呑まされてファンタジア

水野(仮)

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幼年期4

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行く前は家族旅行とか言ってたわりに、王都観光とか全然出来なかった。
滅多に王都へ来ない両親に会う為に来る人は多く、中には子供を連れてくる人も居るのでホストとして俺や姉が対応する…と言うのは建前だと思っていなくもない。
だって、この数日で水属性魔法と土属性魔法の熟練度が物凄く上がったからね!

あと、俺の家にお姫さまがよく来るようになったことで、派閥違いの夫人が息子を連れてアポ無しで訪ねて来ては追い返すと言うことも何度かあった。
自分よりも上の身分を持つ相手にアポ無し訪問て、この前母が言って居たうちが舐められてるってのはマジなのか。
ニヤニヤしながら正式に抗議すると母は言って居たが、妻を制御出来ない旦那には何の期待も出来ないと俺は思いますよ。

王都を出る日、お姫さまや仲良くなった父母の友人の子たちが見送りに来てくれた。フットワーク軽いな…あ、はいはいカルピシュですねカルピシュ。



姉は身体能力の強化と火属性魔法に適性が有ると分かったのだが、王都内で火属性魔法を使うことを禁止されていた。
火は万が一が有るから都市で使うのは危険なので賛成で有る。
何より、持っているとわかったばかりで魔法の制御なども教えてもらってないのだし。

そんな理由もあり、今の状況も仕方が無いのかなと思える。

「私も戦えると思ったから…」

家まで帰る途中に現れた猪の親分みたいな魔物に向かって馬車のドアを開けて火魔法を撃った姉は、森を燃やした。
我が姉だからかドラゴンスレイヤーの子供だからか、その威力は凄まじく初級魔法らしいのに幅5メートル長さ30メートルくらいの範囲にあった木を一撃で灰にしたからね。
俺もビビったし、両親もビビったし、護衛の騎士や従者に召使い、ついでに猪親分までビビって逃げ出したからね。
犠牲者が出なくて良かった。

当然、母が良いと言うまで姉は魔法を使うのを禁止された。



家に着き、母と母の姉弟子と言う人から魔法の授業を受けるようになった姉は、何故か身体に細かな切り傷を作るようになった。
何故魔法の授業なのに身体に傷を? と思い様子を見てみたら、母や姉弟子から杖で襲われていた。
魔法の授業なのに何故?と思ったので話を聞いてみたら、魔法使いは先に狙われやすいので近接戦闘もこなせないと生き残れないらしい…何から生き残るんだと思ったが、聞いたらダメな気がしてやめた。

そのうち大怪我するんじゃないかと心配になった俺は水質変換と水質分析を駆使して塗る傷薬と飲む回復薬を完成させた。

水質変換だけでは回復効果の有る液体を作る事が出来ないらしく、薬草として扱われる複数の植物や魔物の中にある魔石と呼ばれる部位から色々と抽出したものを混ぜ合わせて効果の有る液体になった時は嬉しかった。 
これには水質分析がとても活躍した、神様ありがとう!

所謂ポーション類は薬剤ギルドによって価格などが決められておりそれなりに高価なので重傷の時くらいしか使わず、細かな傷などは水で洗って止血して終わりだったそうだ。
俺が作った塗る傷薬のように、必要な分だけ取り出して塗って残りは次回使えると言った物は無く、気軽に使えるし荷物も減らせると色んな人に喜ばれた。
うちの騎士団は魔の森に住む魔獣の間引きも任務のうちなので非常に助かると父を含めた実働部隊にもお礼を言われた。

重傷用の飲む回復薬は味に拘って作ることにする。
薬剤ギルドが売っているポーション類は効果が有るなら味なんてどうでも良いだろみたいな作りで、飲んだ後に気持ちが沈むと言う姉の為に飲み易い味付けにすふことにしたのだ。
混ぜても回復効果が落ちない素材を見つけるのに苦労した。

1年くらい調合し続けてやっと見つけたのはここよりも暖かい地方で収穫出来る柚に似た香りの柑橘類とミントに似た香りの椿に似た花。
うちでも栽培しようと植えてみたのだけれど、8割くらいが冬越しも出来なかった。
庭に植えたのが全滅、室内の鉢植えだけが残るという結果だ。

どうしようか考えて作ったのが最初の温室だ。
ガラスで囲めば暖かくて良いだろと言う単純構造で空気の流れとか全く気にしなかったからか暑さと湿気で植物が弱ると言う悲しい結果に終わった。

商業ギルドに行き建物設計を専門にしてる人を雇って空気の流れを考えて植物を植えたり開閉式換気口など備え付けたりした。その際新たに魔導具技師を雇い換気扇のような魔導具なども作った。

冬場は土魔法で作った水路に一定の温度を保たせたお湯を流し気温を調整する魔導具で乗り切った。
温室内の植物が全て冬越し出来た時は、俺と設計士と技師で宴会したね! ソフトドリンクだけどね!

ガラス温室やらそれに関係する魔導具やらは商業ギルドの特許制度に似たようなものに登録したので目敏い人たちには直ぐに見つかった。
王妃とかも含めて絶対来ることのなさそうな人たちがやってきて欲しがったが、制作に成人してない俺が関わってるので今は無理ねとションボリしていた。
良くわからんが貴族子女には労働基準法的な何かがあるらしい。

この国最北に領地を持つ貴族家当主がこの国で最も王都から遠く離れた最東端のこの地へ温室見学に来た時に、寒冷地でしか出来ない植物の種や苗木を持ってきてくれたので気温の低い温室? 冷房室? を作ることにした。

暖かい温度に保てるなら低い温度も設定できるだろうと単純に考えて持ってきてくれたらしいが、そんな考えはなかった! でも面白い!と設計と技師とで盛り上がった。
一年中雪が降る部屋とかどうよとか、植物だけでなく動物や魚とかもいけるんじゃないかとか、ガラスを使わない建物で溶液栽培をやろうとか色々言い合った。

それからしばらくして完成した水耕栽培と言うか溶液栽培室はなかなか良い感じである。
建物も土の代わりになる水路や貯水槽なども全て職人に作ってもらった。
そこに技師の作った水を循環させる魔導具を設置して植物の根っこに肥料や空気を触れさせる仕組みだ。
今のところ葉物野菜をメインに作っているが、いずれは薬草も栽培したいと思っている。

この施設で働いてもらう為に新しく雇った元農家の使用人たちからは畑よりも楽で成長が早いと好評である。
最初は土を使わずに植物が作れるのかと疑っていたみたいだけど、今では作る種類を増やそうとか提案してくるようになった。
今は液肥を水質変換で作っているけど、スキルに頼らない液肥も研究中だ。
使用人たちで液肥が作れるようになれば、俺が居なくなってもこの施設は稼働し続けるのようになり失職する人も居なくなる。
まぁ、肥料を使わなくても水だけで育つので、質を気にしないのなら俺が居なくても良いと言えば良いんだが。

今のところ2つの回復薬を一般販売する予定はないが、念の為商業ギルドには登録してある。
薬剤ギルドではなく商業ギルドに登録したのは、薬剤ギルドでは素材や工程を隠しても良いらしく、現物を持ち込むだけで登録も可能なんだとか。それを利用して他人が作った魔法薬を自分が作ったと登録されちゃうこともあるらしく、組織としていまいち信用できない。
仮に塗る傷薬とかか他人によって薬剤ギルドに登録されても、既に商業ギルドに登録されてることを理由に取り消し可能だと言うのも有り、これから作るかも知れない魔法薬も全て商業ギルドに登録しようと考えている。
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