快楽の檻は出られない。という夢を見ました

出られない部屋

ある日、ひとりの女が目を覚ます。

ここはどこ……？

甘ったるい香りが鼻の奥をくすぐる。

体を起こすと、寝かされていたのはピンクのハート型のベッド。部屋には窓もドアもない。まるで、誰かの悪夢の中に閉じ込められたようだった。

ベッドの脇には『メニュー』と書かれた冊子が置かれている。ぼんやりとした視界で画面を見ると、とんでもない事が書いていた。

「快楽リスト…？」

意味がわからない。

ふと、背後から気配を感じ振り返ると、そこには信じられないほど美しいまるで人形のような青年がソファに腰掛けこちらを見ていた。

吸い込まれそうなほど深く赤い瞳、人形のように整った顔立ち。しかし、その美しさにはどこか冷たい残酷な響きを感じた。

「お目覚めですか、アミティ。」

青年の声は、滑らかで、耳に心地よい。
しかし、なぜ私の名前を知っているのだろう？

「あなたは…？」

「私はヴァン。あなたをこの檻に閉じ込めた悪魔ですよ。」

悪魔？頭が痛い。
彼は何を言っているんだろう。

「召喚者は君ですよ、アミティ。君は俺を呼び出し、そして、快楽を求めたでしょう？」

記憶がない。そんなことした覚えはない。

「何を言っているの…？そっか、これは夢なのね。」

アミティは再び眠りにつこうとベッドに潜り込んだ。
ヴァンは薄く笑う。

「それは難しいでしょうね。快楽の檻。夢ではありませんし、出口などありませんよ？まぁ、すぐゆ出たくなくなりますよ。いっぱい…夢見させてあげますからね。」

ヴァンは私に近づき、指先で私の頬をなぞる。
ぞっとするような感覚が背筋を走る。

「あなたは、ここで永遠に快楽に溺れるのです。俺と共に」

ヴァンは悪魔。そして、私は彼の囚われの身。
悪魔と名乗る彼の言葉を信じたくはないが、

それがこの夢の設定らしい。変なの。

「どうせ夢だしいいか…」

アミティはヴァンの言葉に乗ることにした。