転異世界のアウトサイダー 神達が仲間なので、最強です

びーぜろ

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第八章 フェロー王国動乱編

第265話 領主からの依頼①

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「はい。これはヨルズルが捕まった事により発覚した事ですが、廃坑近く、正確には、崩れてしまった廃坑の真上にヨルズルの別荘があったそうです。なんでも、その別荘は盗賊との話し合いや、略奪品の保管場所となっていた様でして……」

 あ、あの別荘、休憩場が何かではなく、盗賊達の密会所だったのか……。
 ヨルズルさんが盗賊だった事を聞き、背筋に冷たいものが走る。
 もしかして、ヨルズルさんが振る舞ってくれたハーブティーに何がよからぬものが入っていたんじゃ……。

 思い返せばあの時、ヨルズルさん達はハーブティーに口を付けていなかった様な気がする。
 いや、でも体調に問題ないし考え過ぎか?
 俺は首を横に振ると、ゴタさんに顔を向ける。

「それで、なんで金庫の回収依頼を俺に?」

 正直言って、やりたくない。
 廃坑内にまた入るとか危険だし、その中から金庫だけを回収するなんて無茶もいい所だ。
 そういった事は、冒険者ではなく専門業者に依頼して欲しい。

「それが、その金庫の中にはヨルズルが盗賊から受け取った金品や様々な重要書類が収められている様です。報酬は金庫に入っている金品の半分では如何でしょうか?」

 ユートピア商会の従業員達のお陰でお金には困っていない。それに今の俺はバカンス中。何で周囲の皆は俺を働かせようとするのだろうか?
 すると、後ろに控えていた鎮守神が耳打ちをしてきた。

『悠斗様。この依頼、お引き受けください。この依頼をさせるに丁度良い人形があります』

『人形?』

 もしかしてそれは、俺が密かにドレーク人形と呼んでいるユニークスキル収納魔法を使う目と口にメイクを施した人形の事を言っているのだろうか?

『はい。最近、捕獲し作成した人形なのですが、収納魔法のユニークスキルに、悪魔召喚スキルを持っております。ここ最近、作成した人形の中でも最高傑作と自負しており、あの人形であれば問題なく依頼をこなす事ができる事でしょう』

 やっぱりそうか……。

 頭の中でドレーク人形が陥没した別荘跡地から飛び込み、金庫を探し当てると収納魔法に収め、穴の中を這い上がってくる様子を思い浮かべる。

 確かにあの人形なら最適かもしれない。

『わかった。ありがと』

 俺は鎮守神にお礼を言うと、ゴタさんに視線を向ける。

「わかりました。その依頼受けさせて頂きます」

「そうですか! それはそれはありがとうございます! ロイ様もお喜びになるでしょう」

 ゴタさんが笑顔を浮かべると、鞄から書類を取り出し渡してくる。

「こちらが依頼書になります。廃坑より金庫を回収したらこちらの依頼書を持って冒険者ギルドに提出ください。回収方法についてはお任せ致します」

 よかった。回収方法を指定されては鎮守神の人形を動かす事ができないところだ。

「わかりました。金庫を回収次第、冒険者ギルドに提出致します」
  
「ありがとうございます。そして、あと一つお願いがあるのですが……」
  
「お願いですか……」

 ゴタさんは襟を整えると真剣な表情を浮かべ話し始めた。どうやらこちらが本題のようだ。

「近々、王都ストレイモイで領主会議という。フェロー王国の全ての領主が集まる会議がございます。その間、悠斗様には、ロイ様の護衛をお願いしたいのですが、受けて頂けないでしょうか?」

「領主会議ですか……」

 領主会議か……。
 言ってあまり乗り気ではない。
 領主会議には現国王や内務大臣も出席するだろうし、そんな中に護衛として付いていって勘繰られても困る。

 俺が乗り気じゃない事を察したのだろうか。
 ゴタさんは懇願するような視線を向けてくる。

 しかし、これはエストゥロイ領の領主ロイ様からの依頼。断るのは簡単だけど、折角、ユートピア商会エストゥロイ支部の営業を始めたばかりだ。

 下手に拗れて王都を出た時の二の舞になるのは避けたい。まあ考え過ぎかも知れないけど……。

 それに俺に護衛という依頼をこなせるとも思えない。むしろ、口の聞き方を間違い。領主のロイ様に不快な思いをさせてしまう可能性が非常に高い。

 うーん。どうしたものか……。

「例えば、護衛に最適な精霊が宿ったアクセサリーを贈るというのではどうでしょうか?」

「精霊の宿ったアクセサリーですか……。その精霊はどれ程の力を有しているのですか?」

 意外と食い付きがいい?
 ならこの線で話を進めよう。

「そうですね。ちょっと外に着いてきて頂けますか?」

 俺が立ち上がると、ゴタさんもソファーから立ち上がる。
 客間を抜けて広場に出ると、鎮守神が人型の的を置いた。俺は人型の的に収納指輪から出したアクセサリーをかけると、的から離れゴタさんのいる場所に戻る。

「あのアクセサリーには、二十体の影精霊が宿っています。今からあの的に向かって魔法を放ちますので見ていてください」

 俺は的に視線を向けると、手の平をあげる。

「それじゃあ行きますよ。【火弾】【風弾】【土弾】」

 俺は周囲に大小様々な大きさの【火弾】【風弾】【土弾】を浮かべると、的に向かって一斉に放った。
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