手で触れた液体をお酒にする変な能力を手に入れだけどわりとなんとかなりそうです

水野(仮)

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龍が来た

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12歳の秋、そろそろ進路を決めなければならない。

魔法の才能が有った姉は王都の学校へ通っていたが、普通の魔法が使えない俺は通わないで良いと思っている。
俺の魔法の棚は酒魔法で埋め尽くされてしまっているのか、不向きで有っても魔力があるなら使えると言われている火水風の初歩魔法すら使えないのだ。
魔力を使って身体能力を向上させるのは魔法扱いされないのか出来るようになったので、騎士を目指すのも良いかと考えている。

姉さんから聞いた学校の様子を俺に当てはめると、実技テスト方法が俺と合わないから成績悪いのは確実で殺したら問題になるから学内トーナメントだと実力発揮出来ない。実践訓練では大型魔獣を殺して結果を出すもアホな生徒や教師に不正を疑われるとかだろうか? いや、流石に貴族として教育された子がそんなことを言い出したりしないか。まぁ、俺の家格を考えたら同格以下でイチャモンつけてきた奴を見せしめに殺しても構わないだろうし、それを見たら相手も黙るだろう。
だめだな、有りもしない未来を想像して自分の嫌な部分が見えてしまった。盗賊を殺すことにも慣れてきたせいか物騒な思考をしてしまうな。



「あれなんだろう?」
「どちらですか?」
「夕日より少し右」
「龍?!」

父に報告が行く。
騎士団や魔法士団総出で全力警戒、それから街へも避難指示を出したようだ。
俺は城壁から団長たちと向かってくる龍を見ている。最初は避難しろと言われたのだが我儘を言って残らせてもらった。

「真っ直ぐこちらに向かってきますな」
「街を襲うつもりなのかな?」
「わかりませぬな」
「1000年以上前はあったそうですが、龍王国の建国以降は管理されて襲わなくなったと聞いています」
「だとしたら龍王国からの使者の可能性も有るの?」
「彼らは街道を移動してきますな。龍と関係が有る国と言いましても自由に龍を操れ……る人が居ましたな」
「龍王様か」
「龍王様?」
「領主様の兄上の妻と言えば良いですかな?」

女性なのに龍王なの?

そう言えば龍で乗り付けて叔父を攫って行ったんだっけか。
強い男を探して諸国をまわり、叔父が勝ったら夫にするからと連れ帰ってしまったらしい。

そのせいで父が当主になり、この家に嫁ぐことが決まっていた母は叔父ではなく父と結婚した。
戦闘狂とまでは行かないが前線に立ちたがる叔父よりも歳が近く内政向きの父の方が私には合ってたからこれで良かったと母は言っていた。
叔父がどう思っているかは知らないが、我が家は良い感じなので俺も良かったと思う。
戦い好きな叔父の子供に産まれて居た場合、酒魔法だと! そんな者は我が家から出て行け! とか言われたかも知れないし。

それから暫くして龍は城壁の前に降りた。
デカい、超デカい、身体だけでもダンプカー3台分くらいは有る、こんなのが空を飛ぶとか信じられない。
これに戦いを挑むのは勇者じゃなくて狂人だよ。

「ここにお酒を出す子が居るって聞いたんだけどあってる?」
「龍が人の言葉を喋った?!」

流石はファンタジー生物だ!

「そんなわけないでしょ?!」

龍が前屈みになったら、女の子が見えた。

「なんだつまらない」
「初対面の相手にそんなこと言われたの初めてだわ…」

*****
☆龍王国
龍王国の王族に生まれた女性は龍と契約をして召喚することが出来る。

王族から女性しか産まれない国、龍王国。
初代が龍の化身だからだと言われているが事実はわからない。
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