「後輩くんが真面目すぎて、ちょっと怖い話を聞いてほしい」

音央とお

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ある日の放課後、小鳥遊くんと二人きりになる場面があった。作業も一段落していたので私たちはのんびりと過ごしていた。

「俺、背山先輩のこと尊敬してます」

テスト勉強の話をしていたはずなのに、どうしてそんな話の流れになった?

私の戸惑いなど無視をして、小鳥遊くんは語り始める。やめてくれ。

「先輩って口では否定しても、責任を絶対に放棄しないじゃないですか。そういうところを見習いたくて」
「いやいや、逃げ出せないただのヘタレなだけですぅ……」 
「謙虚にならなくても。ミスとかもないですよね」
「後で怒られないように気をつけてるだけだから……」

私の欠点をポジティブに受け取り過ぎである。
これだから光の者は困る。

「背山先輩みたいに完璧なりたいです!」

興奮したように頬を染められましても……。
こちらは頬が引き攣るだけである。

「小鳥遊くんは完璧じゃなくていいんだよ。君はちょっとストイック過ぎるところがあるから、たまにはハメを外しても許されるよ」
「ハメを外す……」
「あ、もちろん犯罪とかは無しね?」

その辺の心配はいらない子だろうけど。
この容姿で完璧になられたら溜まったもんじゃないし、人間辞めてる。
「そのままの君でいて……」と呟けば、大きく頷かれる。

「先輩もそのままでいてくださいね! 何事も全力で取り組む先輩でいてください!」
「……お、おう?」

勢いに押されて頷いてしまう。
小鳥遊くんはひどく満足げだった。




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