ダンカンが訂正した名前と構成を聞いていく。
思えば最初はあたしとリオだけで、リオは戦闘には参加しないから実質一人だけだった。それが今ではすでに四人パーティ。実際の戦闘に行くメンバーも三人だ。少し前とはえらい違いだ。
これでいろんな依頼もこなすことができる。前衛に剣士のアモン、その次に剣士のレオン、そして最後に剣士のあたし。しかし、ある致命的なことに気づく。
「なんか、バランス悪くね?」
今朝、レオンが部屋に来て「ヴェルヴェットのパーティに入る」と言ってきたのだ。眠い目をこすりながら、わけのわからないことを大きな声で話してきたので頭を叩いて扉を閉めようとしたが、頑なに閉めさせようとしない。
仕方ないので「着替えるから閉めさせて」と言ったら、ぱっと手が離れたのでそのまま閉めてベッドにダイブして寝ようとしたが—「なにをやっているのか」と—大きな声でマリアに咎められたので、しぶしぶ着替えて応じた。
これまでの問答でレオンが大きな声で騒いでいたため、アモンが気づいて部屋に入ってきた。
レオンが言うには「騎士を辞めたからパーティに入れて欲しい」とのこと。
なんで辞めたのかと理由を聞いたが、あーでもないこーでもないと色々とはぐらかされた。
まぁ理由なんてどうでもいい。でも正直パーティには入れたくない。理由は簡単、取り分が減るからだ。
ただでさえアモンが入ってきて報酬金が下がるのだ。これ以上増えたらさらに報酬が下がる。
とてもじゃないがパーティに入れるわけにはいかない。
アモンはというと、特段何も反応していない。どちらでもいいようだ。前回喧嘩していたのに、特に感じるところがないのだろうか。それが悪魔だからなのか、個人的な性格なのかはわからない。
正直にその旨を伝えると、「金はいらない」などと言ってきた。
またしてもわけがわからない。金がいらなければ傭兵なんかやる理由は何もないはずだ。
そもそも、だ。報酬がいらない傭兵なんて信用できないのだ。傭兵というのは顔見知りの信頼はもちろん重要だが、それと同じくらい「報酬」という名目で責任が生まれるのだ。
その責任がない傭兵なんか信用できない。どうせてきとうな仕事をするに決まっている。
だがそれを言葉で言っても意味はない。こういうことは行動で表すから意味があるのだ。
諦めてくれと言いかけた時「ならば」と—理があるであろう情報を口にした。
その内容は「俺ならば近辺の地図は熟知しているので、絶対に道にも迷わないし、悪魔が好んで出現する場所も知っている。そして何より、俺がパーティに入れば強さの他に、その信用力でどんな依頼でもほとんど受けることができる」ということだ。
確かに、長年大貴族テクノバーグ家に仕えていた親衛騎士長様だ。これ以上信頼できる人物というのはそういないだろう。
そういう意味ではかなり有用かもしれない。なんだったらおいしい依頼をあらかじめ取っておいてくれるかもしれない。
それに実際に、レオンは相当腕が立つ。アモンと二人がいれば、あたしは本当になにもしなくてよくなりそうだ。
これは、ありか?そう思い、にやりとしてレオンの要望に乗った。
そして今に至る。
いつも通り入り口のドアを開け、カウンターにいるダンカンにメンバーの登録依頼をする。
「はいはい、レオンさんですね。
素性は知っておりますよ。なんたってテクノバーグ家の親衛騎士長様ですからね。」
「元だ」
「あれ、そうなんですかい?まぁでも傭兵ギルドに入ってくれるのはありがたいですぜ。この街の治安に関して言えば、たいして差がないってことになりますからね」
やはり騎士として、何か問題があれば傭兵と共に即座に駆けつけていたのか。噴水公園の件を思い出す。あの時もテクノバーグ家が近いとはいえ、関係ないにも関わらず悪魔の殲滅に来ていたからだ。
ダンカンは登録作業を進める。
「ええと、レオンさんは騎士だったので、つまり登録の職業は剣士ってことになりますね。
はい、これで登録完了です。
これでパーティは4人になりますね、ギアの…ええと、剣士のヴェルヴェットさん、機械技師のリオ、剣士のアモンさん、そして剣士のレオンさんと」
一瞬嫌な名前を出そうとしたダンカンを睨みつけ、ダンカンが訂正した名前と構成を聞いていく。
思えば最初はあたしとリオだけで、リオは戦闘には参加しないから実質一人だけだった。それが今ではすでに四人パーティ。実際の戦闘に行くメンバーも三人だ。少し前とはえらい違いだ。
これでいろんな依頼もこなすことができる。前衛に剣士のアモン、その次に剣士のレオン、そして最後に剣士のあたし。しかし、ある致命的なことに気づく。
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