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設立編
—第30章:楽しい団欒
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アモンは最近リオの家に入り浸っている。
前回リオの家の機械を見ていた際、妙に深い興味と関心を抱いたようだ。
ことあるごとにリオに質問をして、機械いじりをしている。
リオも最初は「開発の邪魔だ」と思っていたようだが、説明をしっかり聞いて機械を操るアモンに関心したのか、今ではお互いに仲が良い。
リオとしても自分が戦闘に参加しないので、その代わりに機械を使ってくれる事を期待してアモンに教えているのかもしれない。
それが仲が良いからか、自分の開発の宣伝のためなのかは知らないが。
アモンに関しても、人間を襲う悪魔のはずなのだが、そういうそぶりはまったく見せない。そもそもアモン本人が人間を襲うところを見たことがない。
どうやら本能などで人間を襲っているわけではなさそうだ。まぁ、本当に強いのかはわからないし、もしかしたら人間に襲い掛かったら返り討ちに遭うくらい弱いのでは?と思わなくもない。
しかし先日のあの体は……変身した瞬間の全裸のアモンを思い出してしまい、顔が真っ赤になり頭を振って思考を切り替える。
ま、まぁさすがに仲が良いリオを襲うなんてことはないだろう。襲った瞬間、あたしに殺されることくらいわかるはずだし。
アモンとしても、それを契約の裏切り行為とみなされて、即死するかどうかはわからないが、位置がわかるのだし、いつ殺しにくるかわからないあたしに夜も眠れない恐怖を抱くだろう。やっぱりありえない。
そう思い、そろそろ夕飯の時間かと思いリオの家に行く準備をする。
「そういえば、アモンのやつ、ご飯のためにリオの家にいるんじゃ……」
そんなまさかなと思いつつ、宿舎を出てリオの家に向かっていく。当然のようにレオンが同行してくる。
「あのさ、なんで一緒にくるわけ?」
「え、いやパーティだろ? もしかしたらこれから依頼を受けに行くんじゃないかなって思って、ははは……」
いや、戦闘服を着てないんだしそんなわけがないだろう。あたしは一人が気楽なんだ。パーティを組んでいるのはそうだが、あんまりまとわりつかれると気疲れする。
—まぁまぁレオンさんは決して悪い人じゃないですよ。
そんなことは知ってる、だがそれとこれとは話が違う。
「まぁ、これからリオのところでご飯つくるからあんたもくれば?」
「おお、そうなのか。では俺も行くとしよう!」
非常にわざとらしい。この問答は何回目だ。この時間にリオのところに毎回行っているのに、わからないはずがない。
レオンに料理を手伝わせようと思ったことがあるが、他の奴らと違って料理はできる。できるのだが、なんというか男っぽい料理なのだ。味付けも単調でいちいち濃い。本人はおいしそうに食べるのだが、この味が毎回となるとげんなりする。
結局あたしが毎日の料理当番となる。しかしその分、男共には掃除や片付けの一切を任せることができた(掃除内容にしょっちゅう文句はいうが)ので気楽ではある。
そして今日も4人で食卓につく。皆で賑やかに食事を楽しむ。リオはすっかり笑顔の男の子になった。食事の時もそうだが、機械を売りに行っている時やアモンと機械について話している時も、いつも楽しそうだ。
見ていてもう不安はないなと微笑む。むしろ、ずっとこっちを見てくるレオンが気になって仕方がない。もちろん、嫌な意味での「気になって仕方がない」だ。
いい加減、しっかりと不快だと言ったほうがいい気もする。などと思っているとアモンが雑談をはじめる。
「そういやさっきというか、いつも商店街を歩いてくるんだけど、ギアの天使って言葉をやたら聞くな」
思い出したくない事を言ってきた。
「そうそう! 僕もいっぱい聞いていますよ。機械を売りに行く時に毎回言ってる甲斐があるってもんだよ」
いや、あんたが最初からここまで全ての原因だろ。と毒を吐きたくなる気持ちをぐっとこらえる。無邪気な笑顔を振りまくリオにはどうしても言うことができない。
「ああ、俺もよく聞いてるよ。まったくヴェルヴェットがいくら天使のような顔立ちだとしても、あまり面と向かって言うものではないな」
レオンがそう言って、途中で何かに気付いたのか、いきなり恥ずかしそうに顔を真っ赤にしてうつむく。
小っ恥ずかしくて俯きたいのはこっちなのだが……もう、この流れはどうやっても変えられないのだろう。諦めにも似た感情でそう思う。
「リオ、最近はどんな機械を売りに行ったんだ?」
アモンが興味津々で聞いてくる。
「えーと最近はー、この小型ライト。これで暗い戦場でもヴェルヴェットを照らして輝かしい姿を映し出せるって触れ込みで売ってきたんだ」
「おお!」
「おお、これはすごいな!」
アモンとレオンの賞賛の声があがる。
いや、確かにすごい発明だが、売り込み方。
機械を借りてスイッチをカチカチ押してみる。確かにこれは夜にとても便利そうだ。悪魔と違ってこちらは夜目がきかない。その場合は撤退を余儀なくされるが、これがあればある程度対抗できるかもしれない。
「他は、ポーションにフレーバーを混ぜてみたんだ。これがギアの天使のポーション、これが天使の槍のポーション、これが天使のポーション」
「いや、それ全部白いポーションでしょ。というかもともと白いポーションなかったっけ?」
「ちゃんと中身は変えてあるよ。企業秘密だけどヴェルヴェットになら特別に教えてもいいよ?」
「いや、いいや……」
自分の名前のポーションの中身なんて、何を聞いても気味が悪いだけだ。
他にもリオは色々な店に売り出した発明の数々を披露する。
正直「なんでこんなものが売れたんだ?」と目を疑うような商品が多いが、あたしの名前を入れるとだいたい売れるらしい。パーティだから使ってもいいかもしれないけど、正直、使用料をいただきたいものだ。
しかし小さい子からみかじめ料を取るような構図になるので、やはり言い出せない。
「それにしても……」
出される商品はどれも使い勝手は抜群にいい気がする。小型化はもちろん、新しい開発品だって最初は頭をひねるようなものもあるが、使い方を考えるとかなり使えるのでは?というものも多い。
やっぱりリオはもともと天才だったのだと気付かされる。ただ、なんでもあたしを商品化する節操の無さだけは自重してほしいが。
こうして楽しい宴は今日も終わっていった。
前回リオの家の機械を見ていた際、妙に深い興味と関心を抱いたようだ。
ことあるごとにリオに質問をして、機械いじりをしている。
リオも最初は「開発の邪魔だ」と思っていたようだが、説明をしっかり聞いて機械を操るアモンに関心したのか、今ではお互いに仲が良い。
リオとしても自分が戦闘に参加しないので、その代わりに機械を使ってくれる事を期待してアモンに教えているのかもしれない。
それが仲が良いからか、自分の開発の宣伝のためなのかは知らないが。
アモンに関しても、人間を襲う悪魔のはずなのだが、そういうそぶりはまったく見せない。そもそもアモン本人が人間を襲うところを見たことがない。
どうやら本能などで人間を襲っているわけではなさそうだ。まぁ、本当に強いのかはわからないし、もしかしたら人間に襲い掛かったら返り討ちに遭うくらい弱いのでは?と思わなくもない。
しかし先日のあの体は……変身した瞬間の全裸のアモンを思い出してしまい、顔が真っ赤になり頭を振って思考を切り替える。
ま、まぁさすがに仲が良いリオを襲うなんてことはないだろう。襲った瞬間、あたしに殺されることくらいわかるはずだし。
アモンとしても、それを契約の裏切り行為とみなされて、即死するかどうかはわからないが、位置がわかるのだし、いつ殺しにくるかわからないあたしに夜も眠れない恐怖を抱くだろう。やっぱりありえない。
そう思い、そろそろ夕飯の時間かと思いリオの家に行く準備をする。
「そういえば、アモンのやつ、ご飯のためにリオの家にいるんじゃ……」
そんなまさかなと思いつつ、宿舎を出てリオの家に向かっていく。当然のようにレオンが同行してくる。
「あのさ、なんで一緒にくるわけ?」
「え、いやパーティだろ? もしかしたらこれから依頼を受けに行くんじゃないかなって思って、ははは……」
いや、戦闘服を着てないんだしそんなわけがないだろう。あたしは一人が気楽なんだ。パーティを組んでいるのはそうだが、あんまりまとわりつかれると気疲れする。
—まぁまぁレオンさんは決して悪い人じゃないですよ。
そんなことは知ってる、だがそれとこれとは話が違う。
「まぁ、これからリオのところでご飯つくるからあんたもくれば?」
「おお、そうなのか。では俺も行くとしよう!」
非常にわざとらしい。この問答は何回目だ。この時間にリオのところに毎回行っているのに、わからないはずがない。
レオンに料理を手伝わせようと思ったことがあるが、他の奴らと違って料理はできる。できるのだが、なんというか男っぽい料理なのだ。味付けも単調でいちいち濃い。本人はおいしそうに食べるのだが、この味が毎回となるとげんなりする。
結局あたしが毎日の料理当番となる。しかしその分、男共には掃除や片付けの一切を任せることができた(掃除内容にしょっちゅう文句はいうが)ので気楽ではある。
そして今日も4人で食卓につく。皆で賑やかに食事を楽しむ。リオはすっかり笑顔の男の子になった。食事の時もそうだが、機械を売りに行っている時やアモンと機械について話している時も、いつも楽しそうだ。
見ていてもう不安はないなと微笑む。むしろ、ずっとこっちを見てくるレオンが気になって仕方がない。もちろん、嫌な意味での「気になって仕方がない」だ。
いい加減、しっかりと不快だと言ったほうがいい気もする。などと思っているとアモンが雑談をはじめる。
「そういやさっきというか、いつも商店街を歩いてくるんだけど、ギアの天使って言葉をやたら聞くな」
思い出したくない事を言ってきた。
「そうそう! 僕もいっぱい聞いていますよ。機械を売りに行く時に毎回言ってる甲斐があるってもんだよ」
いや、あんたが最初からここまで全ての原因だろ。と毒を吐きたくなる気持ちをぐっとこらえる。無邪気な笑顔を振りまくリオにはどうしても言うことができない。
「ああ、俺もよく聞いてるよ。まったくヴェルヴェットがいくら天使のような顔立ちだとしても、あまり面と向かって言うものではないな」
レオンがそう言って、途中で何かに気付いたのか、いきなり恥ずかしそうに顔を真っ赤にしてうつむく。
小っ恥ずかしくて俯きたいのはこっちなのだが……もう、この流れはどうやっても変えられないのだろう。諦めにも似た感情でそう思う。
「リオ、最近はどんな機械を売りに行ったんだ?」
アモンが興味津々で聞いてくる。
「えーと最近はー、この小型ライト。これで暗い戦場でもヴェルヴェットを照らして輝かしい姿を映し出せるって触れ込みで売ってきたんだ」
「おお!」
「おお、これはすごいな!」
アモンとレオンの賞賛の声があがる。
いや、確かにすごい発明だが、売り込み方。
機械を借りてスイッチをカチカチ押してみる。確かにこれは夜にとても便利そうだ。悪魔と違ってこちらは夜目がきかない。その場合は撤退を余儀なくされるが、これがあればある程度対抗できるかもしれない。
「他は、ポーションにフレーバーを混ぜてみたんだ。これがギアの天使のポーション、これが天使の槍のポーション、これが天使のポーション」
「いや、それ全部白いポーションでしょ。というかもともと白いポーションなかったっけ?」
「ちゃんと中身は変えてあるよ。企業秘密だけどヴェルヴェットになら特別に教えてもいいよ?」
「いや、いいや……」
自分の名前のポーションの中身なんて、何を聞いても気味が悪いだけだ。
他にもリオは色々な店に売り出した発明の数々を披露する。
正直「なんでこんなものが売れたんだ?」と目を疑うような商品が多いが、あたしの名前を入れるとだいたい売れるらしい。パーティだから使ってもいいかもしれないけど、正直、使用料をいただきたいものだ。
しかし小さい子からみかじめ料を取るような構図になるので、やはり言い出せない。
「それにしても……」
出される商品はどれも使い勝手は抜群にいい気がする。小型化はもちろん、新しい開発品だって最初は頭をひねるようなものもあるが、使い方を考えるとかなり使えるのでは?というものも多い。
やっぱりリオはもともと天才だったのだと気付かされる。ただ、なんでもあたしを商品化する節操の無さだけは自重してほしいが。
こうして楽しい宴は今日も終わっていった。
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