手で触れた液体をお酒にする変な能力を手に入れだけどわりとなんとかなりそうです

水野(仮)

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その氷結じゃねーよ!

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酒魔法に対する理解を深める為に毎日魔力が尽きるまで用意された液体などをお酒に変えていた日のこと。

「氷結魔法を覚えてるわよ?」
「え?」
「私の魔眼で人を見ると使える属性が見えるのは知ってるわよね?」

初めて知ったけども…。
魔眼なんて物があるのかこの世界。
知らないと言うと姉さん怒りそうだし、知ってることにしよう。

「うん」
「それでね見たところ、貴方の使える属性に氷結が増えてるのが見えたのよ」
「氷結魔法! おお、普通に攻撃魔法みたいだ!」
「だから試してみて」
「うん」

使用人に言って練習場に的を用意してもらう。
何故か的の他にテーブルと器が用意された。

「このテーブルの器は?」
「酒を美味しく飲む為の氷を作る魔法なんじゃないかと騎士団長が」
「酒魔法の次に手に入れた物ですからな、普通の氷結魔法よりそちらの可能性が高いのではと思いましてな」

お酒が絡まないと良い人なんだけどな、騎士団長…。

気を取り直して、的に向かって氷結魔法を撃つことにする。

「氷結!」

氷の塊が的を貫くイメージを頭に浮かべたにもかかわらず、何故か手から出たのは液体だった。 

「なんで?」
「氷ですらありませんね」
「おかしいわね?」
「…なんだかお酒の匂いがしますな」
「は?」

いやいやいや、ないでしょ。

「う~ん、今度はこの器に氷結魔法を撃ち込んでみて。騎士団長はそれの味見を」
「姉さん、本気?」
「お任せを」
「本気よ」

仕方がない、やってみるか。
なんとなく心当たりがなくもないしな、まさかとは思うけども…。

「氷結!」

器の中にシュワシュワした透明な液体が溜まっていく。
まさか、本当に?

「飲んでみて」
「はい」

騎士団長は一気に飲み干した…味見じゃないんかい。

「ふむ、多少弱いですが喉に対する刺激がなかなかに心地良いですな。冷えているのも良いですな」

やっぱりそれかよ、紛らわしい!
檸檬堂とかストゼロとかわかりやすいのあるのになんで氷結なんだ!
喜んだ分だけショックでかいよ!

「泣いているの?」
「だって普通の攻撃魔法が手に入ると思ったのに…、お酒を作る魔法の次がお酒を出す魔法なんて酷いよ、意味わからないよ…」
「お酒ではあるけれど、水を飛ばす魔法であることには変わりないわ。ちょっと変わってるけど水属性魔法として使える可能性は有るわね」
「ほんと!」
「ええ」

半年ほど練習しましたが攻撃魔法として使えるようにはなりませんでした。
液体の味と香りは変わったそうです。

「坊ちゃんの酒目当てにエルダードワーフの職人がこの地へ来るそうですよ」
「ドワーフ!」

おお、この目でドワーフを見られるとは!
酒に関係する魔法しか使えないけど悪いことばかりではないな。
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