手で触れた液体をお酒にする変な能力を手に入れだけどわりとなんとかなりそうです

水野(仮)

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黒魔法

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5歳で酒魔法を貰ってから3年が経った。
1年くらい前に手に入れた氷結魔法をどうにか攻撃に使えないかと思って毎日魔力が無くなるまで使っていたのだけれど、幾らイメージしたところでビールサーバーより勢い良く出すことは出来なかった。
色々工夫したけど勢いはそのままで味や香りが変化するだけだったので攻撃魔法化は諦めた。
実際の商品が何種類あるか知らないけど30近くも出せるんだから俺は頑張ったと思うよ。

「黒魔法を使えるようになってるわね」
「そうですか」
「嬉しくないの? 攻撃特化型よ?」
「おそらく酒魔法からの派生だと思うので黒魔法ではないと思われますよ、姉上」

黒ビールとかだろどうせ。

「透明ね」
「そうですね?」

お酒関連で黒って黒ビールじゃないのか?
ウイスキーは黒と言うより茶色だし…。

「騎士団長を呼んで」
「騎士団長殿は不在に御座います」
「隣の国に依頼されて魔物退治に行くと言っていましたよ、姉上」
「他に誰か居ないかしら?」

本当は俺が味見するのが1番早いんだけど、子供の身体にアルコールは良くないしな。
酒魔法からの派生だから体に悪い物ってことはな…くもないのか? 身体に悪いアルコールだから黒の可能性も、メチルアルコールとか言うのが飲むと死ぬとか聞いたことがあるな。

「もしかしたら危険な液体かも知れないですよ姉上。だから黒なのかもしれませんし」
「そう言う意味での黒、あり得るわね。街の地下牢に居る囚人で試したほうが良いかしら」

そこから父を含めて話し合いが持たれた。
飲んだら最悪死ぬかも知れない液体を自分の子供が出すのだからな。
俺の居る場所で毒殺事件が起きた時に犯人扱いされる可能性も出てくるわけだし、生涯家から出られないことも有り得る。
俺が出すのが美味い酒だけじゃないと分かった時に酒目当てでうちの領地へやって来た連中がどう言う反応を示すのかも気になるし、結構大ごとになってしまった。

後日囚人に飲ませたが身体に異常が出ることもなく、心を入れ替えるので月に一度でも良いからこれを飲ましちゃくれませんかとまで言われたそうだ。

「黒って、まさか黒麹仕込み???」

白魔法も出たのでおそらくそうなのだろう…。

わかりやすく焼酎魔法とかにしてくれませんかね?

*****
☆父の話
父は俺が攻撃魔法を手に入れられなかったことを残念に思って居たのだが、今は酒魔法は素晴らしいなと手のひらを返している。
攻撃魔法じゃなかったことで俺を責めるのではなく父自身の不甲斐無さを責めていたのでそのことに対して思うことはない。 
私の血は争いに向いていないのかも知れないと言っていた。

☆本当の当主
その時に聞いた話では、本来家を継ぐのは英雄と言われた兄だったらしく内政向きだった父は武に偏りがちな我が家を継ぐのに相応しくないと思って居たそうだ。
父の兄で有る叔父はどうなったのかと聞いたら、龍王国で王になったのだとか。

でも、兄さんや姉上を見ると戦いに向いてそうな気がしますよ?
たまたま酒魔法なんて覚えた俺が変なだけで。

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