転異世界のアウトサイダー 神達が仲間なので、最強です

びーぜろ

文字の大きさ
175 / 486
第八章 フェロー王国動乱編

第230話 評議員トゥルクのカジノ②

しおりを挟む
「す、凄いです! 凄いです悠斗様!」

「う、うん。そうだね」

 現在、ブラックジャックで8連勝中。
 白金貨10枚(約100万円)から始めた賭け金も8回のMAXベットで白金貨15,259枚(約15億2,590万円)迄膨れ上がってきた。
 カジノディーラーさんの表情を見てみると、笑顔ながらもかなり引き攣った表情をしている。

 しかし、俺は全く悪くない。
 何しろカードはカジノディーラーさんが配っているのだから……。
 寧ろこんなに勝つと後が怖そうだから敢えて途中で勝負を止めず、全額ベットして回収して貰おうとしている。にも拘らず、こんなにも賭け金が膨れ上がってしまった。

 これには俺も困惑の表情を浮かべてしまう。
 もしかして、いま俺は接待プレイでも受けているのだろうか?

 チラリとカジノディーラーに視線を向けると、顔を引き攣らせながらも満面の笑みを向けてくる。

 えっ? 本当に接待プレイ?
 だとしたらやり過ぎだよ?
 そろそろ止めないと大変な事になっちゃうよ?

 そんな事を考えていると、カジノディーラーさんが「プレイスユアベット(賭けて下さい)」と言ってくる。
 今度も同じく今まで賭けていた賭け金の合計。白金貨15,259枚(約15億2,590万円)を取り出し、オリジナルベットに全額を賭けるとカジノディーラーさんがニヤリと笑い「ノーモアベット(締切です)」と呟いた。

 そして2枚のカードを配っては、カジノディーラーさんが「な、なぜっ……」と引き攣った笑顔を浮かべる。

「凄い! 凄い! 悠斗様またブラックジャックですよ!」

 最後にディーラーがカードを捲るとディーラーのカードの合計はまたもや18点。
 これで9連勝。賭け金も白金貨38,147枚(約38億1,470万円)となった。

 これには流石のカジノディーラーも焦った様な表情を浮かべる。

「お、お客様。もう一勝負如何ですかな?」

「そ、そうですね。もう一回やろうかな……」

 もう後には引けないのだろう。
 俺はさり気なく最初の賭け金、白金貨10枚(約100万円)を賭け金総額から抜くと、それをそのままオリジナルベットに賭ける。

 もしまた勝ってしまえば、賭け金総額は白金貨95,117枚(95億1,170万円)。
 カジノディーラーさんが額に汗を流しながら1枚目のカードを配っていく。

 俺に配られたカードは10点札……。
 もしA札がきたらまたもやブラックジャックとなってしまう。

 チラッとカジノディーラーさんを見ると、ちょっと目が涙目になっている。

 そして、2枚目のカードが配られると同時に、カジノディーラーさんが崩れ落ちた。
 一瞬何事かと思って配られたカードを見てみると、A札が配られている。

 本日22回目のブラックジャック。
 まだカジノに来てから1時間も経っていない内に、白金貨95,117枚(95億1,170万円)を勝ち取ってしまった。

 目の前に白金貨95,117枚(95億1,170万円)相当のチップを積み上げられると、相手をしてくれたカジノディーラーさんがカジノの従業員さんに連れられバックヤードへと消えていく。

 俺が言えた義理じゃないけど強く生きて欲しい。

 バックヤードからほんの少しだけ怒鳴り声が聞こえる。多分、あのカジノディーラーさんが怒られているのだろう。

 俺は獲得したチップを全額換金すると、収納指輪に収め一緒に来た従業員達を探す。
 すると、俺と同じくブラックジャックで高くチップを積み上げている女性の姿が目に留まる。

「悠斗様~! あれ見て下さい! すごいですね!」

「うわー! 凄いね!」

 確かに凄い。
 ぱっと見、白金貨1,000枚分位のチップが台に積み上げられている。

 俺は多分、LUK(幸運)が働いてくれたからなんだろうけど、あの女性は一体……。

「プレイスユアベット(賭けて下さい)」

 カジノディーラーさんがそう呟くと、その女性は白金貨10枚をオリジナルベットに賭ける。
 そして「ノーモアベット(締切です)」の言葉と共にカードを配ると、女性は賭け金の半分を放棄し、「サレンダー」と呟いた。

 サレンダーとは、初めに2枚カードが配られた時点で自信がない時、賭け金の半分を放棄する事で勝負を降りる事を指す。配られたカードが2点、3点の札だった為、危険は冒さずチップ半分を捨てる事で勝負を降りたのだろう。

 多分あれがブラックジャックのちゃんとした攻略法なのかなと思う。

 そして次の回、女性がトランプを入れる箱の様な物、シューターに視線を向けると、「プレイスユアベット(賭けて下さい)」の合図と共に白金貨100枚をオリジナルベットに賭けた。

 そして「ノーモアベット(締切です)」の言葉と共にカジノディーラーがカードを配ると、思いきり顔を引き攣らせる。

 ここにきてブラックジャック。

 しかもあの賭け方。まるでブラックジャックが来る事が分かっていたかの様な賭け方だ。

「あー、あれ鑑定スキルを使っていますね」

「鑑定スキル?」

 いや、それなら俺も持っているけど……。どう使えばああなるのかよく分からない。

「はい。いいですか悠斗様。あそこに置かれたトランプに鑑定スキルを使って見て下さい。」

 促されるままテーブルに置かれたトランプに鑑定スキルを発動させる。

 --------------------------------------
 トランプ
 効果:なし
 説明:ハートの10と描かれたトランプ。
 --------------------------------------

 するとハートの10と表示された。

「ハートの10と表示されましたね? では次に、一枚一枚のカードを鑑定するつもりでシューターに鑑定スキルを使って見て下さい」

 --------------------------------------
 シューターに入っているトランプ
 効果:なし
 説明:ハートの11、ダイヤの12、スペードの1……と描かれたトランプ。
 --------------------------------------

 言われた通りに鑑定スキルを発動させるとシューターに入っているカードの一枚一枚が視界に表示される。

 なるほど、これならカードを配られる順番にだけ気を付けていれば何とかなりそうだ。

「でも鑑定スキル使ってゲームをしてもいいの?」

「勿論です。これは個人の持つ力、イカサマとは違いますから」

「そうなんだ……」

 しかし不思議だ。
 鑑定スキルが有効なら真っ先に対策を練られそうなものだけど……。

 まあいいか。
 LUK(幸運)がMAXな俺にそれを言う資格はない。
 俺が悟り切った表情を浮かべながらブラックジャックを観戦していると背後から声が掛かった。
しおりを挟む
感想 3,253

あなたにおすすめの小説

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十数年酷使した体は最強になっていたようです〜

ねっとり
ファンタジー
世界一強いと言われているSSSランクの冒険者パーティ。 その一員であるケイド。 スーパーサブとしてずっと同行していたが、パーティメンバーからはただのパシリとして使われていた。 戦闘は役立たず。荷物持ちにしかならないお荷物だと。 それでも彼はこのパーティでやって来ていた。 彼がスカウトしたメンバーと一緒に冒険をしたかったからだ。 ある日仲間のミスをケイドのせいにされ、そのままパーティを追い出される。 途方にくれ、なんの目的も持たずにふらふらする日々。 だが、彼自身が気付いていない能力があった。 ずっと荷物持ちやパシリをして来たケイドは、筋力も敏捷も凄まじく成長していた。 その事実をとあるきっかけで知り、喜んだ。 自分は戦闘もできる。 もう荷物持ちだけではないのだと。 見捨てられたパーティがどうなろうと知ったこっちゃない。 むしろもう自分を卑下する必要もない。 我慢しなくていいのだ。 ケイドは自分の幸せを探すために旅へと出る。 ※小説家になろう様でも連載中

結界師、パーティ追放されたら五秒でざまぁ

七辻ゆゆ
ファンタジー
「こっちは上を目指してんだよ! 遊びじゃねえんだ!」 「ってわけでな、おまえとはここでお別れだ。ついてくんなよ、邪魔だから」 「ま、まってくださ……!」 「誰が待つかよバーーーーーカ!」 「そっちは危な……っあ」

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

見捨てられた万能者は、やがてどん底から成り上がる

グリゴリ
ファンタジー
『旧タイトル』万能者、Sランクパーティーを追放されて、職業が進化したので、新たな仲間と共に無双する。 『見捨てられた万能者は、やがてどん底から成り上がる』【書籍化決定!!】書籍版とWEB版では設定が少し異なっていますがどちらも楽しめる作品となっています。どうぞ書籍版とWEB版どちらもよろしくお願いします。 2023年7月18日『見捨てられた万能者は、やがてどん底から成り上がる2』発売しました。  主人公のクロードは、勇者パーティー候補のSランクパーティー『銀狼の牙』を器用貧乏な職業の万能者で弱く役に立たないという理由で、追放されてしまう。しかしその後、クロードの職業である万能者が進化して、強くなった。そして、新たな仲間や従魔と無双の旅を始める。クロードと仲間達は、様々な問題や苦難を乗り越えて、英雄へと成り上がって行く。※2021年12月25日HOTランキング1位、2021年12月26日ハイファンタジーランキング1位頂きました。お読み頂き有難う御座います。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。