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街の住人を連れてきた
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「思った以上に人が入ってるわね」
「街の住民の8割くらいは居ると思います」
「今日は塔に入る人も少なかったですね」
クリス主導によるバトリング会場が今日からオープンする。
これは長い戦いの日々から解放されてハイ気味だった私が、深く考えずに再現したとあるアニメ作品に登場するロボット兵器と同じ形をしたゴーレム騎兵を使ったショープロレスのようなものだ。
実を言うと私はあんまり乗り気じゃなかったんだけど、街に住む人の娯楽として良いと支配人さんたちが言うので開催することにした。
この街には危険な森を越えてでもここへ来たいと考えた居場所の無い人が多く、精神的余裕が少ないので適度に発散させる場所を街中に作った方が良いのだとか。
それならスポーツ施設とかでも良いと思うんだけど、ゴーレム騎兵の兵器としての有用性を見せる場所を作ることで他国への牽制にもなるから都合が良いと言う。
なんでも、ゴーレム騎兵に蹂躙された宗教国家の話を聞いても話をそのまま信じるような者は国の中心に行くほど少なくなるんだそうな。現場は事実を見て考え、上の者は過去から似たような事例を探すのが国家というものだとバルも言っていた。
通信技術や録画技術が発達していた日本での感覚が残って居た私にはピンと来なかったが、この世界に生まれ育った人たちが有用だと思ったならそれが正しいんだろうな。
*
「いよいよデビュー戦か」
「緊張するぜ」
「昨日から全然眠れなかったぞ」
「おいおい、大丈夫かよ」
ふふ、みんな良い顔をしてるわね。
まあそうよね、この日の為にずっと練習して来たんだし。
「無事に終わったら、今日は繁華街で食べ飲み放題だからね! 気合入れて行きなさいよ!」
「はい、クリス教官!」
マスターが作ったゴーレ騎兵は自立思考が出来るので命令を出す者が1人居れば残りは無人でも街を襲う事くらい簡単に出来る。
実際その方法で宗教国家を半分くらい壊してるしね。
教典(装甲騎兵が出てくるアニメ作品をクリスは教典と呼ぶ)とは違い壊れ難いゴーレム騎兵は攻撃を避けるという動作をすることがない。必要が無いからなんだけど、それでは教典にあった様な盛り上がりは期待出来ないと考えて壊れるゴーレム騎兵をマスターに新しく作ってもらった。まぁ、壊れると言っても教典のように爆発したりしないけど。
初めはゴーレム騎兵の自立思考による対決をさせてたんだけど、全ての機体が近い動きをするので毎回似たような試合内容になってしまう。最初はこれでも珍しさから観客は楽しんでくれると思うんだけど、長く続けると飽きると思うんだよね。だからゴーレム騎兵に乗ってバトリングをする搭乗者を育てることにしたんだ。
搭乗者候補はお骨様のダンジョンが有る国から連れて来た少年少女たちだ。「毎日お腹いっぱい食べられるからうちに来ない?」 と声を掛けて20人ほど連れて来たのです。
最初に彼らのことを話したとき、マスターは返してこいと言ったんですけど、彼らが食事をしている様子を見て認めてくれました。
後でマスターに聞いたのですが、食べる物に困ったことが無いのでご飯に釣られて知らない街へ行こうと考える子供が居るとは思わなかったそうです。そして彼らの痩せた身体や身体を隠す為に巻かれた紙や布のような物を見て、望んできたのかも知れないと考え直したと言っていました。私たちには珍しくもないことなのですが、この世界の街をそんなに知らないマスターはこのような子供たちを見るのは初めてだったみたいですね。
お骨様のダンジョンが有る街は比較的安全で豊かですが、それでも孤児や家族でもない怪我人などを助ける余裕はないですからね。
それから暫くして使い道が無かった学校が少年少女たちや世話をする為に連れて来られた元病人怪我人の施設になりました。
そこではゴーレム騎兵の操縦だけでなく、それぞれの適性に合わせた訓練や授業が行われ、それに合わせて街の未使用部分などを拡張していきました。
学校から子供たちが出たときに経験を生かす場所がなくてはとマスターや支配人さんたちが色々と動いていたようですね。
人集めについてマスターと話した時、「箱だけ有っても人が居なければ街と呼べないでしょ」と言っていましたが、どんな理由であれ救われた人は嬉しいものなのですよ。
*
支配人さん改め領主代行さんが大会の挨拶をし、最初の試合が始まる。
ちなみに領主代行とは支配人さんが考えた役職で、私の代わりとして街を運営しているのだからこれで良いとのことだった。特に反対する理由も思い付かなかったのでOKした。
「ねえコア、あのふわふわしてる羽根の生えた球はなんなの?」
「あれはカメラの魔物なの」
「…何それ?」
「撮影班たちと考えて作った合成魔物で、カメラと蝙蝠を合体させて作った新しい仲間なの」
「合成魔物って…なに?」
「合成魔物は合成魔物なの」
いや、首を傾げたいのはこっちなんだけど?
魔物とカメラの合体って何それ?
後から聞いた話だと、異なる魔物同士を掛け合わせたり魔物と物を掛け合わせる機能がダンジョンコアには有るそうだ。辛気臭いマスターのドラゴンケンタウルスもそれで作ったのだとか。なんですその機能? その気になれば林檎の魔物とか稲の魔物とか作れるんじゃないんですか? あれ?それって新しい農法? 魔物を倒して収穫野菜って、無しよ無し、邪道よ邪道よ。特定の誰かにしか真似出来ない方法とか農法とは言えないです。
あ、液体肥料を出す水の精霊とかなら有り?
「街の住民の8割くらいは居ると思います」
「今日は塔に入る人も少なかったですね」
クリス主導によるバトリング会場が今日からオープンする。
これは長い戦いの日々から解放されてハイ気味だった私が、深く考えずに再現したとあるアニメ作品に登場するロボット兵器と同じ形をしたゴーレム騎兵を使ったショープロレスのようなものだ。
実を言うと私はあんまり乗り気じゃなかったんだけど、街に住む人の娯楽として良いと支配人さんたちが言うので開催することにした。
この街には危険な森を越えてでもここへ来たいと考えた居場所の無い人が多く、精神的余裕が少ないので適度に発散させる場所を街中に作った方が良いのだとか。
それならスポーツ施設とかでも良いと思うんだけど、ゴーレム騎兵の兵器としての有用性を見せる場所を作ることで他国への牽制にもなるから都合が良いと言う。
なんでも、ゴーレム騎兵に蹂躙された宗教国家の話を聞いても話をそのまま信じるような者は国の中心に行くほど少なくなるんだそうな。現場は事実を見て考え、上の者は過去から似たような事例を探すのが国家というものだとバルも言っていた。
通信技術や録画技術が発達していた日本での感覚が残って居た私にはピンと来なかったが、この世界に生まれ育った人たちが有用だと思ったならそれが正しいんだろうな。
*
「いよいよデビュー戦か」
「緊張するぜ」
「昨日から全然眠れなかったぞ」
「おいおい、大丈夫かよ」
ふふ、みんな良い顔をしてるわね。
まあそうよね、この日の為にずっと練習して来たんだし。
「無事に終わったら、今日は繁華街で食べ飲み放題だからね! 気合入れて行きなさいよ!」
「はい、クリス教官!」
マスターが作ったゴーレ騎兵は自立思考が出来るので命令を出す者が1人居れば残りは無人でも街を襲う事くらい簡単に出来る。
実際その方法で宗教国家を半分くらい壊してるしね。
教典(装甲騎兵が出てくるアニメ作品をクリスは教典と呼ぶ)とは違い壊れ難いゴーレム騎兵は攻撃を避けるという動作をすることがない。必要が無いからなんだけど、それでは教典にあった様な盛り上がりは期待出来ないと考えて壊れるゴーレム騎兵をマスターに新しく作ってもらった。まぁ、壊れると言っても教典のように爆発したりしないけど。
初めはゴーレム騎兵の自立思考による対決をさせてたんだけど、全ての機体が近い動きをするので毎回似たような試合内容になってしまう。最初はこれでも珍しさから観客は楽しんでくれると思うんだけど、長く続けると飽きると思うんだよね。だからゴーレム騎兵に乗ってバトリングをする搭乗者を育てることにしたんだ。
搭乗者候補はお骨様のダンジョンが有る国から連れて来た少年少女たちだ。「毎日お腹いっぱい食べられるからうちに来ない?」 と声を掛けて20人ほど連れて来たのです。
最初に彼らのことを話したとき、マスターは返してこいと言ったんですけど、彼らが食事をしている様子を見て認めてくれました。
後でマスターに聞いたのですが、食べる物に困ったことが無いのでご飯に釣られて知らない街へ行こうと考える子供が居るとは思わなかったそうです。そして彼らの痩せた身体や身体を隠す為に巻かれた紙や布のような物を見て、望んできたのかも知れないと考え直したと言っていました。私たちには珍しくもないことなのですが、この世界の街をそんなに知らないマスターはこのような子供たちを見るのは初めてだったみたいですね。
お骨様のダンジョンが有る街は比較的安全で豊かですが、それでも孤児や家族でもない怪我人などを助ける余裕はないですからね。
それから暫くして使い道が無かった学校が少年少女たちや世話をする為に連れて来られた元病人怪我人の施設になりました。
そこではゴーレム騎兵の操縦だけでなく、それぞれの適性に合わせた訓練や授業が行われ、それに合わせて街の未使用部分などを拡張していきました。
学校から子供たちが出たときに経験を生かす場所がなくてはとマスターや支配人さんたちが色々と動いていたようですね。
人集めについてマスターと話した時、「箱だけ有っても人が居なければ街と呼べないでしょ」と言っていましたが、どんな理由であれ救われた人は嬉しいものなのですよ。
*
支配人さん改め領主代行さんが大会の挨拶をし、最初の試合が始まる。
ちなみに領主代行とは支配人さんが考えた役職で、私の代わりとして街を運営しているのだからこれで良いとのことだった。特に反対する理由も思い付かなかったのでOKした。
「ねえコア、あのふわふわしてる羽根の生えた球はなんなの?」
「あれはカメラの魔物なの」
「…何それ?」
「撮影班たちと考えて作った合成魔物で、カメラと蝙蝠を合体させて作った新しい仲間なの」
「合成魔物って…なに?」
「合成魔物は合成魔物なの」
いや、首を傾げたいのはこっちなんだけど?
魔物とカメラの合体って何それ?
後から聞いた話だと、異なる魔物同士を掛け合わせたり魔物と物を掛け合わせる機能がダンジョンコアには有るそうだ。辛気臭いマスターのドラゴンケンタウルスもそれで作ったのだとか。なんですその機能? その気になれば林檎の魔物とか稲の魔物とか作れるんじゃないんですか? あれ?それって新しい農法? 魔物を倒して収穫野菜って、無しよ無し、邪道よ邪道よ。特定の誰かにしか真似出来ない方法とか農法とは言えないです。
あ、液体肥料を出す水の精霊とかなら有り?
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