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第1章 城塞都市マカロン
第6話 何事も思い通りにいかないものです
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初心者講習終了後、商業ギルドを出たヒナタは右手の袖で額の冷や汗を拭う。
「――ふう。色々、予定外だったけど、ギルド証を手に入れることができて良かった……」
初心者講習の内容をまとめた紙を見ると、そこには城塞都市マカロンの一般的な物の物価についても書かれている。
ゴブリン相手にドンパチやっているだけあって、金属や食料の物価が比較的高くなっているようだ。
(――うん。やっぱり、鉈は必要だな……護身用の武器として持っておきたい。剣とか、そういった物は買うことができても携帯できないし、なにより高い)
ギルド証をポケットにしまうと、預けていた鉈を受け取るため、ヒナタは東門に向かうことにした。
「モーリーさーん、コリーさーん。ギルドに登録してきましたー!」
着いて早々、東門を警備する門番、モーリーとコリーの姿を確認したヒナタは大きな声を上げる。
すると、ヒナタに気付いたモーリーが軽く片手を上げた。
「無事、冒険者ギルドに登録できたみたいだな」
「それでは、預かっていた物の返却手続きをしますね。ギルド証を確認させてください」
「はい。これでお願いします!」
ポケットからギルド証を取り出し、コリーに手渡すと、2人はポカンとした表情を浮かべる。
「――おかしいな……見間違いか? 俺にはこれが商業ギルドのギルド証に見えるのだが……」
「私にもそう見えます……ヒナタ君、冒険者ギルドのギルド証はどうしたのですか?」
「じ、実は……」
冒険者ギルドで、冒険者不適格判定をもらったこと告げると、二人は顔を見合わせる。そして、「くっ」と呟くと、モーリーはヒナタの頭をわしゃわしゃとなで回した。
「くくくっ、そうか。冒険者不適格か、そいつは仕方がないな」
「そうですね。この武器は……刃渡り二十センチメートル以下ですし、まあ商業ギルドのギルド証があれば、問題ないでしょう。確かに、ギルド証を確認しました。もうしまっても構いませんよ。今、預かった武器を持ってきますね」
「あ、ありがとうございます!」
突然のわしゃわしゃにより髪の毛がボサボサとなったヒナタは、頭を押さえながらお礼を言う。
「――しかし、まさか商業ギルドに登録するとは……なにか売る当てはあるのか?」
「はい。あります! これを見てください! (手のひらの上にバナナが出るよう想像して……出でよ。バナナ!)」
手のひらを上に向け、その上にバナナ一房が出るよう想像する。すると、手のひらに光の粒子が集まり、一房のバナナが現れた。
「……このバナナという果実を売りに出そうと思っているんです」
房からバナナを1本もいで渡すと、モーリーはポカンとした表情を浮かべる。
「――あれ? どうかしましたか?? (おかしいな。モーリーさんがバナナを持ったまま、動かなくなってしまった……)」
「な……」
「な?」
「なななななな、なんじゃこりゃああああ――!」
耳がキーンとする。流石は門番。普段から声を出しているのだろう。中々の肺活量である。
ヒナタは房からバナナをもう1本もぐと、皮をむき白い果肉を口に入れた。
――もぐもぐ、ごっくん(バナナを咀嚼し、飲み込む音)
「この果実はこうやって皮をむいて食べるんですよ」
「い、いやいやいやいや、色々、おかしいだろう!? 食べ物を出すスキルなんて初めて聞いたぞ⁉︎」
どうやら食べ物を出すスキルは珍しいようだ。
だが、ヒナタからすると、そんなことを言われてもという感じである。
「まあまあ、実際、そういうスキルなんだから仕方がないじゃないですか。とりあえず、食べて見てくださいよ」
「う、うん? そうか? まあ、そこまで言うなら……」
バナナの皮をむくと、匂いを嗅ぎ、その白い果肉を口に含んで咀嚼する。
「――こ、これは……! 甘い。それでいてどことなくフルーティな香り……」
そして、食べ終えると黄色いバナナの皮を持ち呟くように言う。
「この黄色いのも食べられるのか?」
「はい。食べられますよ。俺は苦手ですけど、バナナの皮を肉と一緒に調理すると、バナナの持つ酵素によって肉が柔らかくなるそうです。豚の餌に混ぜると肉質が良くなるかもしれません」
美味しいバナナを食べて育った豚は、脂肪に旨味が増し、きめ細かな肉質になるとどこかで聞いたことがある。
「そうか……確かに、これなら売れるだろう。城塞都市マカロンでは、果物があまり流通していないからな。俺自身、毎日、食べたい位だ……」
(――おお、やはりマカロンでは果物があまり流通していないのか。良いことを聞いた! これなら高く売れるかもしれない)
「それじゃあ、モーリーさんがこのバナナを買うとしたら、1本当たり幾ら位で買いたいと思いますか?」
日本では、バナナ一房につき約200円前後で売られている。
この世界でバナナを売ると幾ら位になるのか、興味津々だ。
「そうだな……」
考え込むようにそう呟くと、モーリーはバナナの皮を齧りながら言う。
「――果実や皮にルミナスが豊富に含まれていることから、果実として食べるだけではなく回復薬の代用品として使うこともできるだろう。ただでさえ、果実の流通量が少ない上、回復薬の代用品として使うことができるとあれば、その価値は計り知れない。このことを領主様にお伝えし、早急に結論を出さねば……」
「あ、あれ? モーリーさん?(――なんだろう。バナナ1本に対し、過大な評価をされているように感じるのは俺だけだろうか? ただ、バナナ1本値段を付けてもらうだけの話が段々、大事に……)」
この話の流れは良くない。
城塞都市マカロンの領主様にまで話が行ってしまいそうな勢いだ。
「お、落ち着いてください。モーリーさん。そんな深く考え込まなくても……」
すると、丁度良く鉈を持ったコリーが戻ってきた。
「――お待たせしました。お預かりしていた武器をお返しします」
「(――チャンス到来だ)あ、ありがとうございます。コリーさん、これバナナっていう果物なんですけど、もしよかったら食べて見てください。それじゃあ、俺はこれで失礼します! お世話になりましたぁー!」
ヒナタは鉈を受け取ると、バナナを房ごとコリーに渡し、東門から走り去る。
「……え? ああ、ヒナタくーん!」
「――しかし、それだと、大衆が購入できるような値段ではなくなってしまう。うーん。これは困った……だが……」
バナナの皮を持ち真剣な表情で考え込むモーリーを見て、コリーは首をかしげる。
「これは一体……それに、なぜモーリーがこんな状態に? いえ、今はとにかく、モーリーの目を覚まさせないと――モーリー、ヒナタ君が行ってしまいましたよ! 正気に戻って……ああ、もう。なにが起きたというのですかー!?」
いつまで経っても、考え込むモーリーにコリーは深いため息を吐いた。
◇◆◇
「いやー、失敗失敗……まさか、あんなことになろうとは……」
(これは、直接販売するのは危険かも……でも、お金を稼がないと宿も借りれないし……なにより、テールスを名乗る誘拐犯が俺を元の世界に返してくれるまでの間、この世界で生きていかなければならない)
「よし! 決めた。安全第一。商業ギルドに売価を決められてしまうのでなんとなく嫌煙してたけど、ここは商業ギルドの流通網を利用させてもらおう!」
商品を売る方法には二通りのやり方がある。
一つ目のやり方は、商業ギルドに買い取ってもらう方法。
二つ目のやり方は、店や露店を開き町の人に直接売る方法。
前者の場合、在庫処分や販売先の確保をしなくて良くなる代わりに、価格決定権を商業ギルド側に握られるため、買取単価が市場価格よりも安くなってしまう。また買取りを行なっていない商品は買い取ってもらえないデメリットもある。
後者の場合、販売先を自分で確保でき、価格決定権も自分にあるので、ある程度、自由に単価設定ができる。しかし、売れなければ利益は一切でない。顧客との交渉も自分一人で行う必要がある。
どちらの方法にも一長一短あるが、ヒナタの持つスキルは原価ゼロで食材を創造することのできるスキル。
それなら商業ギルドに売ってしまうのが一番良い。
(まずは試供品代わりに何房かバナナを提供し、幾らで買い取ってもらえるか検討してもらおう。そして、バナナを売るかたわらで他にどんな食材が創造できるのかを試してみよう。誰にも見られないよう宿の中で創造しようかな?)
「……そうと決まれば、まずは商業ギルドに試供品の提供だな」
そう呟くと、初心者講習でやらかしたばかりのヒナタは商業ギルドに向かって歩き始めた。
◇◆◇
「えーっ⁉︎ ランクDになるまで買い取りできないってどういうことですかー⁉︎」
商業ギルドに着いて早々、ヒナタは声を上げる。
「……初心者講習でも説明があったと思いますが、商業ギルドでは、お客様に提供する商品の品質と信頼を担保する意味を込めてランク制を導入しております。現在、あなたのランクはF。ランクは信頼と実績に基づき、商業ギルド審査の下、上がります。ここまでで、なにか質問はありますか?」
ヒナタは即座に手を上げる。
「はい。はーい! ランクを上げるための具体的な方法を教えてくださーい!」
商業ギルドの受付に座っていた壮年の女性はヒナタを見てため息を吐く。
「はあっ……言ったでしょう? ランクにはお客様に提供する商品の品質と信頼を担保する意味があると……そんな簡単にランクは上がりません。取引の実績や規模に応じてランクは上がるのです。また商業ギルドへの貢献度合いも評価の一つとなります」
「……なるほど、つまり売って売って売りまくれば、ランクが上がる訳ですね?」
すると、即座に否定される。
「違います。町の人の信頼を得て初めて評価されると言っているのです。とにかく、こちらのバナナ……でしたか? ランクD以上とならない限り、商業ギルドで買い取ることはできません。まずは商いを通して町に住む方々と交流を取ってみてはいかがでしょうか? このバナナを売ってみてね」
正論パンチを真正面から受けたヒナタはガックリ項垂れる。
「ううっ、楽にお金が稼げると思ったのに……」
完全にアテが外れた。
「世の中そんなに甘くありませんよ。信頼とは積み重ねた先にあるのです。そのことをお忘れなきようお願いします」
ガックリ項垂れるヒナタの様子を見て、受付に座る壮年の女性はため息を吐いた。
「――ふう。色々、予定外だったけど、ギルド証を手に入れることができて良かった……」
初心者講習の内容をまとめた紙を見ると、そこには城塞都市マカロンの一般的な物の物価についても書かれている。
ゴブリン相手にドンパチやっているだけあって、金属や食料の物価が比較的高くなっているようだ。
(――うん。やっぱり、鉈は必要だな……護身用の武器として持っておきたい。剣とか、そういった物は買うことができても携帯できないし、なにより高い)
ギルド証をポケットにしまうと、預けていた鉈を受け取るため、ヒナタは東門に向かうことにした。
「モーリーさーん、コリーさーん。ギルドに登録してきましたー!」
着いて早々、東門を警備する門番、モーリーとコリーの姿を確認したヒナタは大きな声を上げる。
すると、ヒナタに気付いたモーリーが軽く片手を上げた。
「無事、冒険者ギルドに登録できたみたいだな」
「それでは、預かっていた物の返却手続きをしますね。ギルド証を確認させてください」
「はい。これでお願いします!」
ポケットからギルド証を取り出し、コリーに手渡すと、2人はポカンとした表情を浮かべる。
「――おかしいな……見間違いか? 俺にはこれが商業ギルドのギルド証に見えるのだが……」
「私にもそう見えます……ヒナタ君、冒険者ギルドのギルド証はどうしたのですか?」
「じ、実は……」
冒険者ギルドで、冒険者不適格判定をもらったこと告げると、二人は顔を見合わせる。そして、「くっ」と呟くと、モーリーはヒナタの頭をわしゃわしゃとなで回した。
「くくくっ、そうか。冒険者不適格か、そいつは仕方がないな」
「そうですね。この武器は……刃渡り二十センチメートル以下ですし、まあ商業ギルドのギルド証があれば、問題ないでしょう。確かに、ギルド証を確認しました。もうしまっても構いませんよ。今、預かった武器を持ってきますね」
「あ、ありがとうございます!」
突然のわしゃわしゃにより髪の毛がボサボサとなったヒナタは、頭を押さえながらお礼を言う。
「――しかし、まさか商業ギルドに登録するとは……なにか売る当てはあるのか?」
「はい。あります! これを見てください! (手のひらの上にバナナが出るよう想像して……出でよ。バナナ!)」
手のひらを上に向け、その上にバナナ一房が出るよう想像する。すると、手のひらに光の粒子が集まり、一房のバナナが現れた。
「……このバナナという果実を売りに出そうと思っているんです」
房からバナナを1本もいで渡すと、モーリーはポカンとした表情を浮かべる。
「――あれ? どうかしましたか?? (おかしいな。モーリーさんがバナナを持ったまま、動かなくなってしまった……)」
「な……」
「な?」
「なななななな、なんじゃこりゃああああ――!」
耳がキーンとする。流石は門番。普段から声を出しているのだろう。中々の肺活量である。
ヒナタは房からバナナをもう1本もぐと、皮をむき白い果肉を口に入れた。
――もぐもぐ、ごっくん(バナナを咀嚼し、飲み込む音)
「この果実はこうやって皮をむいて食べるんですよ」
「い、いやいやいやいや、色々、おかしいだろう!? 食べ物を出すスキルなんて初めて聞いたぞ⁉︎」
どうやら食べ物を出すスキルは珍しいようだ。
だが、ヒナタからすると、そんなことを言われてもという感じである。
「まあまあ、実際、そういうスキルなんだから仕方がないじゃないですか。とりあえず、食べて見てくださいよ」
「う、うん? そうか? まあ、そこまで言うなら……」
バナナの皮をむくと、匂いを嗅ぎ、その白い果肉を口に含んで咀嚼する。
「――こ、これは……! 甘い。それでいてどことなくフルーティな香り……」
そして、食べ終えると黄色いバナナの皮を持ち呟くように言う。
「この黄色いのも食べられるのか?」
「はい。食べられますよ。俺は苦手ですけど、バナナの皮を肉と一緒に調理すると、バナナの持つ酵素によって肉が柔らかくなるそうです。豚の餌に混ぜると肉質が良くなるかもしれません」
美味しいバナナを食べて育った豚は、脂肪に旨味が増し、きめ細かな肉質になるとどこかで聞いたことがある。
「そうか……確かに、これなら売れるだろう。城塞都市マカロンでは、果物があまり流通していないからな。俺自身、毎日、食べたい位だ……」
(――おお、やはりマカロンでは果物があまり流通していないのか。良いことを聞いた! これなら高く売れるかもしれない)
「それじゃあ、モーリーさんがこのバナナを買うとしたら、1本当たり幾ら位で買いたいと思いますか?」
日本では、バナナ一房につき約200円前後で売られている。
この世界でバナナを売ると幾ら位になるのか、興味津々だ。
「そうだな……」
考え込むようにそう呟くと、モーリーはバナナの皮を齧りながら言う。
「――果実や皮にルミナスが豊富に含まれていることから、果実として食べるだけではなく回復薬の代用品として使うこともできるだろう。ただでさえ、果実の流通量が少ない上、回復薬の代用品として使うことができるとあれば、その価値は計り知れない。このことを領主様にお伝えし、早急に結論を出さねば……」
「あ、あれ? モーリーさん?(――なんだろう。バナナ1本に対し、過大な評価をされているように感じるのは俺だけだろうか? ただ、バナナ1本値段を付けてもらうだけの話が段々、大事に……)」
この話の流れは良くない。
城塞都市マカロンの領主様にまで話が行ってしまいそうな勢いだ。
「お、落ち着いてください。モーリーさん。そんな深く考え込まなくても……」
すると、丁度良く鉈を持ったコリーが戻ってきた。
「――お待たせしました。お預かりしていた武器をお返しします」
「(――チャンス到来だ)あ、ありがとうございます。コリーさん、これバナナっていう果物なんですけど、もしよかったら食べて見てください。それじゃあ、俺はこれで失礼します! お世話になりましたぁー!」
ヒナタは鉈を受け取ると、バナナを房ごとコリーに渡し、東門から走り去る。
「……え? ああ、ヒナタくーん!」
「――しかし、それだと、大衆が購入できるような値段ではなくなってしまう。うーん。これは困った……だが……」
バナナの皮を持ち真剣な表情で考え込むモーリーを見て、コリーは首をかしげる。
「これは一体……それに、なぜモーリーがこんな状態に? いえ、今はとにかく、モーリーの目を覚まさせないと――モーリー、ヒナタ君が行ってしまいましたよ! 正気に戻って……ああ、もう。なにが起きたというのですかー!?」
いつまで経っても、考え込むモーリーにコリーは深いため息を吐いた。
◇◆◇
「いやー、失敗失敗……まさか、あんなことになろうとは……」
(これは、直接販売するのは危険かも……でも、お金を稼がないと宿も借りれないし……なにより、テールスを名乗る誘拐犯が俺を元の世界に返してくれるまでの間、この世界で生きていかなければならない)
「よし! 決めた。安全第一。商業ギルドに売価を決められてしまうのでなんとなく嫌煙してたけど、ここは商業ギルドの流通網を利用させてもらおう!」
商品を売る方法には二通りのやり方がある。
一つ目のやり方は、商業ギルドに買い取ってもらう方法。
二つ目のやり方は、店や露店を開き町の人に直接売る方法。
前者の場合、在庫処分や販売先の確保をしなくて良くなる代わりに、価格決定権を商業ギルド側に握られるため、買取単価が市場価格よりも安くなってしまう。また買取りを行なっていない商品は買い取ってもらえないデメリットもある。
後者の場合、販売先を自分で確保でき、価格決定権も自分にあるので、ある程度、自由に単価設定ができる。しかし、売れなければ利益は一切でない。顧客との交渉も自分一人で行う必要がある。
どちらの方法にも一長一短あるが、ヒナタの持つスキルは原価ゼロで食材を創造することのできるスキル。
それなら商業ギルドに売ってしまうのが一番良い。
(まずは試供品代わりに何房かバナナを提供し、幾らで買い取ってもらえるか検討してもらおう。そして、バナナを売るかたわらで他にどんな食材が創造できるのかを試してみよう。誰にも見られないよう宿の中で創造しようかな?)
「……そうと決まれば、まずは商業ギルドに試供品の提供だな」
そう呟くと、初心者講習でやらかしたばかりのヒナタは商業ギルドに向かって歩き始めた。
◇◆◇
「えーっ⁉︎ ランクDになるまで買い取りできないってどういうことですかー⁉︎」
商業ギルドに着いて早々、ヒナタは声を上げる。
「……初心者講習でも説明があったと思いますが、商業ギルドでは、お客様に提供する商品の品質と信頼を担保する意味を込めてランク制を導入しております。現在、あなたのランクはF。ランクは信頼と実績に基づき、商業ギルド審査の下、上がります。ここまでで、なにか質問はありますか?」
ヒナタは即座に手を上げる。
「はい。はーい! ランクを上げるための具体的な方法を教えてくださーい!」
商業ギルドの受付に座っていた壮年の女性はヒナタを見てため息を吐く。
「はあっ……言ったでしょう? ランクにはお客様に提供する商品の品質と信頼を担保する意味があると……そんな簡単にランクは上がりません。取引の実績や規模に応じてランクは上がるのです。また商業ギルドへの貢献度合いも評価の一つとなります」
「……なるほど、つまり売って売って売りまくれば、ランクが上がる訳ですね?」
すると、即座に否定される。
「違います。町の人の信頼を得て初めて評価されると言っているのです。とにかく、こちらのバナナ……でしたか? ランクD以上とならない限り、商業ギルドで買い取ることはできません。まずは商いを通して町に住む方々と交流を取ってみてはいかがでしょうか? このバナナを売ってみてね」
正論パンチを真正面から受けたヒナタはガックリ項垂れる。
「ううっ、楽にお金が稼げると思ったのに……」
完全にアテが外れた。
「世の中そんなに甘くありませんよ。信頼とは積み重ねた先にあるのです。そのことをお忘れなきようお願いします」
ガックリ項垂れるヒナタの様子を見て、受付に座る壮年の女性はため息を吐いた。
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