転異世界のアウトサイダー 神達が仲間なので、最強です

びーぜろ

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第八章 フェロー王国動乱編

第232話 評議員トゥルクのカジノ④

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「し、商業ギルドのギルドカードに白金貨95万1,170枚(約951億1,700万円)を振り込みました……」

 白目を剥いて気絶しているトゥルクさんを尻目に、カジノディーラーさんが震える手で賭け金の明細を渡してくる。

「ありがとう」

 このカジノの総支配人トゥルクさんとの勝負(ババ抜き)に勝った俺は賭け金を受け取ると、トゥルクさんが目覚めるのを待つ事にした。

 賭け金は受け取ったが、まだ土地摂取の黒幕とやらを聞いていない。

 トゥルクさんが目覚める迄の間、ユートピア商会の従業員達とカジノゲームを楽しんでいると、トゥルクさんが目覚めた様だ。

「トゥルク様……トゥルク様!」

「ここは……。あれは夢? そう……悪い夢だったのね。良かったわ。白金貨95万1,170枚を失う夢なんて本当に悪い夢だった……」

 目覚めたトゥルクがふと手に持つジョーカーのトランプに視線を向けると、顔を青褪めさせる。

 そして、ジョーカーを投げ捨てるとキョロキョロと周囲を見渡し始めた。
 どうやら誰かを探しているらしい。

 俺はトゥルクさんの様子を見ながらスロットにチップを投入すると、レバーを傾ける。
 すると何やらルーレットの様な画面が表示され回り出す。
 よくはわからないが、なんだか凄そうだ。真ん中にジャックポットと書いてある。

「悠斗様凄いです! ジャックポットですよ、ジャックポット!」

 ジャックポット?
 そういえば、元の世界のメダルゲームにも大量のメダルが放出されるジャックポットを狙えるゲームがあったな。当たった事なかったけど、これがジャックポットか……。

「メガジャックポットが当たれば今までこのスロットが貯め込んできた白金貨5万枚相当のチップが払い出されるんですよ! なんで悠斗様はそんなにも平然としていられるんですか! 白金貨5万枚相当ですよ。白金貨5万枚相当!」

 すると、その声に誘われて野次馬達が集まってきた。

「おー本当にジャックポットだ」

「運がいいな。ここ数ヶ月出ていないメガジャックポットを拝めるかもしれない」

「おい。ジャックポット引き当てたの、ババ抜きでトゥルクを倒した奴じゃないか?」

「ああ、これならメガジャックポットもあり得るかもしれないな」

「ジ、ジャックポットですって!?」

 今度は野次馬の声に釣られて白目から復活したばかりのトゥルクさんが、野次馬達を押し退けて飛んできた。

「あ、あなたこんな所に! それよりジャックポットってどういう事よ! 説明なさい!」

 い、いや、チップを入れてレバー引いたらジャックポットに突入しただけなんですけど……。

 俺が口籠っていると、ルーレットが止まりデカデカとメガジャックポットと表示された。

 トゥルクさんは口をパクパクさせると、また白目を剥いて気絶してしまう。
 まだ土地接収の黒幕とやらを聞いていないのに……。

「やりました! やりましたよ悠斗様! メガジャックポットです! メガジャックポットですよ!」

「う、うん。ありがとう?」

 こういう時、なんと返したらいいのか分からなかったので取り敢えず、お礼の言葉を口にする。
 するとカジノの従業員さんがガードマンと共にやってきた。

「お、お客様。おめでとうございます! そ、それでは失礼ながらマシンをチェックさせて頂きます」

 カジノの従業員さんがスロットを調べると、息をつきこちらに視線を向ける。

「異常はない様ですね……。お客様、メガジャックポットおめでとうございます! 受取方法は如何致しましょう? 現金一括払いに振込とどちらにでも対応可能ですが……」

「それでは商業ギルドのギルドカードへ振込をお願いします」

「畏まりました。直ぐに入金の準備を致します」

 カジノの従業員さんはそう言うと、俺に賭け金の明細を渡し、気絶したトゥルクさんと共にバックヤードへと戻って行った。

 まだカジノに来て一時間余り……。
 既に白金貨100万枚を手にしてしまった。

「悠斗様。次は何のゲームします? ルーレットに行きましょうよ! ルーレット!」

「ルーレットか……」

 チラリとカジノの従業員に視線を向けると、もう早く帰って欲しい様な表情を浮かべている。
 とはいえ、まだ土地接収の黒幕の情報を聞いていない。

 カジノの従業員さんに事情を説明すると、トゥルクさんが気絶から回復する迄の間、ルーレットを楽しみ獲得したチップをテーブルに積み上げていく。

 二時間位すると、正気を取り戻したトゥルクさんがバックヤードから飛び出してきた。
 その形相はまるで鬼の様……。鬼気迫る表情で俺の事を探している。

 折角なので、「ここにいますよ~」と声をかけながら手を振ると、まるで『遅かったか……』と言わんばかりの表情を浮かべ、前のめりに倒れた。

 トゥルクさんは、ゆっくり起き上がると、ルーレットのテーブルに積み上がったチップに恨みがましい視線を向けながらこちらに向かってやってくる。

「オーランド王国の女王フィン様が土地接収の黒幕よ。理由は万能薬の供給元を潰す為……。これでいいでしょ……」

「えっ?」

 俺がそう聞き返すと、トゥルクさんは涙目になりながら怒鳴り声を上げ土下座する。

「これでいいでしょって言っているの! 今日の所はもうお帰り下さい! もう帰って!」

 流石に勝ち過ぎた様だ。
 この日、〔トゥルクのカジノ〕で獲得した金額は白金貨100万枚(約1,000億円)。

 俺達は総支配人トゥルクに睨みつけられながら〔トゥルクのカジノ〕を後にした。
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