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番外編・『五時の妖精』
二
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結局その妖精は家まで ついて来た。
彼女いわく、妖精の姿は純枠に信じている人にしか見えないらしい。自分の姿を見付けてもらえたのは本当に久しぶりのことだから、もう少しの間 一緒にいさせてくれっていうんだ。
「ま、いいけどさ。やんなくちゃならないことあるし、あんまり構ってあげられないかもよ? 」
机に向かった俺は、ノートを広げて作文の宿題に取り掛かった。
作文は結構好きだ。身のまわりの出来事や感じたことをそのまま書けば良いんだ。
だけど、俺には悩みがあった。字の書き間違いが半端なく多いってことだ。
「ほら、また間違えてる! 」
俺が書き進める度、妖精は いちいち指摘してきた。
「もう、気が散るじゃないか。静かにしててくれよ。」
堪らず訴えると、彼女は つんと澄まして
「私を誰だと思ってるのよ。」
なんて挑発してくるものだから、ついムキになってしまった。
「五時の妖精なんだろ。もうとっくに五時は過ぎたんだから、さっさと帰ったらどうなんだよ! 」
その瞬間、彼女は ものすごく寂しそうな目を向け、そのまま俯いてしまった。
――ちょっと言い過ぎたかな……
俺がそう思っていると、今度は顔を上げてキッと睨んできた。ちょっと涙目になっている。
「そんなふうに からかわれるのが一番嫌なのよ。たしかに私は ごじの妖精だけど、時間の五時じゃなくて、間違った文字――誤字を直す仕事をしているんだからねっ! 」
彼女いわく、妖精の姿は純枠に信じている人にしか見えないらしい。自分の姿を見付けてもらえたのは本当に久しぶりのことだから、もう少しの間 一緒にいさせてくれっていうんだ。
「ま、いいけどさ。やんなくちゃならないことあるし、あんまり構ってあげられないかもよ? 」
机に向かった俺は、ノートを広げて作文の宿題に取り掛かった。
作文は結構好きだ。身のまわりの出来事や感じたことをそのまま書けば良いんだ。
だけど、俺には悩みがあった。字の書き間違いが半端なく多いってことだ。
「ほら、また間違えてる! 」
俺が書き進める度、妖精は いちいち指摘してきた。
「もう、気が散るじゃないか。静かにしててくれよ。」
堪らず訴えると、彼女は つんと澄まして
「私を誰だと思ってるのよ。」
なんて挑発してくるものだから、ついムキになってしまった。
「五時の妖精なんだろ。もうとっくに五時は過ぎたんだから、さっさと帰ったらどうなんだよ! 」
その瞬間、彼女は ものすごく寂しそうな目を向け、そのまま俯いてしまった。
――ちょっと言い過ぎたかな……
俺がそう思っていると、今度は顔を上げてキッと睨んできた。ちょっと涙目になっている。
「そんなふうに からかわれるのが一番嫌なのよ。たしかに私は ごじの妖精だけど、時間の五時じゃなくて、間違った文字――誤字を直す仕事をしているんだからねっ! 」
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