炎暑

音央とお

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回想 2

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付き纏いの一件から、新城はよく気にかけてくれたと思う。みんなと遊んで遅くなった日には「ちゃんと帰れたか?」とメッセージを送ってきて、勘違いしちゃダメなのに気持ちは加速していった。

告白したのは計画的なものではなくて、一緒に見たイルミネーションがあまりにも綺麗で「あっ、今しかない」と思ったから。
いろいろ考えるよりも先に「好き」って口に出ていた。

後から思えば自惚れもあったと思う。
その時の新城には彼女もおらず、いちばん一緒に過ごしていたのは私だったから。
近くに綺麗なところがあるからと、イルミネーションを見に行こうって誘ってきたのだって向こうだったもん。

「ごめん」

返事は呆気ないものだった。
頭が真っ白になったけど、傷付いた表情を見せないように必死で耐えた。

告白なんてしておきながら新城との関係を拗らせたくないと真っ先に思ってしまった。思いが通じなくてもこれまでみたいに笑って過ごしたかった。

こちらから聞かずとも、新城は振った理由を話してくれた。
最近いい感じの女の子と付き合うことになったそうで、大学外のその人のことを私が知るはずもなかったということを。
一緒にいる時間が長くても、私は全く恋愛対象に見られてなかったんだなと察してまた胸が痛んだ。

そうさせたのは私なのに、困ったような顔を見ていたくなかった。震えそうになる声を何とか絞り出した。

「……身勝手なことを言うけど、これからも友達として接してくれたら嬉しい。みんなにも気を遣わせたくないから」

勝手すぎるお願いを新城は受け入れてくれた。
私の告白は誰にも知られず、新城が私と2人になることをさり気なく避けている以外は元通りになった。その変化に気付く人間はいなかったし、いたとしても彼女が出来たからだと思うだけだろう。

新城が彼女がいようと頼まれれば合コンにも参加するような男だと知ったのは後のことで、なんだかなぁとも思ったけど、浮気はしてないっぽいという誠実なんだが不誠実なんだかよく分からない人間性に苦笑いしてしまった。

私は気持ちに整理をつけようとしたし、ただの友達でいることにも段々と慣れ始めた。その程度の気持ちだったと言われるかもしれないけど、ふとした瞬間に「ああ、こういうところが好きなんだな」と思うことは消えなかった。まだ新城を好きだった気持ちを殺すことが出来ない。

そうして告白から8か月経ったのが今日だった。

なんで駅から少し離れたコンビニに新城がいたのかは分からない。近くに飲むような飲食店もないし、他に知り合いが住んでいるという話も聞いたことがない。
アイスが食べたいなんて思わなければ今の状況にもならなかったし、偶然ばったり会うなんて妙な縁だなと思った。


……不幸せな巡り合わせ。






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