ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ

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第409話 国を焼き尽くす炎の巨人

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 ビブレストに視線を向ける高橋翔を視てオーディンは口を歪める。

「――ああ、早く私の元に来い。そして願うのだ……」

 この世界に囚われた有象無象を帰還させて下さいと……

「それでようやく私の苦労が報われ……るぅうううう!?」

 驚きと共にそう呟くと、高橋翔がビブレストを壊し始める姿が目に映る。

 な、なななな……!

「何やってんの、あいつゥゥゥゥ!?」

 意味が分からない。
 何故、ビブレストを破壊する!?
 それがないとアースガルズに行けなくなっちゃうよ?
 有象無象が元の世界に帰れなくなっちゃうよ??
 私に会えなくなっちゃうよォォォォ!??

 それに、今、ビブレストを壊されては折角、立てた計画がオジャンだ。
 このままでは、この世界が崩壊してしまう。
 折角、降ろした蜘蛛の糸を根本から断ち切ろうとするとは何事か!

「……許さん。それだけは絶対に許さんぞ、貴様ァァァァ!」

 しかし、私は神との盟約によりここを離れる事ができない。
 ならば、私が信を置く神を送りつけてやる!

「ヘルダイムゥゥゥゥ! ビブレストを壊そうとするあの愚か者を止めてこ……!?」

 怒りで我を忘れていた為、いつの間にか目の前にいた存在への反応に遅れる。

『――あはははは、凄いな。あの最高神オーディンがマヌケ面を晒してる。これだけでも、彼の願いを聞き届ける甲斐があったかな?』

「貴様、ロキ!? 何故、ここに……!」

 高橋翔がロキと契約を結んだ事は知っていた。しかし、ここにいる理由が分からない。

『決まっているだろう? 君を倒す為さ。彼の願いは君を倒し擬似的なラグナロクを起こす事……彼からのメッセージも預かっているよ』
「メッセージだと!?」
『ああ、「お前がすべての元凶か。やってくれたな。クソ野郎!」だってさ』
「クソ野郎だとォォォォ!?」

 人間の分際でふざけた事を!

「どの道、貴様ではこの私を倒す事はできん! 最高神であるこの私を舐めるな!」

 私は最高神。神々の頂点に君臨する存在。
 伊達や酔狂で最高神を名乗っている訳ではないのだ。

 壁に掛けてある神槍・グングニルを手に取ろうとすると、大地がガクンと揺れる。
 その瞬間、グングニルが壁から外れ、足に突き刺さる。

「ぐなぁ!? 一体、何が……!?」

『――言ったでしょう? 疑似的なラグナロクを引き起こしたって……』
「き、貴様ァァァァ!!」

 目を通し外の光景を見通すと、自然神に進化したエレメンタルがアースガルズを支えるユグドラシルの枝を悉く伐採する姿が見える。

 揺れの原因はこれかっ!

「――ぐうっ!?」

 そうこうしている内に、どんどん揺れが酷くなる。
 そして……

 ――ドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!

 という音と共に地割れが発生し、アースガルズの瓦礫が聖国中に降り注いだ。
 そして、次、目覚めた時には……

「――ハッピーかい? 最高神様よぉ」

 そう言ってあざ笑う高橋翔の姿があった。

 ◆◆◆

「――ぐっ……貴様ァァァァ!」

 厄介な事にグングニルが私の足を貫き張り付け状態となっている。

 ここ数百年、痛みを伴う様な事象に遭遇しなかった為か、落下の衝撃か、グングニルに貫かれた足が酷く痛む。

「どうやら最高神といっても高所から落下すれば傷を負うらしい。良かったよ。不死身じゃなくて。不死身だったら倒しようがなかったからな」

 当然だ。神とて高い所から落ちれば怪我もする。いや、今、それはどうでもいい。

『貴様……とんでもない事をしてくれたな』

 アースガルズはユグドラシルの枝により支えられた世界。
 アースガルズを落とす為、ユグドラシルの枝を伐採するなんて前代未聞だ。
 それに……

『――ヘル、貴様! ユグドラシルの枝を伐採したこの男に罰を与えぬとはどういうつもりだ! ユグドラシルの管理は貴様の仕事だろう。何故、この男の魂を奪わぬ!』

 すると、ヘルは笑みを浮かべながら返答する。

『おや? 此奴の魂を奪って構わぬのか? お前の目的は他でもない高橋翔にあるのだろう?』
『ぐぬぬっ……』

 なんて奴だ。仮にも最高神であるこの私がこんな目に遭っているというのに心配も敬おうともしない。私は最高神なんだぞ?
 心配の一つ位しろ!

『……貴様、この私に刃向かうつもりか』

 覇気を込め恫喝すると、ヘルは白々しく答える。

『それもいいな。高橋翔の願いとはいえ母もやる気の様だし……私は構わないぞ? 最高神』
『ぐぬぬぬぬっ……!』

 明らかに調子に乗っている。
 どうやら今の私であれば勝てると踏んでいるらしい。
 ロキが付いているからといって、おのれェェェェ!

 しかし、アースガルズがこんな状況の今、私に切れるカードは限られている。
 圧倒的劣勢……アースガルズを滅茶苦茶にした挙句、最高神であるこの私をモブ扱い。そう考えるだけで、頭に血が上ってくる。

『調子に乗るなよ。人間風情の味方をする駄神が……私が本気を出せばお前達なんて一瞬で……』
「へぇ、それならやってみろよ。最高神」

 高々、人間風情が仮にも最高神であるこの私に偉そうな物言いをした事に目を見開く。

『……聞き間違いか? もう一度言ってみろ』

 私も耳が遠くなったものだ。
 まさか幻聴が聞こえてくるとは……
 しかし、どうやら幻聴ではなかった様だ。

「やってみろと言ったんだよ。最高神。耳でも遠くなったか?」

 ――ブチッ!

 ここまでコケにされたのは初めてだ。

『……良かろう。ならば本気を見せてやる。この私をコケにした事を後悔し死ぬがいい。お前の代わりは他にいる。例え居なくとも新たに作り出せば良いのだ』

 そう呟くと、私は世界間転移設備である転移門・ユグドラシルを一回り大きく変化させる。
 転移門・ユグドラシルは元々、私が設置した設備。
 それをイジるのは容易い事だ。

『こい。炎の巨人共!』

 そう呟くと、転移門・ユグドラシルから数多の炎の巨人が現れる。

『炎の巨人共よ。この国ごと生意気なモブフェンリルを焼き尽くせェェェェ!』

 ――オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!

 オーディンの容赦ない命令を受け、召喚された炎の巨人達は町を焼き尽くしていく。

 まるで地獄の様な光景だ。
 しかし、これでいい。
 私に逆らう事がどういう結果を齎すのかを示すのにこれ以上の光景はないだろう。

『……どうした? 驚きで声も出ぬか?』

 オーディンの命令を遂行する為、炎の巨人がこちらに向かって近付いてくる。

「……お前、自分が何をやっているか分かっているのか?」

 呆然と炎の巨人を見る高橋翔。
 勝ちを確信したオーディンは、炎で焼かれる町を見て笑みを浮かべた。

『愚問だな。分かっているに決まっているだろう』

 これは粛清だ。
 最高神であるこの私に刃向かう事自体が罪。
 それだけで粛清の対象となる。
 人間も同じ様な事をするだろう?

「……なるほどな。お前の事が少しだけ分かった様な気がするよ」

 うん? 何を言っているのだ?
 こいつは……
 圧倒的劣勢に立たされ正常な判断すらできなくなったか?
 今、お前にできるのは、私に対する謝罪のみ……泣き叫びながらやめて下さいと土下座する。それ以外、こいつにやれる事はない。

『何が分かったというのだ?』

 そう問いかけると高橋翔は私の意に反し、意気揚々に言う。

「やはり、お前はクソ野郎だという事が分かったんだよ」

 想定外の返答。
 高橋翔はそう暴言を吐くと、転移門・ユグドラシルにモブフェンリルバズーカを撃ち込んだ。
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