「後輩くんが真面目すぎて、ちょっと怖い話を聞いてほしい」

音央とお

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生徒会の会計。
人望があるわけでも、成績優秀でもない私がそのポジションに収まることになったのは、担任の些細なひと言だった。

「次の選挙で、会計だけ立候補者がいなくて推薦として出してもいいかな?」とまだ若い先生は気さくに声をかけてきた。

なんで私? そんな疑問はあったけど、大した理由は無さそうな気がして聞くのはやめておいた。
たまたまここにいたのが私ってだけだろうし、困った顔で言い訳を探されたら傷付くので。

軽く咳払いをする。

「まあ、出るだけならいいですよ」

どうせ当選なんてしない。
数名の候補者の中から選ばれた、その形にしたほうが箔も付くってもの。
そのための人員の一人にならなろうじゃないか。

……と、思っていた時期もありました。

異変に気付いたのは、とうとう投票日って時。
先生から「実は……」と告げられた内容に白目をむきそうになった。

「……は? 他の候補者がいない?」
「声をかけたけど承諾してくれる生徒がいなくて。背山さんの他に唯一いた子も、直前になって辞退を言い出してね。君だけになりました」
「いやいやいや! それなら私も辞退します!」
「すまない、もう手遅れだ」
「はぁ!?」

手を合わせ合掌してくる先生は「後悔させないから」などと言ったが、もう既に後悔している。

私の断末魔の叫びだけが、校舎に響き渡ったのである。





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