ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ

文字の大きさ
408 / 411

第408話 元凶との邂逅

しおりを挟む
『――ふぅん。あの男、ビフレストモドキを作るだけ作ってヘルヘイムに堕ちたか……』

 アースガルズでは、セイヤを誑かし、高橋翔を始めとしたゲームプレイヤーをこの世界に閉じ込めた元凶、最高神オーディンが笑みを浮かべていた。

『矮小な人間の分際で神に成りたいと言っていたのに、道半ばで死するとは……実に残念だ』

 とはいえ、これで目標を達成する算段が付いた。

『まあ、愚かな人間にしてはよくやってくれた方か……』

 オーディンは過去・現在・未来を見通す目を持っている。
 その目がオーディンに世界の終末を教えてくれた。
 詳細は不明だが、このまま何もせずのうのうと過ごしていれば、じきにこの世界は終わりを迎える。
 そうさせない為に、オーディンは、この世界と異世界とを繋ぎ、世界が終わりを迎える前に繋げた世界に移動しようとした。
 しかし、ここで問題が発生した。
 世界と世界を隔たる壁を破るのは最高神であるオーディンですら難しかったのだ。
 だが、オーディンは悲観しなかった。
 トライアンドエラーを繰り返し、ゲームを介して地球に干渉する手段を得た。
 ただし、地球への干渉は限定的……あちら側にも神がいるのだから仕方がない。
 だが、オーディンは地球の神との交渉を諦めなかった。
 その結果として得たのが、地球に住む人間がこの世界の最高神であるオーディンに直接、この世界と地球との接続を願うのであれば、その願いを叶えるというもの。
 その代償として、その時が来るまでの間、アースガルズに謹慎する事となってしまったが、常日頃からアースガルズに引き篭もっているオーディンにとっては無条件と同義。
 ゲーム内に人間を閉じ込める事で、元の世界に戻りたい人間が会いにやってくる状況を作り上げた。

 唯一の誤算は、地球の神々の介入。
 あいつら……このままでは条件をクリアされそうだと勘付き、捕らえた人間のレベルをリセットするよう要求されたのだ。挙句の果てには、そいつらに数多の不幸が向かう様、調整までしていた。
 これには焦った。
 何せ、ある程度のレベルがなければ、私のいるアースガルズに辿り着くのは不可能……

 しかし、後出しジャンケンの如く、後から条件を付け足してきたのはあちら側だ。
 そこで私は陰ながら彼らの援助をする事にした。
 ムーブユグドラシルを持つ特定の人間に対してマイルームへの入出権を付与し、そこにレベルを上げやすいよう富とアイテムを集約……この世界と地球を行き来できるよう手配した。
 しかし、その事に気付いたのは数名のみ。
 一度は終わったと思った。
 何せ、権限を付与した者同士が争い合い、その大半が奴隷となるか収容されてしまったのだから……
 ならばと、数十名のムーブユグドラシルを持たぬ者に権限を付与してみたが、そいつらはそもそも気付きもしない。

『高橋翔……あの人間が唯一の成功例……』

 あの者がアースガルズに辿り着き、この世界に囚われた者達の帰還を願った時、私の願いも成就する。

『ああ、楽しみだ。早くここに来い』

 未来を見通す私の目には、見える。
 再生に向かうこの世界の姿が……

『ふふ、ふふふふふっ……』

 そう呟くと、オーディンはビフレストに視線を向け笑みを浮かべた。

 ◆◆◆

「まったく、とんでもない事を仕出かしてくれたものだ……」

 オーディンが笑みを浮かべている頃、俺こと高橋翔は、アースガルズに繋がる道……魂で作られたビフレストを見てため息を吐いていた。

「まさか、セイヤの野郎が俺達の魂でビフレストを作ろうとしていたなんてなぁ……」

 しかも、教皇にも関わらず、死者を蘇らせるリビングデッドを使ってくるとは思いもしなかった。
 おつむの軽いあいつがリビングデッドを使えたのも驚きだが、あいつがビフレストを作ろうとしていた事も驚きだ。
 あいつにそんな知性はない。
 何故ならあいつは他責主義。自分の考えや行動に責任を持たない奴にそんな大それた事を考える知能はない。獣と同じだ。
 黒幕がいるな……百パーセント黒幕がいるわ。

「……ロキ」

 そう呟くと、時空が歪み狡知の神、ロキが姿を現す。
 ヘルの毅然な態度を見て、何となく様子を伺っているだろうなと思っていたが、やはり見ていたか。

『いや~久しぶりだね。それで? ボクに何か用かな?』

「ああ……」

 ロキには、二つ願いを叶えてもらう権利をストックしている。
 セイヤの奴がビフレストを作ってまでアースガルズに向かおうとしていた事を考えると、誰が騒動の黒幕なのか想像が付く。

「願いだ。あの似非教皇を唆した神の名を教えろ」

 その質問をした瞬間、辺りが急に暗くなる。

『……勿体ない事だ。誰が黒幕か薄々感づいているにも関わらず、願いを使ってまでそれを確認しようとするなんて』

 おそらく、これはロキの仕業……
 もしかしたら俺の事を威嚇しているのかもしれない。
 しかし、俺にそれは通用しない。

「御託はいい。さっさと、教えろ……」

 こっちは命を狙われてイライラしているんだ。勿体ぶらずさっさと教えろ。

 すると、ロキは少し言い難そうに主犯の名を告げた。

『オーディン。アースガルズに住む万物の神、オーディンだよ』
「オーディン……」

 やはりか……なんとなくそう思っていた。セイヤの奴も神に成りたいとか言っていたし、そうでなくては、あの似非教皇が人の魂を犠牲にしてまでビフレストを作るはずがない。

 そういえば、初めて会った時、オーディンは言っていたな。『君達が私の下に……「アースガルズ」に来れる事を願っている』とかなんとか……あれ、そういう意味だったのか?
 人の魂でビフレストを作り上げ、アースガルズに来る事を願っていると、そういう意味だったのか?
 だとしたら舐められたものだ。

 まあ敵は仮にも神様だからな。
 人間である俺を侮る気持ちも理解できる。
 でもさ……お前、王国ごと、俺の魂も使ってビフレスト作らせる気だっただろ?
 調子に乗り過ぎじゃね?

「よし。それじゃあ行こうか……」

『行くってどこに?』

 ロキの問いに俺は笑みを浮かべなら答える。

「いや、ちょっと、ビフレスト登ってアースガルズにかち込もうかなって思ってさ」

 オーディンってあれだろ?
 髭面の偉そうな隻眼おやじだろ?
 それ以上でもそれ以下でもない。

「一緒に行かないか? 折角だ。ラグナロクって奴を見せてやるよ」

 ゲーム世界が現実になってから一年。
 俺も随分、力を付けた。
 ラスボスに挑んだとして、もういいだろう。

「……俺さ。大して偉くもないのに偉そうな態度で人に偉そうに物事を強要する大馬鹿野郎が大嫌いなんだよね」

 特に、安全な場所にいながら他人の命を平気で蔑ろにするクズが大嫌いだ。どんな目的があってそれをやらせたのか分からないが、アースガルズに行く為に人の魂でビフレストを作らせるなんて反吐が出る。
 それを教皇にやらせようとした時点で胸糞だ。

 オーディンには、過去・現在・未来を見通す目があるという。
 もしかしたら、今の俺の行動すらオーディンの手の平の上かも知れない。
 だが、ここまで舐めた事をされては、こちらも反撃したくなるというもの……

 過去・現在・未来が見通せるとしても、オーディン個人にやれる事には限りがある。

「なあ、知っているか? 自然の物事や自然の力が神格化したものを自然神というらしい。そして、エレメンタルには三段階目の進化形態がある」

 エレメンタルは基本的に、上位精霊、大精霊、自然神の三段階の進化をすることが可能だ。
 そして、幸いな事に俺はエレメンタルを進化させるのに必要な課金アイテムを大量に保有している。
 なにせ、マイルームに入ればゲットし放題だったからな。

「ビックリマンシールでお馴染みのかの大神ゼウスは言っていた。力こそパワー。パワーこそ力なのだと……だがそれは間違いだ。力こそパワーなのではない」

 数こそパワーなのだ。
 その事を分からせてやる。

 俺はメニューバーを開き、アイテムストレージから課金アイテム『エレメンタル進化チケット』を大量に取り出すと、それをエレメンタル達に大量付与した。
しおりを挟む
感想 558

あなたにおすすめの小説

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~

月神世一
ファンタジー
紹介文 「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」 そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。 失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。 ​「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」 ​手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。 電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。 さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!? ​森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、 罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、 競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。 ​これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。 ……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!

ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中

あ、まん。
ファンタジー
仕事一筋40年。 結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。 定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。 だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。 唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。 化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。 彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。 現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。 これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...