のんびりダンジョン

水野(仮)

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ギルドと査定と私

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朝食を食べた後にすぐ探索者ギルドへ行こうと思ってたんだけど、シルたちがこの時間はまだ混雑してるので昼過ぎくらいが良いと言うので時間潰してから行くことにする。
美味しい仕事は早い者勝ちらしいのでそりゃ人も集まるわね。

「そういえば、なんで探索者ギルドって名前なの? 昨日軽く見た感じ、探索者って名前から受ける内容とは違う依頼が結構有ったけど」
「素材などを一括で管理した方が都合が良いとかでその当時1番流行っていた探索者ギルドを中心に複数のギルドがまとまったかららしいですね。なので護衛依頼とか採取依頼などもあります」
「他のギルドが無くても探索者ギルドだけは有るって街が多かったからってのも有るみたいですよ。この国はダンジョンの近くに街を作ることが多かったので」
「ダンジョンの近くに街を作るって、それ危なくないの?」
「特に何かが有ったってことはないですね、私たちが死んだ後はわかりませんけど」
「ふ~ん」

全てのダンジョンマスターがあの貧相な男みたいに襲ってくるわけじゃないのか。
あいつはなんだって私を殺そうと何年も襲い続けてきたんだろうか?



昨日のカフェでクッキーぽいものと烏龍茶ぽいものを頼み、街の様子を眺めている。
コアはバナナみたいな果物を注文、他の2人は肉だ。宿でも普通に食べたのにどうして肉なんだ、そしてどこに入るんだそれ。

「酸っぱい…」

バナナみたいな見た目なのに酸っぱいて、気になるわね…。

「一口貰える? 全部は要らないから、一口で良いから」

皿ごと押し付けるんじゃない。

「あ、確かに酸っぱい。けど、これはこれでキウイみたいで有りかな」
「キウイの方が甘くて美味しい」

なんか期待してる目で見てるけど、誰に見られてるかわからないところでは出さないわよ。



まだ時間があったので、少し遠回りして探索者ギルドへ向かった。
治安が悪いと言われた壁付近を歩いてたらゴミがそこかしこに落ちてるのが目に付く。落書きがないのはインクとかが貴重で買えないとかなんだろうな。
そんでそんなところを女4人が歩いてればアホが寄ってくるわけで、どいつもこいつも同じことしか言わないんで途中から進行方向に立った瞬間に蹴っ飛ばして殴り飛ばすことにした。
言葉が通じない生き物と会話出来ると思ってた少し前の自分が恥しいわ。



「こんにちは~」
「ようこそおいで下さいました聖女様」
「目は大丈夫ですか?」
「はい、前に付いていたものよりも良く見えるくらいです!」
「それは良かった」  

前に付いていたものってなんだ?

筋肉に案内してもらい、サッカーコートくらい有りそうな部屋?倉庫?へ入る。探索者ギルドって街中にこんな空間作る許可を貰えるくらいの力があるの組織なのか、凄いな。
リストにあるものを出すだけの広さや収納などを考えたら、買取カウンターじゃなくて直接倉庫へ行ってもらったほうが良いと考えてのことでここに案内されたらしいね。
それに周りに見られることで余計なトラブルに巻き込まれる可能性も有るからと。
こちらのことを考えてくれるのは嬉しいね。

「それではこれで。また何かありましたら」
「案内ありがとうございます」

筋肉が出ていったのを見送って前の人に向き合う。
…どこかで見たような雰囲気が有るのだけれど、初めて会う女性よね? 昨日の受付の女性はカウンターに居たし。んん?

「どうしました?」
「いえ、初めて会った気がしないなぁと」
「…昨日泊まった場所をお聞きしても?」

支配人さんはこの女性のお父さんで、道具屋さんはお兄さんなんだって。チェックインをした時に居たのは支配人さんの奥さんだったらしいから、全員に似ている感じ?
そしてこの女性はこの街の探索者ギルドの店長?らしい。

「もしや、この街を支配している?」
「それは私の家じゃないですよ」
「そうですよね」
「叔父の家ですね」

領主一族じゃないですか、やだ~。



時間の掛かるものを最初に出してベテラン勢が査定してる脇で普通の職員でもわかるようなものを並べていく。

貧相男のダンジョンボスだったドラゴンケンタウルスとか言う龍の足が馬みたいになってる新種の魔物を1番最初に出した時みんな固まってたわね。天井の高くない場所だったから走る速さを高める為に馬みたいな足を付けたのかも知れないけど、そんな魔改造するより草原エリアにして普通の龍にするとかした方が難易度上がったんじゃないかなとダンジョン運営側としては思うのよね。
あと、こいつ全長30メートルくらい有るから見失う程早く移動とかもしなかったし、おそらくうちの1階で増え続けるデ…アイアンドラゴンで倒せるんじゃないかなと思う。
ちなみに、ギルドに渡したリストにはドラゴン種巨大と書かれているだけなので出してみるまでわからなかったらしく、見てからでも良いかとの確認をされた。
ベテラン勢から買えとの圧力を掛けられてる店長の顔色が少し悪い。

次に驚いてたのは50メートルくらい有る謎の女性像かな。まぁ、私的には謎じゃないんだけど、お台場で見た事もある自由な女性像だったから。今更だけど貧相男はアメリカンなのかも知れない。だからなんだって話だけども。同郷でも命を狙って来た相手と一緒に居られるかって話よね。
で、この謎の女神像の何が驚かれたのかと言うと、素材鑑定の結果魔銀とか言う貴重な金属らしい。
この女神像は動いて攻撃して来たんだよね、関節とかが無いので動きはあまり良くなかったのだけど、大きい鉄の塊だからなかなかダメージを与えられなくて苦労した。
これの相手をする頃にはゴーレムは中にある動力源を潰せば良いってわかってたからなんとかなったけど、何も知らない時に会っていたらいつまで経っても倒せなかったんじゃないかと思う。 
これは、リストだとアイアンゴーレム巨大になっていたのだが魔銀となると話は別らしく予算内には収まらないので買えないかも知れないとの話をされる。
ただ、他の物を売って出来た資金で買い取れるかもとのことらしいので後日持ち込みして貰えたらって言われた。
収納庫に入れた時、ベテラン勢の1人が声を上げて泣いてビビった。金属査定担当の人で近くに工房を持ってる鍛冶職人でもあるのだとか。俺に金が有ったならー!とも叫んでいた。

貧相ダンジョンは四つ足の獣以外はほとんどゾンビばっかりだったので倒しても収納庫にしまわず放置してたのが多いんだよね。
腐った死体の使い道とか思いつかないし、そもそも持ちたくなかったのよね。だからダンジョン内で狩った魔物は少なく、先の2つ以外だと骨のドラゴンとか車に変形するゴーレムとかのボス系ばかりになる。

残りは死の森やら草原の固有種らしい。その辺のダンジョンや森にも出る魔物亜種とかになるんだとか。こっちは普通の職員でも査定経験があるからベテランじゃなくても良いらしい。
ただ、捕まえて血を吸ったり噛み切ったり心臓握り潰したりと倒し方がおかしいけど。
何も訊かれないので私からは何も言わないぞ。
血を吸って倒したものの査定が他のより良かったのは言うまでもない。剥製にしたら飾る金持ちとか多そうだもんね。
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