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幼年期3
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適性検査の結果は自己申告なので、その場で水属性と土属性の魔法に適性が有るらしいとだけ伝えて、その他については言わないでおいた。
水質変換のことを公にしたら近くで人が毒殺された時に真っ先に疑われそうな気がするし、毒を仕込んだ真犯人が俺に罪をなすり付けたりなんてこともあり得そうだから。
「ねえ、カルピシュ出してシャワシャワしてるほうの」
「さっきも飲んだでしょ。そんなに飲んだらトイレに行きたくなっちゃうよ」
「む、レディはトイレになんていかないわよ」
「いや行くでしょ」
毒を作れるかはともかく、魔法で出す水の味を変えられることはそのうち人に知られてしまいそうだ。
*
王宮での役職を持たない父は王都に居ることが少なく、たまに領地から出てくると毎日のように人が訪ねてくる。
我が家は代々魔の森からこの国へ侵入しようとする魔物を倒す重要な役割を任されている。
今は成長した兄たちが領地に残っているので父も王都にしばらく滞在することが出来るのだが、兄たちが幼かった頃は殆ど出ることがなくどうしても父自身が行かなくてはならない時以外は母が1人で来ていたそうだ。
そう言えば、自分の儀式の時は付き添いは母だけだったと兄たちが言っていたな。
魔の森の見張りから長い時間離れたくなかった父は、1番早いからと言う理由で自分たちで走って王都まで移動、距離を稼ぐ為に街などにはほとんど寄らずに野営で過ごし、宿に泊まるのはそのうち2日間くらいだったそうだ。
魔法のある世界で鍛えた男たちは馬を超える速さで走り続けることが可能らしい。俺はそんなのごめんなので馬に代わる移動手段を考えるなり便利な魔法を手に入れたい。
転移魔法みたいのは無いらしいので、魔法で車輪を回転させる車とかどうだろう? 無理かな。
幾ら早く走れるからと言っても疲れるし魔の森から出て来る魔物のことも有り領地を離れたくない父は、当時の王太子に「用事が有るならお前らが来いよ」と文句を言ったこともあるのだと目の前の少女が言っている。
うん、当時王太子で現在王様な父親を持つ少女が言っているんだ、目の前にいるんだそんな少女が。何しちゃってるのパパン…。
父の武勇伝? を聞き、呆けていたら聞き流せない声が聞こえた。
「それでね、リンが出してくれるカルピシュって飲み物が甘くて美味しいの!」
「甘くて美味しい飲み物!」
姉さん何バラしてるの?! いや、口止めとかしてないけど!
ああ、期待する目で父親が王様の少女がこっちを見てる…。
止めてくれるのを期待して連れの侍女らしき人を見ると似たような目で俺を見ている…。
護衛の騎士は流石に…だめだ、お姫様の護衛だからなのか女性の騎士だ、そして同じ目だ。
神様に追加で貰った土属性魔法でガラスのピッチャーを作って冷やしたカルピシュサワーを注ぐ。
グラスを人数分出し、氷を入れた。
液体の温度を変えられることに気がついてから訓練してお湯も氷も簡単に出せるようになった。
「毒が入っていないか確かめてく…って姉さん」
「そんなの入れてないでしょ、はいみんな飲んで飲んで」
「一応確かめてもらったほうが良いと思うんだけどなぁ…」
姉さんがグラスに注いで全員に渡した。
ま、まぁ、順番的にお姫様が最後に口にしたから、毒味はしたことになる…はず。
「あんたがこの子を殺害する理由は無いんだし、魔法で作った容器なんだから誰かが持ってきた物より安全でしょ。気にし過ぎなのよ」
「そうなのかなぁ」
カルピシュはその場にいた女子たちに大好評だった。
夏に甘くて冷たい飲み物が飲めるなんて最高の贅沢だとか褒められた。
普通の魔法使いが出す魔法の水は常温で、魔法で氷を作る人も居ないんだとか。あと、ピッチャーとグラスも凄いと言うのでお土産に持って帰すことにした。
我が家も王都邸も板ガラスの窓が付いてるのでガラス自体はそんなに珍しいものではないのでは? と尋ねたら、高価なガラスを使って日用品を作ることはしないんだそうだ。
そう言えば今まで陶器か金属だったな。日本に居た頃も陶器の食器と保温や保冷の二重になってる金属製マグカップを使っていたからガラスのコップが無いことをそんなに気にしてなかったわ。
その晩母にお願いされてガラスの薔薇を作った。
土属性魔法で作ったガラスの器を見た母が本物の薔薇を持ってきて
「これと同じ形の物を作れたりする?」と言うので挑戦してみたのだ。
コップと違い細かな作業を必要としたので使い慣れていない土属性魔法では中々思うように行かなくて大変だった。
次の日、ガラスの薔薇を見た母が満足そうに頷いた。
最初に作った細部が曖昧なのも含めて、母としては期待以上の出来だったらしく抱きしめられて撫で回された。
この世界、魔力の豊富な人ほど老化が遅いらしく、母の見た目は30に届いていないので魂年齢を上回る俺としては恥ずかしいような嬉しいような。
大変だったけど作っている時は楽しかったので色付けなども含めて色々と試してみようと思う、魔力操作の訓練にもなるし。
その夜、父と2人で夜会へ出かけた母が上機嫌で帰ってきた。
俺の作ったガラスの薔薇を同派閥内の女性たちと付けて参加し、別派閥から羨ましがられたのだとか。
いつの頃から王都に近い位置に家を持つ者ほど優れていると言う価値観が広がり始め、この国で王都から1番遠いうちを馬鹿にするようなことを言う身の程知らずが居てイラッとしてたのだとか。
父が言うには、領地を持たない王都の法衣貴族とやらに嫁いだ女の戯言に過ぎず聞き流せば良いだけのことらしいが、女には女の戦いが有るので男たちは何も言わないそうだ。
まぁ、男性貴族の中にも数名そのような考え方をしてるのが居るらしいから、多少気をつけた方が良いとも言われたが。
価値観の歪んだ馬鹿な女に育てられた子供が、修正されないまま大人になったらそうなるそうで。
王都に住む予定はないがめんどうごとに巻き込まれる要素っぽいから、頭の片隅にでも置いておこう。
*
母の友人とか父の友人が時折訪ねて来てはドリンクサーバー役をして居たので、王都観光とかはあまり出来なかった。
隠すつもりだったのに貴族間に広がっていく…と言うか、王家にも知られてるんだよなぁ。
「カルピシュとやらを飲ませて欲しい」
と言って、お姫様の両親が訪ねて来た時は流石にちょっと…。
父と母の友人枠で良いらしいのだが、自分の勤めていた会社の社長にも会ったことのない俺に国の王様を相手にするのは精神的に辛いんです。
あと、酒は出せないのかと何度も聞くのはやめてください、うっかり出して酒独占貴族に暗殺とかされたくないんで。
王族の次らしい公爵家とやらなうちは酒独占貴族よりも身分は上らしいのだが、日本ですら酒代欲しさに人を殺すような狂人がいたのに酒そのものが手に入りにくいこの世界では酒を報酬に人を殺す狂人が居ても不思議じゃないと思っている。
水質変換スキルを使って日本で飲んだお酒を自由に出すには、この環境をまず変えないと暗殺されたり誘拐されて人型ビールサーバーになる未来が待っている。
せめて襲われても逃げ切れるくらいの強さを手に入れるまではお酒類を出せることを知られてはならないのだ。
「酒を飲ませれば同じ物を出せるのではないのか?」
王様ヤメロ、父もソレだ!とか言うな。
水質変換のことを公にしたら近くで人が毒殺された時に真っ先に疑われそうな気がするし、毒を仕込んだ真犯人が俺に罪をなすり付けたりなんてこともあり得そうだから。
「ねえ、カルピシュ出してシャワシャワしてるほうの」
「さっきも飲んだでしょ。そんなに飲んだらトイレに行きたくなっちゃうよ」
「む、レディはトイレになんていかないわよ」
「いや行くでしょ」
毒を作れるかはともかく、魔法で出す水の味を変えられることはそのうち人に知られてしまいそうだ。
*
王宮での役職を持たない父は王都に居ることが少なく、たまに領地から出てくると毎日のように人が訪ねてくる。
我が家は代々魔の森からこの国へ侵入しようとする魔物を倒す重要な役割を任されている。
今は成長した兄たちが領地に残っているので父も王都にしばらく滞在することが出来るのだが、兄たちが幼かった頃は殆ど出ることがなくどうしても父自身が行かなくてはならない時以外は母が1人で来ていたそうだ。
そう言えば、自分の儀式の時は付き添いは母だけだったと兄たちが言っていたな。
魔の森の見張りから長い時間離れたくなかった父は、1番早いからと言う理由で自分たちで走って王都まで移動、距離を稼ぐ為に街などにはほとんど寄らずに野営で過ごし、宿に泊まるのはそのうち2日間くらいだったそうだ。
魔法のある世界で鍛えた男たちは馬を超える速さで走り続けることが可能らしい。俺はそんなのごめんなので馬に代わる移動手段を考えるなり便利な魔法を手に入れたい。
転移魔法みたいのは無いらしいので、魔法で車輪を回転させる車とかどうだろう? 無理かな。
幾ら早く走れるからと言っても疲れるし魔の森から出て来る魔物のことも有り領地を離れたくない父は、当時の王太子に「用事が有るならお前らが来いよ」と文句を言ったこともあるのだと目の前の少女が言っている。
うん、当時王太子で現在王様な父親を持つ少女が言っているんだ、目の前にいるんだそんな少女が。何しちゃってるのパパン…。
父の武勇伝? を聞き、呆けていたら聞き流せない声が聞こえた。
「それでね、リンが出してくれるカルピシュって飲み物が甘くて美味しいの!」
「甘くて美味しい飲み物!」
姉さん何バラしてるの?! いや、口止めとかしてないけど!
ああ、期待する目で父親が王様の少女がこっちを見てる…。
止めてくれるのを期待して連れの侍女らしき人を見ると似たような目で俺を見ている…。
護衛の騎士は流石に…だめだ、お姫様の護衛だからなのか女性の騎士だ、そして同じ目だ。
神様に追加で貰った土属性魔法でガラスのピッチャーを作って冷やしたカルピシュサワーを注ぐ。
グラスを人数分出し、氷を入れた。
液体の温度を変えられることに気がついてから訓練してお湯も氷も簡単に出せるようになった。
「毒が入っていないか確かめてく…って姉さん」
「そんなの入れてないでしょ、はいみんな飲んで飲んで」
「一応確かめてもらったほうが良いと思うんだけどなぁ…」
姉さんがグラスに注いで全員に渡した。
ま、まぁ、順番的にお姫様が最後に口にしたから、毒味はしたことになる…はず。
「あんたがこの子を殺害する理由は無いんだし、魔法で作った容器なんだから誰かが持ってきた物より安全でしょ。気にし過ぎなのよ」
「そうなのかなぁ」
カルピシュはその場にいた女子たちに大好評だった。
夏に甘くて冷たい飲み物が飲めるなんて最高の贅沢だとか褒められた。
普通の魔法使いが出す魔法の水は常温で、魔法で氷を作る人も居ないんだとか。あと、ピッチャーとグラスも凄いと言うのでお土産に持って帰すことにした。
我が家も王都邸も板ガラスの窓が付いてるのでガラス自体はそんなに珍しいものではないのでは? と尋ねたら、高価なガラスを使って日用品を作ることはしないんだそうだ。
そう言えば今まで陶器か金属だったな。日本に居た頃も陶器の食器と保温や保冷の二重になってる金属製マグカップを使っていたからガラスのコップが無いことをそんなに気にしてなかったわ。
その晩母にお願いされてガラスの薔薇を作った。
土属性魔法で作ったガラスの器を見た母が本物の薔薇を持ってきて
「これと同じ形の物を作れたりする?」と言うので挑戦してみたのだ。
コップと違い細かな作業を必要としたので使い慣れていない土属性魔法では中々思うように行かなくて大変だった。
次の日、ガラスの薔薇を見た母が満足そうに頷いた。
最初に作った細部が曖昧なのも含めて、母としては期待以上の出来だったらしく抱きしめられて撫で回された。
この世界、魔力の豊富な人ほど老化が遅いらしく、母の見た目は30に届いていないので魂年齢を上回る俺としては恥ずかしいような嬉しいような。
大変だったけど作っている時は楽しかったので色付けなども含めて色々と試してみようと思う、魔力操作の訓練にもなるし。
その夜、父と2人で夜会へ出かけた母が上機嫌で帰ってきた。
俺の作ったガラスの薔薇を同派閥内の女性たちと付けて参加し、別派閥から羨ましがられたのだとか。
いつの頃から王都に近い位置に家を持つ者ほど優れていると言う価値観が広がり始め、この国で王都から1番遠いうちを馬鹿にするようなことを言う身の程知らずが居てイラッとしてたのだとか。
父が言うには、領地を持たない王都の法衣貴族とやらに嫁いだ女の戯言に過ぎず聞き流せば良いだけのことらしいが、女には女の戦いが有るので男たちは何も言わないそうだ。
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価値観の歪んだ馬鹿な女に育てられた子供が、修正されないまま大人になったらそうなるそうで。
王都に住む予定はないがめんどうごとに巻き込まれる要素っぽいから、頭の片隅にでも置いておこう。
*
母の友人とか父の友人が時折訪ねて来てはドリンクサーバー役をして居たので、王都観光とかはあまり出来なかった。
隠すつもりだったのに貴族間に広がっていく…と言うか、王家にも知られてるんだよなぁ。
「カルピシュとやらを飲ませて欲しい」
と言って、お姫様の両親が訪ねて来た時は流石にちょっと…。
父と母の友人枠で良いらしいのだが、自分の勤めていた会社の社長にも会ったことのない俺に国の王様を相手にするのは精神的に辛いんです。
あと、酒は出せないのかと何度も聞くのはやめてください、うっかり出して酒独占貴族に暗殺とかされたくないんで。
王族の次らしい公爵家とやらなうちは酒独占貴族よりも身分は上らしいのだが、日本ですら酒代欲しさに人を殺すような狂人がいたのに酒そのものが手に入りにくいこの世界では酒を報酬に人を殺す狂人が居ても不思議じゃないと思っている。
水質変換スキルを使って日本で飲んだお酒を自由に出すには、この環境をまず変えないと暗殺されたり誘拐されて人型ビールサーバーになる未来が待っている。
せめて襲われても逃げ切れるくらいの強さを手に入れるまではお酒類を出せることを知られてはならないのだ。
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