いきなり魔界に呼び出された俺は、魔界一しょぼい村の主人になった!

Chiaki

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第1章

#5 君の瞳にエボリューション!

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スライムが紫色に変化し、何事もなく去って行った。

周りのゴブリンたちも唖然としていた。

「主人様・・・あ、あれはいったい・・・」

「俺にもよくわからん・・・。ただ、なんだか元気そうだ。大丈夫なんだろう・・・」

体が一回り大きくなり、色も変わった。

現実世界やゲームで言うところの”進化”そのものだった。

あいにくスライムは戦闘にも参加しないし、探索にも加わらない。
変化したところで外見以外の何が変わったのか、よくわからない。

他のスライムを見てみる。
が、いつもどおり。

何の変哲もないただのスライムがそこにいた。

「なんであいつだけ変わったんだ?」

少しの間、色の変わっていないスライムを見ていたが、
ぷるぷると震えながらそこら辺をウロウロするだけ。
他、変わったところはなさそうだった。

謎が深まるばかり。

族長っぽいゴブリンに聞いてみてもよくわからないと答えた。

ただ、この周辺の魔物にもああいう症状はあるらしい。

ついこの間までなんの代わり映えもないただの魔物が、次に会った時には
がらっと見た目や大きさが変わっていたこと。

それでも頻繁に見るようなものじゃなく、族長も今まで2,3回しか見たことがないらしい。
あのスライムもその類のものなんだろうと推測。

あそこまで見た目や大きさが変わってるんだ。
進化として捉えても良いだろう。

もし進化というものが存在するとして
もしそれがゴブリンにも適用されるものだったとしたら?

以前、こいつらはゴブリンキングとか言うやつの手下だった。
ゴブリンキングという個体がいるのか?
それともゴブリンから進化をして、ゴブリンキングになるのか?
それはわからないが、もし後者なら?
この村の戦闘力を十分に上げることができる。

それについても族長に聞いてみた。

「以前、お前達はゴブリンキングに仕えていたんだろ?そいつはあいつらみたいな見た目からキングになったのか?」

その問いに族長は答える。

「いいえ主人様。前主人様は元々ゴブリンキングでした。この村にやって来た頃からです。」

「やって来た頃?」

「はい。我々は元々今より少ない数で群れをなしていました。そこにやって来たのが、前主人様なのです。」

「なるほど。この村で変化したわけではないないのか。」

ユウはまた顎に手を置き考える。

「そうでございます。ですが、前主人様は我々の上に立つ前、こうおっしゃられておりました。」

「?」

「「ここに来る前に、勇者達を5人。葬って来た。」と。」

「ふむ…」

「ですので、もしかすると戦闘を繰り返しゴブリンキングになられたのではないか…と。」

成る程。
一理ある。
まるでゲームの世界だ。
戦闘し、経験値を貯め、進化する。
まるでポケ○ンだな。

「ありがとう族長。重大な情報だ。」

族長は嬉しそうにわなわなし大きく頭を下げた。

さて。
現在ゴブリンは8匹。
そいつらが全員ゴブリンキングになったら、勇者が攻め込んできても返り討ちにすることができるかもしれない。

まぁそうなると誰がゴブリンの王になるんだって話なんだが。。。
ともかくそれはおいておこう。

この進化に関する情報はかなり貴重だ。
なぜスライムが進化したのか?
本当に戦闘経験で進化するのか?
気になる所だ。

なんだってスライムは戦闘に加わってないからな。
戦闘経験で進化するならあいつは何故進化した?

そして、その進化論はこいつらゴブリンにも適用できるのか?

俺は、スライムが進化に至った過程から調査することにした。

まずはスライムの観察に入る。

うむ、今日も元気にぷるぷる震えているな。
スライムはゆっくりウロウロしている。
何をするわけでもなくただウロウロしている。

何かきっかけがあるかもしれない。

「スライムちゃん~。俺に色々見せてくれよ~。」





10分後ーーーーー

「ふむ、未だウロウロしているだけ...と。」

紙とペン、はないので、薄い石版と炭を持って調査記録を書いている。

この10分間。スライムがしたことといえば...


ウロウロだけである。

「変化なし…と…!」





20分後ーーーーー

「なるほど。ウロウロしたあとは、ウロウロするのか。」

行動はまだ変わらない。

「おい、もう少しなんか特殊な事をしてくれ。見てるこっちも飽きてくるんだ。」

そうスライムに言ったが、プルプルしてるだけ。

「はぁ…」

思わずため息が出る。

もしかしてこいつらは移動することによって経験値を得れるのか?
そうだとしたら楽な奴らだな。





30分後ーーーーー

スライムは未だプルプルしながらウロウロしている。

ユウはと言うと、近くにあった切り株の上にすわり、肩肘付いて顎を支えていた。

「特殊な行動…変化…特になし…」


スライムはプルプルしてるだけ。




40分後ーーーーー

プルプル、ウロウロ、プルプル、ウロウロ。

「はぁ…お前、一日中そうなのか?一体毎日何を考えて生きてるんだ?」

プルプル、ウロウロ。

「もういい!お前にはがっかりだ!スライムよ!この数十分お前は何をした!プルプルしてウロウロしただけだぞ!分かっているのか!?スライムよ!」

スライムに向かって大声を出し、注意した。

プルプル、プルプル。

スライムはその場でプルプルしている。
なんとなくだが、怒られてシュンとしている様なしてないような。

ユウはハッとして、

「すまん、言いすぎた。俺も必死でな…突然こんな世界に来たんだ。まだ体が慣れてないんだろう。なぁスライム。お前なら分かってくれるよな?」

スライムはじっとこちらを見てプルプルしている。

ユウはウンウンと頷いた後、分かったかのように言った。

「分かってくれるか。いい奴だ。今日の観察はここまでにしよう。流石に飽きて来た。」

返事がないスライムに向かって1人で喋っていると、1匹のゴブリンがやって来た。

「おろ、主人様!こんな所で何をされているんでえ?」

ゴブリンは肩に担いだ木の棒に、山菜を山ほど持って現れた。

「あぁ、スライムに用があってな。まぁ、もう用は終わったんだが…。お前は?」

「そうでしたか。あっしはこのスライムに毒抜きをお願いしようと思いましてねえ。ほおれ、この山菜だぁ。」
 
ゴブリンは毒のある山菜をスライムに向かって放り投げた。
スライムはその山菜をゆっくり体内へ入れていく。

観察に飽きたユウは話し相手をゴブリンに変えた。

「斥候は戻ってきたか?」

「斥候ですかい。あぁ、あいつらならさっき帰って来ましたよ。何でも今日の獲物はシロジカらしいですぜえ。」

「シロジカ?」

「ええ!身の肥えたシカでございます。肉は柔らかく、スジが少なくて赤身が多いんです。肉は大きめに切って、表面を炙るように焼くのがオススメでしてねえ。ジュージューと脂が滴りいい匂いが鼻を~~…絶品ですよお」

おいおいおいなんだお前は!
ゴブリンの癖に美味そうな肉の表現しやがって!
腹が減ってくる言い方してんじゃねぇ!

「よし!ワトソン君!そのシロジカと言うのはどこにある!?」

「ワ、ワト、なんですってえ?」

ユウは斥候の元へ歩き出す。
それを見たゴブリンが慌ててスライムから山菜を抜いた。

その時だった。

「あ、主人様!」

ゴブリンに呼ばれ後ろを振り返る。

「なんだ、シロジカよりも重要なことか?」

ぼやきながらゴブリンに近づくと、スライムの様子がおかしいのがわかった。

スライムの中からいくつも気泡が出て、ぶくぶく音を立て始めた。

「お、おい、これって...」

「え、ええ、あのスライムと同じです」

スライムは徐々に色が変色し、紫色に変わっていった。
大きさも先ほどと違い、一回り大きくなった。

スライムの中の気泡がなくなり、紫色で少し大きなスライムに変化した。
その後、またぷるぷるしだしてどっかへ移動していった。

ユウとゴブリンはぽかーんと、それを見てるだけだった。

「色、変わったな...」

「え、ええ、かわりました...」

二人を尻目にスライムはごきげんな様子だった。






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