寂しさを埋めるために飼ったヒモは、思っていたのと違う危険生物でした。

音央とお

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相手をするつもりがなかったけど、やり直さないか?のひと言にカチンときた。

「浮気しておいて何言ってんのよ! それも三股でしょ? ふざけんな!」

大学時代の元カレ・大翔ひろとは女遊びが激しかった。正直、自分が本命だったのかすら怪しい。

顔がそこそこ良くて、フレンドリーで、交友関係の広い男だとは思っていたけど、それを浮気に上手く利用していたと知った時は、自分の見る目のなさを嘆いたものだ。

もう別れて2年も経つのに一切音沙汰がなかった。
どうせ、ずっと忘れられなかったのも、でまかせに決まっている。

「健太郎くん」

様子を見守っていた、うちのヒモ男くんに声を掛ける。
その顔には大翔への軽蔑が浮かんでいて、なんだかそれだけですっきりした。

「行こっか。会計終わったら、何か食べようよ。何がいい?」

もう大翔のことは無視をする。
「おい!」とか声が大きいけど、何も聞こえません!

「オムライス」と、健太郎くんは心地の良い声で返事をしてくれて、嬉しさに笑みを浮かべる。

「いいね、行こう。健太郎くんといると楽しいな」

これは大翔への当てつけ。でも、本音。

「俺もだよ」

腕を取られる。
まるでカップルみたいにして立ち去る。

……これは、気を回してくれたやつだな。

大翔は信じられないものを見る目をしていた。ざまーみろ!
 

……と、すっきりしたものの。健太郎くんには見苦しいものを見せてしまった。

「先ほどは、ごめんなさい」

近くの喫茶店に入り、健太郎と向き合うように座ったタイミングで頭を下げた。

「大丈夫? 変なのに絡まれたけど」

「変なのって」

そのとおりだけど吹き出してしまう。
健太郎くんがいてくれたら大丈夫だった。

「助けてくれてありがとうね」

「……別に。これくらい普通だし」

目を逸らすのが可愛い。耳が髪の色みたいに赤くなっている。

大翔アイツのせいで恋愛は暫くいいかなって気分になって。でも、誰かとは一緒に居たくて。それで、日奈子に」

健太郎くんの目を見ながら微笑む。

「うちに来てくれてありがとう」

健太郎くんは小さく「うん」と頷いた。
ちょっと重く聞こえちゃったかな?
でも、これくらいなんてことないよね?


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