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第1章
#8 あの日見たゴブの名前を僕達はまだ知らない。
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次の日の朝、例のリーパーの話をするべく、見たと言うゴブリンを呼び出した。
部屋をノックする音が聞こえ、通すとそのゴブリンがやって来た。
「お呼びで?」
ゴブリンの視線の先にはユウが座っている。
あぐらをかき腕を組みながら目を瞑って。
「おう、来たか。まぁそこに座ってくれ」
部屋の中は重々しい空気に包まれていた。
その空気の重さにゴブリンは少しばかり戸惑う。
のしのしとこちらに近づき
地図の奥側にゴブリンが座った。
「それで…話というのは…」
額に冷や汗をかきながら、ゴブリンはゴクッと生唾を飲む。
視線はユウに釘付けだ。
ゴブリンの言葉から数秒。
目をゆっくり開き、
「あぁ…話というのがな…」
ーーーーーーー
ここは、村から南に下った所にある川。
1匹のゴブリンが水を汲みに来ていた。
ゴブリンはご機嫌なのか鼻歌を歌っている。
「ごぶごぶ~♪ごっぶごぶごぶごぶぶ~~♫」
ゴブリンがご機嫌に水を汲んでいると、川上から何かが流れてきた。
「ごぶ?」
ゴブリンがよーく見るとそれは人。
それも女性。
女性は流木にしがみつき流されている。
「ご…ごぶ…!!」
ゴブリンが驚いて固まっていると、その流木に乗った女性は、川の流れによってこちらに近づいてきた。
そして、流木は女性を乗せたまま砂利浜に。
ゴブリンの目の前で止まった。
「ご、ごぶ…」
驚いて固まったままのゴブリン。
女性をよく観察してみる。
髪の毛は金色で長髪。
耳は長く、尖っている。
すらりとした体に細い指。
その指には、キラリと光る指輪があった。
生きているのか確かめるべく、近くにあった木の棒でその女性を突いてみる。
トントン、トントン。
・・・・・・・・・。
「ふぅー…」
反応が無いことを確認し、ゴブリンは額の汗を拭う。
その瞬間、女性が木の棒をガシッと掴んだ。
ひっ!ゴブリンの体は硬直してしまい時が止まる。
「たす…けて…」
その女性は一言発し、また目を瞑った。
ゴブリンはわなわなしながら一歩づつ後退りする。
「ご、ご、ご…」
数歩下がり、振り向いて村に駆け出した。
「たいへんやーーーーーー!!!!」
そう叫びながら。
ーーーーーーー
「呼んだのは他でもない。お前が以前見たと言う、リーパーの話だ。」
「そのリーパーについて何か知ってる事があれば教えてほしい。」
ゴブリン大きく深呼吸をした。
「ふぅー…分かりました。あの日の事をお話しましょう…」
ゴブリンそう言うとゆっくり話し始めた。
「あの日は…そう穏やかな日でした。わっちは食料を探しに森へ…行ってました。吹く風が気持ちよくてねぇ。毎日がこうだと良いのに…なんて思ってま…「ちょっと待て。」
ユウは手の平を前にし話を止めた
ゴブリンは口を開けたまま止まる。
「どうしました?」
「お前…えらい詩的だな…物書きかなにかか…?」
ゴブリンは首を傾げた。
「いや、止めて悪かった。続けてくれ。」
ユウがそう言うと、コホンと咳をつきゴブリンが話し始めた。
「あの日はそう穏やかな日で…「待て!また最初から喋らなくて良い!途中からでいいよ!」
ゴブリンは口を開けたまま止まっている。
「途中からでいいです?」
「いいよ…途中からで」
ユウは頭を抱えながらそう言った。
ゴブリンはコホンと咳をし先程の続きを話し出す。
「わっちが食料を探していると、急に寒気がしたんです。何かなと思い視線を前に向けました。そしたら、遠くの方に大きな鎌を持った魔物が1匹。そいつは全身黒いローブで覆われていて、ふわふわと浮きながらその辺を巡回してました。わっちは、一目で分かりました。”リーパー”だと。」
ユウは黙って話を聞いている。
「時間は、日が傾いた後です。暗くなろうとしている時にそいつは現れたんです。わっちは見た瞬間、殺されると思ってその場を離れました。ちなみにその時は、そいつ1匹だけ。他の魔物も居ませんでした。参考になったかわかりませんがこれが、わっちの持っているリーパーに関する情報です。怖くてそれ以上は…」
「いや、いい。十分だ。」
なるほど。
日が傾いた後に出現…か。
魔物がいるんだ、幽霊の類が居ても不思議じゃない。
むしろその線が濃くなってきた。
もし相手が幽霊だとしたら?
俺の持ってる常識では、攻撃はすり抜ける。
実態を持たないってのが俺のイメージする霊だ。
だが、現実世界の常識なんかアテにならないってのはこの世界にきて痛感している。
「何にせよ対峙してみたいとわからんな。」
その言葉にゴブリンが驚く。
「あ、主人様!もしかして、あのリーパーを倒しに行くんですかい!?」
ゴブリンは前のめりになりながらユウに聞く。
「ん?あぁ、そのつもりだ。だからこうして情報を集めているんだ。」
ゴブリンはほぇーと腰を抜かしたようにその場に座る。
しばらく一人で考え事をしていると、外から騒がしい声が聞こえた。
大変だ!って声もしていた。
ユウはゴブリンと目を合わせた後、外に飛び出す。
そこには息を切らし膝に手をつくゴブリンと村にいたゴブリン達がいた。
ゴブリン達は怯えた様な顔でこっちを見た。
「どうした!そんな慌てて!」
ユウがそう言うと、ぜぇぜぇ息を吐きながらゴブリンが言った。
「人が!人が川に流れ着きました!」
「なっ…!」
その一言で、ゴブリン達は騒ぎ出した。
「勇者か?また勇者なのか?」
「やっと村が出来たってのに…」
ゴブリン達はがっくし肩を落としている。
ユウはゴブリンに近づき両手で肩を抑える。
「おい!そこまで案内しろ!」
ゴブリンは未だぜぇぜぇ言っている。
「ぜぇ…ぜぇ…え…?またおいら走るの…?」
部屋をノックする音が聞こえ、通すとそのゴブリンがやって来た。
「お呼びで?」
ゴブリンの視線の先にはユウが座っている。
あぐらをかき腕を組みながら目を瞑って。
「おう、来たか。まぁそこに座ってくれ」
部屋の中は重々しい空気に包まれていた。
その空気の重さにゴブリンは少しばかり戸惑う。
のしのしとこちらに近づき
地図の奥側にゴブリンが座った。
「それで…話というのは…」
額に冷や汗をかきながら、ゴブリンはゴクッと生唾を飲む。
視線はユウに釘付けだ。
ゴブリンの言葉から数秒。
目をゆっくり開き、
「あぁ…話というのがな…」
ーーーーーーー
ここは、村から南に下った所にある川。
1匹のゴブリンが水を汲みに来ていた。
ゴブリンはご機嫌なのか鼻歌を歌っている。
「ごぶごぶ~♪ごっぶごぶごぶごぶぶ~~♫」
ゴブリンがご機嫌に水を汲んでいると、川上から何かが流れてきた。
「ごぶ?」
ゴブリンがよーく見るとそれは人。
それも女性。
女性は流木にしがみつき流されている。
「ご…ごぶ…!!」
ゴブリンが驚いて固まっていると、その流木に乗った女性は、川の流れによってこちらに近づいてきた。
そして、流木は女性を乗せたまま砂利浜に。
ゴブリンの目の前で止まった。
「ご、ごぶ…」
驚いて固まったままのゴブリン。
女性をよく観察してみる。
髪の毛は金色で長髪。
耳は長く、尖っている。
すらりとした体に細い指。
その指には、キラリと光る指輪があった。
生きているのか確かめるべく、近くにあった木の棒でその女性を突いてみる。
トントン、トントン。
・・・・・・・・・。
「ふぅー…」
反応が無いことを確認し、ゴブリンは額の汗を拭う。
その瞬間、女性が木の棒をガシッと掴んだ。
ひっ!ゴブリンの体は硬直してしまい時が止まる。
「たす…けて…」
その女性は一言発し、また目を瞑った。
ゴブリンはわなわなしながら一歩づつ後退りする。
「ご、ご、ご…」
数歩下がり、振り向いて村に駆け出した。
「たいへんやーーーーーー!!!!」
そう叫びながら。
ーーーーーーー
「呼んだのは他でもない。お前が以前見たと言う、リーパーの話だ。」
「そのリーパーについて何か知ってる事があれば教えてほしい。」
ゴブリン大きく深呼吸をした。
「ふぅー…分かりました。あの日の事をお話しましょう…」
ゴブリンそう言うとゆっくり話し始めた。
「あの日は…そう穏やかな日でした。わっちは食料を探しに森へ…行ってました。吹く風が気持ちよくてねぇ。毎日がこうだと良いのに…なんて思ってま…「ちょっと待て。」
ユウは手の平を前にし話を止めた
ゴブリンは口を開けたまま止まる。
「どうしました?」
「お前…えらい詩的だな…物書きかなにかか…?」
ゴブリンは首を傾げた。
「いや、止めて悪かった。続けてくれ。」
ユウがそう言うと、コホンと咳をつきゴブリンが話し始めた。
「あの日はそう穏やかな日で…「待て!また最初から喋らなくて良い!途中からでいいよ!」
ゴブリンは口を開けたまま止まっている。
「途中からでいいです?」
「いいよ…途中からで」
ユウは頭を抱えながらそう言った。
ゴブリンはコホンと咳をし先程の続きを話し出す。
「わっちが食料を探していると、急に寒気がしたんです。何かなと思い視線を前に向けました。そしたら、遠くの方に大きな鎌を持った魔物が1匹。そいつは全身黒いローブで覆われていて、ふわふわと浮きながらその辺を巡回してました。わっちは、一目で分かりました。”リーパー”だと。」
ユウは黙って話を聞いている。
「時間は、日が傾いた後です。暗くなろうとしている時にそいつは現れたんです。わっちは見た瞬間、殺されると思ってその場を離れました。ちなみにその時は、そいつ1匹だけ。他の魔物も居ませんでした。参考になったかわかりませんがこれが、わっちの持っているリーパーに関する情報です。怖くてそれ以上は…」
「いや、いい。十分だ。」
なるほど。
日が傾いた後に出現…か。
魔物がいるんだ、幽霊の類が居ても不思議じゃない。
むしろその線が濃くなってきた。
もし相手が幽霊だとしたら?
俺の持ってる常識では、攻撃はすり抜ける。
実態を持たないってのが俺のイメージする霊だ。
だが、現実世界の常識なんかアテにならないってのはこの世界にきて痛感している。
「何にせよ対峙してみたいとわからんな。」
その言葉にゴブリンが驚く。
「あ、主人様!もしかして、あのリーパーを倒しに行くんですかい!?」
ゴブリンは前のめりになりながらユウに聞く。
「ん?あぁ、そのつもりだ。だからこうして情報を集めているんだ。」
ゴブリンはほぇーと腰を抜かしたようにその場に座る。
しばらく一人で考え事をしていると、外から騒がしい声が聞こえた。
大変だ!って声もしていた。
ユウはゴブリンと目を合わせた後、外に飛び出す。
そこには息を切らし膝に手をつくゴブリンと村にいたゴブリン達がいた。
ゴブリン達は怯えた様な顔でこっちを見た。
「どうした!そんな慌てて!」
ユウがそう言うと、ぜぇぜぇ息を吐きながらゴブリンが言った。
「人が!人が川に流れ着きました!」
「なっ…!」
その一言で、ゴブリン達は騒ぎ出した。
「勇者か?また勇者なのか?」
「やっと村が出来たってのに…」
ゴブリン達はがっくし肩を落としている。
ユウはゴブリンに近づき両手で肩を抑える。
「おい!そこまで案内しろ!」
ゴブリンは未だぜぇぜぇ言っている。
「ぜぇ…ぜぇ…え…?またおいら走るの…?」
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