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あの子
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最初に聞いたのは従兄弟にお酒を作れる子が居るって話。
この世界ではお酒はとても貴重な物で、日本で飲んだものに比べて明らかに劣るものでも高値で取引される。
魔物による被害がある為農村は農地を簡単に広げることができず、畑の殆どは主食となる穀物類を育てているのでお酒にする為の植物を育てる余裕はない。
貴族が屋敷の敷地内に自分で飲む用や贈り物に使う為の酒を作るのに必要な畑を作り収穫後に醸造し出来た酒の中で出来が悪いのを市場へ流す、それがこの世界で流通しているお酒だ。
王宮が放出する数年間備蓄した麦を使った酒などはそこそこの値段で取引されるが、酔えれば何でも良い人向けと言える。
そんな物でも気軽に飲める値段ではないのがこの世界で有る。
太陽が出ているうちから酒を飲んで酔っ払ってるのはそれなりに金を持っていると言える。
昔の西洋では生水が飲めない時の飲料水代わりみたいな事もあったらしいが、この世界では生水に浄化魔法を使って簡単に飲料水を作ることが出来るので酒は完全な嗜好品で有る。
何処かの国でワインの為に葡萄畑を作った農村があったそうだが、小麦の収穫量が減ったことで税を払えず結局葡萄畑は小麦畑になったそうだ。
葡萄畑に切り替えた時にその国の別な地方で水害が起こり、国全体で小麦の収穫が落ち込んだことも影響があったんだと思う。
魔物被害と食料事情、これがこの世界でお酒を気軽に飲めない理由。
そんな中、美味しいお酒を魔法で作る子供が居ると聞いたら人はどう思うだろう。
そしてそれが親族ならば会ってみたい、作ったお酒を飲んでみたいと思うのは当然じゃないだろうか。
この世界へ来る前の私の楽しみは寝る前の晩酌と酒場放浪記で行ったお店巡りだった。
酒場放浪記を見ながら通販で買ったお酒やツマミを食べるのは至福のひと時だった。
周りから見たら寂しいかも知れないけど、私は幸せだったんだい!
ただ、その酒場巡りが私が殺されるきっかけになるとはね。
横浜にある市民酒場で飲んだ帰りに駅のホームで酔っ払いのおっさんと口論になり、気の強かった私はそのおっさんを言い負かした。
そして地元への電車が来たので乗る為に移動したらホームに突き落とされ電車に轢かれた。
その後どうなったか知らないが、防犯カメラに映っていて殺人罪で裁かれて欲しいと願う。
特に誰にも会わないまま、私はこの世界に産まれた。
王族の三女とかなり恵まれていると思う。
早い段階で魔法があることに気が付いた私は、やる事がなかったので暇つぶしに魔法で遊んでいた。
王国の姫なら個人の能力に限らずそれなりに暮らせるでしょと思ったので本気で魔法の訓練はしてなかったのだけど、他の人たちより数年早く魔法に触れたことで同年代の平均を飛び抜けた才能を持ったようだ。それこそ10歳にして城で働く魔道士よりも魔力量と魔力操作能力が高いと言われるくらいに。
ただ、洗礼の儀式で手に入れたのは既存の全属性魔法適正だけだった。
周りの人達は凄いと褒めてくれたので当時は嬉しかったのだけれど、相当な修練が必要になるとは言え時間を掛ければ全属性を使えるようになると知ったらそんなに凄い物ではないのかなと思うようになった。
努力を重ねて全属性を使えるようになったエルフが私の先生としてやってきてその思いは強くなった。
せっかく転生したのだから、血を吐くような努力を数十年しても手に入らない能力が欲しかったなと思った。
そんな時に聞いたのが触った液体を酒に変える従兄弟である。
既存の属性とは関係無い唯一無二なオリジナルの魔法、羨ましかった。
しかも液体を酒に変えると言う、晩酌好きだった私には喉から手が出るくらい欲しい能力。
会ってみたい! 話してみたい! その力で何が出来るか見てみたい!
私は下の姉に彼の事を教え、上の姉の結婚式で出せたら良いねと言った。
姉が連れて来た子はなんか冷めていた。
本当に12歳か疑問に思うくらい冷めていた。
あんなに大きな龍を仕留める力を持っているのに自慢するわけでもなく、出来るからやっただけみたいな感じだった。
何故だか知らないが私はムカついた。
私とあの子は合わないと思った。
でも見た目は好みだった。
だからなのか話してみようと思った。
廊下に隠れてママとの話しを聞いていたら、一度も話すことなくフラれた…。
「青春の馬鹿野郎ー!」
会ってみたら変わるのではないかと思ってママに頼んでリベンジしたのだけど断られた…。
その後、隠れて観察をしていると気になる話しを聞いた。
弱いお酒だけど喉がしゅわしゅわして楽しめるのも出せると言う彼はメイドが用意した樽に向かって氷結と言ったのだ。
氷結でしゅわしゅわした酒って完全にアレでしょ?
私は確かめる為に彼の部屋へ突入し、逃げられないよう上に乗って肩を押さえた。
う、近くで見るとドストライクだこの子。
前世の私は特にショタを愛でると言うことはなかった。
だからこの子を好きなのは今の私だ。
*****
2021年4月21日
作品タイトルの「スキル」を「魔法」に変更した。
読み返したら1話以外酒魔法と書いてたので…。
2021年4月22日
タイトルを元に戻した。
なんか違和感があったので…。
この世界ではお酒はとても貴重な物で、日本で飲んだものに比べて明らかに劣るものでも高値で取引される。
魔物による被害がある為農村は農地を簡単に広げることができず、畑の殆どは主食となる穀物類を育てているのでお酒にする為の植物を育てる余裕はない。
貴族が屋敷の敷地内に自分で飲む用や贈り物に使う為の酒を作るのに必要な畑を作り収穫後に醸造し出来た酒の中で出来が悪いのを市場へ流す、それがこの世界で流通しているお酒だ。
王宮が放出する数年間備蓄した麦を使った酒などはそこそこの値段で取引されるが、酔えれば何でも良い人向けと言える。
そんな物でも気軽に飲める値段ではないのがこの世界で有る。
太陽が出ているうちから酒を飲んで酔っ払ってるのはそれなりに金を持っていると言える。
昔の西洋では生水が飲めない時の飲料水代わりみたいな事もあったらしいが、この世界では生水に浄化魔法を使って簡単に飲料水を作ることが出来るので酒は完全な嗜好品で有る。
何処かの国でワインの為に葡萄畑を作った農村があったそうだが、小麦の収穫量が減ったことで税を払えず結局葡萄畑は小麦畑になったそうだ。
葡萄畑に切り替えた時にその国の別な地方で水害が起こり、国全体で小麦の収穫が落ち込んだことも影響があったんだと思う。
魔物被害と食料事情、これがこの世界でお酒を気軽に飲めない理由。
そんな中、美味しいお酒を魔法で作る子供が居ると聞いたら人はどう思うだろう。
そしてそれが親族ならば会ってみたい、作ったお酒を飲んでみたいと思うのは当然じゃないだろうか。
この世界へ来る前の私の楽しみは寝る前の晩酌と酒場放浪記で行ったお店巡りだった。
酒場放浪記を見ながら通販で買ったお酒やツマミを食べるのは至福のひと時だった。
周りから見たら寂しいかも知れないけど、私は幸せだったんだい!
ただ、その酒場巡りが私が殺されるきっかけになるとはね。
横浜にある市民酒場で飲んだ帰りに駅のホームで酔っ払いのおっさんと口論になり、気の強かった私はそのおっさんを言い負かした。
そして地元への電車が来たので乗る為に移動したらホームに突き落とされ電車に轢かれた。
その後どうなったか知らないが、防犯カメラに映っていて殺人罪で裁かれて欲しいと願う。
特に誰にも会わないまま、私はこの世界に産まれた。
王族の三女とかなり恵まれていると思う。
早い段階で魔法があることに気が付いた私は、やる事がなかったので暇つぶしに魔法で遊んでいた。
王国の姫なら個人の能力に限らずそれなりに暮らせるでしょと思ったので本気で魔法の訓練はしてなかったのだけど、他の人たちより数年早く魔法に触れたことで同年代の平均を飛び抜けた才能を持ったようだ。それこそ10歳にして城で働く魔道士よりも魔力量と魔力操作能力が高いと言われるくらいに。
ただ、洗礼の儀式で手に入れたのは既存の全属性魔法適正だけだった。
周りの人達は凄いと褒めてくれたので当時は嬉しかったのだけれど、相当な修練が必要になるとは言え時間を掛ければ全属性を使えるようになると知ったらそんなに凄い物ではないのかなと思うようになった。
努力を重ねて全属性を使えるようになったエルフが私の先生としてやってきてその思いは強くなった。
せっかく転生したのだから、血を吐くような努力を数十年しても手に入らない能力が欲しかったなと思った。
そんな時に聞いたのが触った液体を酒に変える従兄弟である。
既存の属性とは関係無い唯一無二なオリジナルの魔法、羨ましかった。
しかも液体を酒に変えると言う、晩酌好きだった私には喉から手が出るくらい欲しい能力。
会ってみたい! 話してみたい! その力で何が出来るか見てみたい!
私は下の姉に彼の事を教え、上の姉の結婚式で出せたら良いねと言った。
姉が連れて来た子はなんか冷めていた。
本当に12歳か疑問に思うくらい冷めていた。
あんなに大きな龍を仕留める力を持っているのに自慢するわけでもなく、出来るからやっただけみたいな感じだった。
何故だか知らないが私はムカついた。
私とあの子は合わないと思った。
でも見た目は好みだった。
だからなのか話してみようと思った。
廊下に隠れてママとの話しを聞いていたら、一度も話すことなくフラれた…。
「青春の馬鹿野郎ー!」
会ってみたら変わるのではないかと思ってママに頼んでリベンジしたのだけど断られた…。
その後、隠れて観察をしていると気になる話しを聞いた。
弱いお酒だけど喉がしゅわしゅわして楽しめるのも出せると言う彼はメイドが用意した樽に向かって氷結と言ったのだ。
氷結でしゅわしゅわした酒って完全にアレでしょ?
私は確かめる為に彼の部屋へ突入し、逃げられないよう上に乗って肩を押さえた。
う、近くで見るとドストライクだこの子。
前世の私は特にショタを愛でると言うことはなかった。
だからこの子を好きなのは今の私だ。
*****
2021年4月21日
作品タイトルの「スキル」を「魔法」に変更した。
読み返したら1話以外酒魔法と書いてたので…。
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タイトルを元に戻した。
なんか違和感があったので…。
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