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第八章 フェロー王国動乱編
第266話 領主からの依頼②
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「す、凄い……。これがSランク冒険者の力……」
こんなに高い威力を持つ魔法を当てても問題ありませんよ。
影精霊はその全てを防いでくれますよといったパフォーマンスだったがやり過ぎただろうか?
大小様々な魔法が的に当たる直前、アクセサリーから黒いモヤのようなものが立ち上り、攻撃から身を守るように的を覆い隠していく。
そして魔法が影精霊に着弾すると、大きな爆音が広場に響き渡った。
「し、しまった……」
どう考えてもやり過ぎだ。
邸宅の敷地は迷宮の管理下にあるため、ある程度爆音を響かせても問題ない。
近隣住民から苦情がくる事もないだろう。
いくら影精霊でも、自身の防御力より高い攻撃を防ぐ事はできない。
的は無事だろうか?
俺は内心焦りながら、土煙が晴れるのを待つと、土煙の奥に傷一つない的とアクセサリーが見えてくる。
よかった。影精霊達は的を護り切ったようだ。
俺は平静を装うと、的にかけたアクセサリーを手に持ち、ゴタさんに見せつける。
「ゴタさん。どうでしょうか? 高い魔力耐性に防御力。このアクセサリーを身に付けておくだけで、Sランク冒険者の魔法攻撃をほぼ全て無効化する事ができます。領主様にはこちらのアクセサリーを進呈致しましょう。冒険者に守って貰うよりこちらのアクセサリーを身に付けていた方が、安全だと思うのですが如何でしょうか?」
ゴタさんは驚愕の表情を浮かべたままポカーンとした表情を浮かべている。
ゴタさんの表情とは裏腹に俺は内心ガッツポーズを浮かべた。
内心やり過ぎとは思ったが、ここまで印象に残るような結果を出せれば問題ないだろう。
それに安心してほしい。
俺の影精霊は優秀だ。今回、宿主である俺からの攻撃だった為、影精霊から反撃されなかったが、通常であれば反撃も自動的に行なってくれる。
そんじょそこらの冒険者が護衛に就くよりよっぽど優秀だ。なんなら身に付けているだけで二十四時間守ってくれる。
馬車の御者に持たせれば、もうその馬車は馬車では無くなる。それこそ戦車といっても過言ではない乗り物に早替わりである。
俺が心の中でドヤ顔を浮かべていると、ゴタさんが意識を取り戻した。
「す、凄いですね。流石はSランク冒険者にして、ユートピア商会の会頭。本人も、手に持つ魔道具も規格外です。やはりロイ様の目に狂いはありませんでした。すぐにこの事を報告しなければ……」
ゴタさんがそんな事を呟きながら首を振る。
「い、いえ。いけません。私の任務はロイ様と悠斗様の話し合いの機会を作り友好関係を結ぶ事。そして領主会議前にどうしても悠斗様の話を聞きたいというロイ様の願いを叶える事。しかし対応を間違えばロイ様のお立場が……。悠斗様にちょっかいを出した者は悉く破滅に向かうと聞いておりますし、私は一体どうすれば……」
本音ダダ漏れなゴタさんの独り言に、俺はポカーンとした表情を浮かべる。
えっ? それが目的だったの?
だから周りくどく、金庫の回収や護衛任務を依頼しに来たの?
というか、そんな根も葉もない噂が流れているの?
「えーっと、ゴタさん? 護衛依頼はともかく、領主様が俺の話を聞きたいと言うのであれば、面会予約を取った上で会いに行きますが……」
するとゴタさんはガバリと顔を上げる。
「ほ、本当ですか⁉︎」
あまりに必死なゴタさんの表情に、俺は少し後ずさる。
「は、はい……。といっても廃坑で金庫の回収もしなければなりませんので、明日以降になりますが……」
「全く問題ございません! えーっと、少々お待ちください。ロイ様の予定を調べますので……」
するとゴタさんは懐からスケジュール帳を取り出し、予定を確認していく。
「領主会議まで時間がありません。遅くとも四日後には王都に向けて出発しなければなりませんので……、明日以降、冒険者ギルドに金庫を届けに来た際、または明後日の午前九時など如何でしょうか?」
うん?
今何か変な事を言わなかったか?
なんか明日以降、冒険者ギルドに金庫を届けに来た際とかなんとか聞こえた気がする。
そういえば、元ギルドマスターのヨルズルさんが盗賊として捕まったんだっけ?
じゃあいまエストゥロイ領のギルドマスターには一体誰が……。
すると後ろに控えていた鎮守神が後ろから耳打ちしてきた。
『悠斗様。すでに人形を廃坑に向かわせております。今日の夜にも廃坑内から金庫を回収する事ができるでしょう』
流石は鎮守神。仕事が早い。
『わかった。ありがとう』
俺は鎮守神にお礼を言うと、ゴタさんに視線を向ける。
「それでは、明日、冒険者ギルドに金庫を届けに参りますので、その時で如何でしょうか?」
まあ、なんで冒険者ギルドに金庫を届けに行く事が、領主様と話をする事に繋がるのかはわからないけど……。
するとゴタさんは喜びの表情を浮かべる。
「そうですか! ありがとうございます。それにしても、明日の内に廃坑内から金庫を回収する事ができるなんて流石はSランク冒険者ですね。ロイ様もお喜びになられる事でしょう。金庫をギルドに提出したら、受付に案内するよう手配しておきます。提出後はそのままギルドマスター室にお越しください」
「えっ? ギルドマスター室にですか⁉︎」
「はい。前ギルドマスター、ヨルズルが盗賊として捕まった事により、冒険者ギルドの本部から新しいギルドマスターが就任するまでの間、領主であるロイ様が暫定のギルドマスターとなっておりますので……」
領主って大変だな……。というより副ギルドマスターとかいなかったのだろうか?
少し気になった俺は聞いてみる事にした。
「エストゥロイ領の冒険者ギルドには副ギルドマスターがいないんですか?」
するとゴタさんは深いため息をついた。
「はい……。ヨルズルが冒険者ギルドから逃げた日の翌日には姿を消しておりました。ヨルズル同様になにかやましい事でもあったのでしょう……」
な、なるほど……。
エストゥロイ領の冒険者ギルドの上層部は真っ黒の様だ。やはり権力を持つと人は変わってしまうものなのだろうか……。俺もそうならない様に気を付けよう……。
「話はわかりました。それでは明日、廃坑内から金庫を回収次第、冒険者ギルドに赴かせて頂きます」
俺がそう言うと、ゴタさんは明るい表情を浮かべた。
「は、はい! それでは明日、冒険者ギルドでお待ちしております」
こんなに高い威力を持つ魔法を当てても問題ありませんよ。
影精霊はその全てを防いでくれますよといったパフォーマンスだったがやり過ぎただろうか?
大小様々な魔法が的に当たる直前、アクセサリーから黒いモヤのようなものが立ち上り、攻撃から身を守るように的を覆い隠していく。
そして魔法が影精霊に着弾すると、大きな爆音が広場に響き渡った。
「し、しまった……」
どう考えてもやり過ぎだ。
邸宅の敷地は迷宮の管理下にあるため、ある程度爆音を響かせても問題ない。
近隣住民から苦情がくる事もないだろう。
いくら影精霊でも、自身の防御力より高い攻撃を防ぐ事はできない。
的は無事だろうか?
俺は内心焦りながら、土煙が晴れるのを待つと、土煙の奥に傷一つない的とアクセサリーが見えてくる。
よかった。影精霊達は的を護り切ったようだ。
俺は平静を装うと、的にかけたアクセサリーを手に持ち、ゴタさんに見せつける。
「ゴタさん。どうでしょうか? 高い魔力耐性に防御力。このアクセサリーを身に付けておくだけで、Sランク冒険者の魔法攻撃をほぼ全て無効化する事ができます。領主様にはこちらのアクセサリーを進呈致しましょう。冒険者に守って貰うよりこちらのアクセサリーを身に付けていた方が、安全だと思うのですが如何でしょうか?」
ゴタさんは驚愕の表情を浮かべたままポカーンとした表情を浮かべている。
ゴタさんの表情とは裏腹に俺は内心ガッツポーズを浮かべた。
内心やり過ぎとは思ったが、ここまで印象に残るような結果を出せれば問題ないだろう。
それに安心してほしい。
俺の影精霊は優秀だ。今回、宿主である俺からの攻撃だった為、影精霊から反撃されなかったが、通常であれば反撃も自動的に行なってくれる。
そんじょそこらの冒険者が護衛に就くよりよっぽど優秀だ。なんなら身に付けているだけで二十四時間守ってくれる。
馬車の御者に持たせれば、もうその馬車は馬車では無くなる。それこそ戦車といっても過言ではない乗り物に早替わりである。
俺が心の中でドヤ顔を浮かべていると、ゴタさんが意識を取り戻した。
「す、凄いですね。流石はSランク冒険者にして、ユートピア商会の会頭。本人も、手に持つ魔道具も規格外です。やはりロイ様の目に狂いはありませんでした。すぐにこの事を報告しなければ……」
ゴタさんがそんな事を呟きながら首を振る。
「い、いえ。いけません。私の任務はロイ様と悠斗様の話し合いの機会を作り友好関係を結ぶ事。そして領主会議前にどうしても悠斗様の話を聞きたいというロイ様の願いを叶える事。しかし対応を間違えばロイ様のお立場が……。悠斗様にちょっかいを出した者は悉く破滅に向かうと聞いておりますし、私は一体どうすれば……」
本音ダダ漏れなゴタさんの独り言に、俺はポカーンとした表情を浮かべる。
えっ? それが目的だったの?
だから周りくどく、金庫の回収や護衛任務を依頼しに来たの?
というか、そんな根も葉もない噂が流れているの?
「えーっと、ゴタさん? 護衛依頼はともかく、領主様が俺の話を聞きたいと言うのであれば、面会予約を取った上で会いに行きますが……」
するとゴタさんはガバリと顔を上げる。
「ほ、本当ですか⁉︎」
あまりに必死なゴタさんの表情に、俺は少し後ずさる。
「は、はい……。といっても廃坑で金庫の回収もしなければなりませんので、明日以降になりますが……」
「全く問題ございません! えーっと、少々お待ちください。ロイ様の予定を調べますので……」
するとゴタさんは懐からスケジュール帳を取り出し、予定を確認していく。
「領主会議まで時間がありません。遅くとも四日後には王都に向けて出発しなければなりませんので……、明日以降、冒険者ギルドに金庫を届けに来た際、または明後日の午前九時など如何でしょうか?」
うん?
今何か変な事を言わなかったか?
なんか明日以降、冒険者ギルドに金庫を届けに来た際とかなんとか聞こえた気がする。
そういえば、元ギルドマスターのヨルズルさんが盗賊として捕まったんだっけ?
じゃあいまエストゥロイ領のギルドマスターには一体誰が……。
すると後ろに控えていた鎮守神が後ろから耳打ちしてきた。
『悠斗様。すでに人形を廃坑に向かわせております。今日の夜にも廃坑内から金庫を回収する事ができるでしょう』
流石は鎮守神。仕事が早い。
『わかった。ありがとう』
俺は鎮守神にお礼を言うと、ゴタさんに視線を向ける。
「それでは、明日、冒険者ギルドに金庫を届けに参りますので、その時で如何でしょうか?」
まあ、なんで冒険者ギルドに金庫を届けに行く事が、領主様と話をする事に繋がるのかはわからないけど……。
するとゴタさんは喜びの表情を浮かべる。
「そうですか! ありがとうございます。それにしても、明日の内に廃坑内から金庫を回収する事ができるなんて流石はSランク冒険者ですね。ロイ様もお喜びになられる事でしょう。金庫をギルドに提出したら、受付に案内するよう手配しておきます。提出後はそのままギルドマスター室にお越しください」
「えっ? ギルドマスター室にですか⁉︎」
「はい。前ギルドマスター、ヨルズルが盗賊として捕まった事により、冒険者ギルドの本部から新しいギルドマスターが就任するまでの間、領主であるロイ様が暫定のギルドマスターとなっておりますので……」
領主って大変だな……。というより副ギルドマスターとかいなかったのだろうか?
少し気になった俺は聞いてみる事にした。
「エストゥロイ領の冒険者ギルドには副ギルドマスターがいないんですか?」
するとゴタさんは深いため息をついた。
「はい……。ヨルズルが冒険者ギルドから逃げた日の翌日には姿を消しておりました。ヨルズル同様になにかやましい事でもあったのでしょう……」
な、なるほど……。
エストゥロイ領の冒険者ギルドの上層部は真っ黒の様だ。やはり権力を持つと人は変わってしまうものなのだろうか……。俺もそうならない様に気を付けよう……。
「話はわかりました。それでは明日、廃坑内から金庫を回収次第、冒険者ギルドに赴かせて頂きます」
俺がそう言うと、ゴタさんは明るい表情を浮かべた。
「は、はい! それでは明日、冒険者ギルドでお待ちしております」
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