手で触れた液体をお酒にする変な能力を手に入れだけどわりとなんとかなりそうです

水野(仮)

文字の大きさ
9 / 18

龍王国に到着した

しおりを挟む
最初の街と似たようなやりとりを何度か繰り返し、俺は意図せず大金を手に入れてしまった。
大型魔獣の希少部位以外を売るだけでこんなにお金が貯まるとは…、希少部位を売ったらどれくらいの値段になるのだろう。
これは傭兵として魔物を狩って生きていくのも有りなのでは?

「でも、空を飛んで移動出来ないし俺専用のマジックバッグとかがないから運べないしなぁ」
「龍は渡せないけどマジックリングなら言えば私のより容量大きいの貰えるかも知れないわよ」
「マジで?」
「この中に入ってる物はそれだけ価値があるのよ、結婚祝い程度で贈られたら困るくらいにね」

そうなのか。
うちでは作業の分担がきっちりされてるから狩って持ち込むだけで買い取りとか気にしたことないからな。
マジックバッグも狩へ出かける時に誰かが持ってくるので自分専用のを買おうと考えたこともなかった。
家から出るならその辺りの知識を学ばないとダメか。
買取交渉とか上手く出来そうな気はしないし、その辺りを任せられる人を探す必要が出てくるか。

いや、別に家から出る必要も無いのか。今と同じ生活を続けても…、いや何時迄も家に居たらダメだろう。
何者になりたいわけでもないけれどせめて独立はしないと。
幸い戦えて稼げるスキルも持っていることだしさ。

「貴方、あの家の子なのに何も知らないの?」
「その手の知識はまだ学んでないんだよ」
「そういえば何歳なの?」
「12歳」
「もっと上だと思ってたわ」

精神年齢はもっと上だからね。
でも、身体はこの世界の12歳と変わらないよ?



城の中に直接龍で降りると、使用人や騎士みたいな人達がやってくる。

「みんなただいま! 無事に連れて来たわよ!」
「ご無事でなによりです!!」
「姫さまお帰りなさい!」
「その坊主が酒仙人ですか!」
「やはり強いのですか!」

愛されてるんだなドラゴン娘。
つか、酒仙人てなんだ? あと、やはり強いのが正義みたいな価値基準なのか?

「彼が酒魔法使いね、そして強さは私が保証するわ! これを見なさい!!」

そう言ってここへ来る途中に倒した龍を出す。
強さを疑われる前に見せつけてあげましょうって話になり、ドラゴン娘が召喚する龍ほどの大きさはないが軍を出さないと倒せないと言われる龍を1体倒したんだ。
私の実力では絶対倒せないし外傷もない、解体すれば血が酒に変わってるのがわかるから疑う者は城から居なくなるし、外の連中でも情報収集能力が高い人は恐る。貴方に何か言ってくる連中は馬鹿か無能だけだから殺しても構わないって言われてさ。
彼らの反応を見ると成功みたいだな。

「これを彼が?」
「そう、1人でね!」
「「「「「おお!!」」」」」
「早速解体お願い、その龍の血はお酒になってるから一滴も漏らさずにね!」
「龍の血を酒に?! それは本当ですか!!」
「本当よ!! ドワーフが龍種の血はこの世の酒の中で1番だと言っていたわ!」
「「「「「「「「「「「おおー!!」」」」」」」」」」」

俺が龍を1人で倒したと知った時より反応凄くないか?
前世で毎日晩酌するくらいには酒好きだったけど、美味い酒が飲めることにそこまで喜んだりはしなかったぞ…。

*****
龍王国
戦闘民族なので酒好きで有る。
狩った龍は肉の味が保証される年代物。
血も錬金術ギルド大喜び物件。
でも、そんな血を酒に? 大丈夫? それ飲めるの?
アル中のプロのお墨付きだぜヤッホー!!

なお、降りたところは汗臭くなかった。
建物の中はまだわからない。

マジックリング
身に付けることで触れた物を異空間に収納出来るようになるマジックアイテム。
ドラゴン娘のは時間停止機能付きでだいたいバスケットコートくらいの容量。
龍王国の城の中でだけ作られるのであまり出回っていない。
龍の夫になる家や贈呈品に使われることが多い。
盗まれても契約者の元に帰ってくる安全安心設計。

マジックバッグ
魔術に秀でていると言われる魔導王国がマジックリングを解析して作ったマジックアイテム。
バッグの見た目以上に入るのは確かだが口より大きな物を入れられないので大型魔獣を持ち運ぶ時は解体してからになる。
容量は少なく最大でも六条一間分くらいで時間停止機能やお帰り機能はない。

これを作る為にマジックリングを7つほどダメにして解析したらしい。

魔導王国
他国の王族から借りたマジックリングを壊して返せなくなった魔導王国は多額の賠償金を払い切れず領土が都市1つにまで減ったと言う。
一応、魔法を極めるなら魔導王国へ行けと言われているところではある。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処刑回避のために「空気」になったら、なぜか冷徹公爵(パパ)に溺愛されるまで。

チャビューヘ
ファンタジー
「掃除(処分)しろ」と私を捨てた冷徹な父。生き残るために「心を無」にして媚びを売ったら。 「……お前の声だけが、うるさくない」 心の声が聞こえるパパと、それを知らずに生存戦略を練る娘の、すれ違い溺愛物語!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...