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水のワイバーンで少し移動した先に草原があったので地ならしした後に宿を置き、その日は眠った。
水の精霊が魔物避けの魔法を使ってくれたらしく、目が覚めるまで襲われることはなかった。
「城を収納したのはやり過ぎだったかも知れない」
起きたらやり過ぎだったと後悔してしまった。
王様たちも流石に庇ってくれないかも…。
「返しても許してくれないと思うわよ」
「そうだろうなぁ」
「だから気にしないで良いと思うわ」
やってしまったことは消えないしな。
城は何処かの森にでも捨てるなり、武器として魔物にぶつけたりしよう。高いところから落とせば地竜も潰れると思うし。
*
街道の上を帝国に向かって飛んでいる。
水のワイバーンに追い付く馬とか無いだろうし、昨日城の中を見た限りでは空を飛ぶ騎獣も無かったから追い付かれないと思う。
街道から離れて迷子になる方が怖いし。
「下で呼んでるわよ」
騎馬兵が200くらい?
首都に向かってるのか?
「よく聞こえるな、さすが精霊」
「まあね」
得意げな顔がなかなか可愛い。
「なんて言ってるかわかる?」
「城を消したのは君かと言ってるわね」
「は?」
なんで知ってる?
「どうするの?」
「気になることも有るし、話を聞いてみようと思う」
*
少し離れた所に降りてみる。
「2人で頼む! 大勢で来られたら話を聞かずに逃げる!」
「了解したー!」
なんか王子様っぽいのとその護衛みたいのがやってくる。
「紹介や事情は要らない、目的だけ頼む」
「わかった。君は昨日城を消した」
「ああ」
「戻すことは可能か?」
「可能だ」
「我々が首都を取り戻した後に城が必要なので戻して欲しい、ただとは言わない」
「了解した、それと代金は要らない」
「要らない?」
「俺はこれを返して欲しかっただけだ、城はついでだ」
王様が俺の身分を保証する為に持たせた硬貨を投げ渡す。
2人で硬貨を確認し、なんか気まずそうな顔をする。
しまった! 他国に知られてしまった! コイツ消さないと! とかじゃないよな?
「君はサーシャ王国の騎士か」
「騎士ではないが王直属ではある」
貴族になる時にそんなこと言ってたし。
「君のこれからの予定を聞きたい」
「帝国へ行く」
「帝国に行く使者を拘束しようとしたのか兄上は…」
小声だけど聞こえました。
護衛ぽい人と小声で相談してる、ちょっと暇。
「20日後くらいに首都に来られるだろうか?」
「何事も無ければ」
「それまで城を預かっていてもらえるか?」
「少し不安がある。なので首都の近くに置いておくと言うのはどうか?」
「置いておくとは?」
「攻めるなら拠点があった方が良いのでは? 目の前に奪われた城が現れたら城の主人だった者は穏やかではいられないだろう」
「君は城を自由に移動させることが出来るのか? その場に無くても?」
「ああ」
驚いた顔で少し止まった後に動きだし、護衛と顔を見合わせて頷く。
「よろしく頼む」
「では、全員を首都の近くまで運ぼう。城を置く場所はそれから決めてくれ」
「は?」
相手が納得するまで説明するのは面倒なので許可を取らずに収納する。
*
「首都まで歩いて10分くらいのとこに出せば良いのかな?」
「まずかったら何か言われるでしょ」
「それもそうだな」
騎馬を全員街道に出す。
「城の近くに運ぶとは?」
「ここがそうだ」
「は?」
首都の壁を指さす。
「これは…」
「君は転移魔法が使えるのか?」
「だから王直属にされた」
答えない。
勘違いするならそれで良い。
「サーシャ王国と帝国の距離が無くなるのか…」
いや、無くならないけどね? 収納だしね? 訂正しないけどね?
「城はどこへ出す? 森の木なら気にしなくて良い」
「ここで良い」
「わかった」
街道沿いの木を収納した後に整地して城を置く。地上部分だけしか持ってきてないので平地に置くだけなら簡単。
元の場所に置くのはめんどくさそうだな…、無料で引き受けたのは気前良過ぎたかも…。
*
「首都に入る門の扉は取り外した方が攻めやすいか?」
「そんなこともできるのか」
城を置いた後、都市に入りやすい方が良いかなと思って門を外すか訊いたら驚かれたのだが。
城を運べるの知っててそこ驚くものなのか?
「いや、そこまでは良い」
「そうか。なら我らは行く」
「手間をかけた」
「なに、隣国が混乱しては我らも影響を受けるからな」
水のワイバーンを出して乗り帝国に向かう…前に気になっていたことを聞く。
「そう言えば、なぜ離れた所に居たのに城が無くなったのを知っていた? 俺の事もだ」
「城内に俺の部下が居る。そいつは俺に声を届けることが出来る」
「なるほど」
遠くに居る相手に声を届けるスキルが有るのか、便利だな。
ん、城の中に居たなら収納しただろうし使えるようになってるかも知れないな。でも使うと複数のスキルを使えることが知られてしまうかも…、使わない方が良さそうだな。
「それでは20日くらい後に」
「ああ、世話になった」
半日遅れたがまぁ良いか。
*
「あの若さでどれだけのことが出来るのだ彼は」
「転移だけではなさそうですね、水の飛竜は魔道具でしょうか?」
「彼の力を使えば他国の城に兵を送り込めると思うか?」
「出来ないとは思えませんね」
「そうか」
「兵を送り込まなくても城を真上に転移させて落とすだけで終わります。城は後から作るなり他所から転移させれば良いでしょう」
「…まいったな、このまま兄上に王で居てもらおうかな」
「それは無理なようですね、白旗が振られてます」
水の精霊が魔物避けの魔法を使ってくれたらしく、目が覚めるまで襲われることはなかった。
「城を収納したのはやり過ぎだったかも知れない」
起きたらやり過ぎだったと後悔してしまった。
王様たちも流石に庇ってくれないかも…。
「返しても許してくれないと思うわよ」
「そうだろうなぁ」
「だから気にしないで良いと思うわ」
やってしまったことは消えないしな。
城は何処かの森にでも捨てるなり、武器として魔物にぶつけたりしよう。高いところから落とせば地竜も潰れると思うし。
*
街道の上を帝国に向かって飛んでいる。
水のワイバーンに追い付く馬とか無いだろうし、昨日城の中を見た限りでは空を飛ぶ騎獣も無かったから追い付かれないと思う。
街道から離れて迷子になる方が怖いし。
「下で呼んでるわよ」
騎馬兵が200くらい?
首都に向かってるのか?
「よく聞こえるな、さすが精霊」
「まあね」
得意げな顔がなかなか可愛い。
「なんて言ってるかわかる?」
「城を消したのは君かと言ってるわね」
「は?」
なんで知ってる?
「どうするの?」
「気になることも有るし、話を聞いてみようと思う」
*
少し離れた所に降りてみる。
「2人で頼む! 大勢で来られたら話を聞かずに逃げる!」
「了解したー!」
なんか王子様っぽいのとその護衛みたいのがやってくる。
「紹介や事情は要らない、目的だけ頼む」
「わかった。君は昨日城を消した」
「ああ」
「戻すことは可能か?」
「可能だ」
「我々が首都を取り戻した後に城が必要なので戻して欲しい、ただとは言わない」
「了解した、それと代金は要らない」
「要らない?」
「俺はこれを返して欲しかっただけだ、城はついでだ」
王様が俺の身分を保証する為に持たせた硬貨を投げ渡す。
2人で硬貨を確認し、なんか気まずそうな顔をする。
しまった! 他国に知られてしまった! コイツ消さないと! とかじゃないよな?
「君はサーシャ王国の騎士か」
「騎士ではないが王直属ではある」
貴族になる時にそんなこと言ってたし。
「君のこれからの予定を聞きたい」
「帝国へ行く」
「帝国に行く使者を拘束しようとしたのか兄上は…」
小声だけど聞こえました。
護衛ぽい人と小声で相談してる、ちょっと暇。
「20日後くらいに首都に来られるだろうか?」
「何事も無ければ」
「それまで城を預かっていてもらえるか?」
「少し不安がある。なので首都の近くに置いておくと言うのはどうか?」
「置いておくとは?」
「攻めるなら拠点があった方が良いのでは? 目の前に奪われた城が現れたら城の主人だった者は穏やかではいられないだろう」
「君は城を自由に移動させることが出来るのか? その場に無くても?」
「ああ」
驚いた顔で少し止まった後に動きだし、護衛と顔を見合わせて頷く。
「よろしく頼む」
「では、全員を首都の近くまで運ぼう。城を置く場所はそれから決めてくれ」
「は?」
相手が納得するまで説明するのは面倒なので許可を取らずに収納する。
*
「首都まで歩いて10分くらいのとこに出せば良いのかな?」
「まずかったら何か言われるでしょ」
「それもそうだな」
騎馬を全員街道に出す。
「城の近くに運ぶとは?」
「ここがそうだ」
「は?」
首都の壁を指さす。
「これは…」
「君は転移魔法が使えるのか?」
「だから王直属にされた」
答えない。
勘違いするならそれで良い。
「サーシャ王国と帝国の距離が無くなるのか…」
いや、無くならないけどね? 収納だしね? 訂正しないけどね?
「城はどこへ出す? 森の木なら気にしなくて良い」
「ここで良い」
「わかった」
街道沿いの木を収納した後に整地して城を置く。地上部分だけしか持ってきてないので平地に置くだけなら簡単。
元の場所に置くのはめんどくさそうだな…、無料で引き受けたのは気前良過ぎたかも…。
*
「首都に入る門の扉は取り外した方が攻めやすいか?」
「そんなこともできるのか」
城を置いた後、都市に入りやすい方が良いかなと思って門を外すか訊いたら驚かれたのだが。
城を運べるの知っててそこ驚くものなのか?
「いや、そこまでは良い」
「そうか。なら我らは行く」
「手間をかけた」
「なに、隣国が混乱しては我らも影響を受けるからな」
水のワイバーンを出して乗り帝国に向かう…前に気になっていたことを聞く。
「そう言えば、なぜ離れた所に居たのに城が無くなったのを知っていた? 俺の事もだ」
「城内に俺の部下が居る。そいつは俺に声を届けることが出来る」
「なるほど」
遠くに居る相手に声を届けるスキルが有るのか、便利だな。
ん、城の中に居たなら収納しただろうし使えるようになってるかも知れないな。でも使うと複数のスキルを使えることが知られてしまうかも…、使わない方が良さそうだな。
「それでは20日くらい後に」
「ああ、世話になった」
半日遅れたがまぁ良いか。
*
「あの若さでどれだけのことが出来るのだ彼は」
「転移だけではなさそうですね、水の飛竜は魔道具でしょうか?」
「彼の力を使えば他国の城に兵を送り込めると思うか?」
「出来ないとは思えませんね」
「そうか」
「兵を送り込まなくても城を真上に転移させて落とすだけで終わります。城は後から作るなり他所から転移させれば良いでしょう」
「…まいったな、このまま兄上に王で居てもらおうかな」
「それは無理なようですね、白旗が振られてます」
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