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1巻

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「ふむ……イメージ次第で自分の影を動かせる能力のようですね。例えば、影の形を変えたり、切り離したりすることは可能でしょうか」

 確信はないが、明確なイメージを持てばできそうな気がする。

「ちょっと待ってください。やってみます」

 俺は影の形が人型から丸いボールになることをイメージして『影操作』を行使してみる。
 影は丸まり始め、ボールの形へと変化した。どうやらうまくいったようだ。
 次に、影を切り離すイメージで『影操作』を行使したが、こちらはうまくいかなかった。
 切り離すというよりは、自分の足から伸びている影の根本が極限まで細くなっているだけで、細い有線で動く影みたいな状態が限界なようだ。
 何はともあれ、これで自分の影を操れるということはわかった。
 たしかな手応えを感じていると、ベーリング宰相が話しかけてくる。

「自分以外の影も動かすことができるのでしょうか?」

 他人や物の影を動かすという意味だろうか?
 多分できると思うけど……。

「えっと、それじゃあ、どなたか協力をしていただいてもよろしいでしょうか?」

 俺がそう声をかけても、誰も協力してくれる気配がない。
 まあ、その気持ちはよく理解できる。流石に、影を勝手に動かされるのはなんだか気持ち悪いだろう。
 すると、薄笑うすわらいを浮かべた愛堕夢が声を上げた。

「じゃあ、俺の影を動かしてみてくれよ!」

 愛堕夢は俺の前に立つと、バカにしたような視線を向けてくる。
 正直、俺からカツアゲしようとした人に協力してほしくなかったけど、他にいないので仕方がない。
 俺は愛想笑あいそわらいを浮かべて愛堕夢に話しかけた。

「それじゃあ、よろしくお願いします。今から愛堕夢さんの足を拘束するイメージで『影操作』を行いたいと思います。それでは、『影操作』」

 そう唱えた途端、俺のイメージ通り、影が愛堕夢の足を包み込んでいく。
 しかし、それだけのようだ。
 足が影におおわれているにもかかわらず、「うっわ! 気持ちわりぃ」と言いながら愛堕夢は普通に歩いていた。
 どうやら『影操作』で相手を拘束することはできないらしい。
 こうなってくると、どこまでできるのか気になってくる。

「愛堕夢さん、ありがとうございました。次に大広間にある物の影を動かしてみたいと思います」

 俺は愛堕夢にお礼を言うと、今度は大広間にある物の影に向けて『影操作』を行使した。
 イメージは、大広間にあるすべての物の影を動かす感じだ。
 そのイメージが通じたように、大広間にあるすべての物の影がうねり始めた。
 愛堕夢の影を動かすことができたから大丈夫だとは思っていたけど、物の影も問題ないようだ。
 よし、今度は大広間にある物の影を縮小するイメージで『影操作』をしてみよう。
 すると意外なことが起こった。
 ほんの少しではあるが、あたりが明るくなったのである。
 一瞬自分でも何が起きたかわからなかった。
 考えられることとしては、影が小さくなった影響で、室内がちょっと明るくなったってことなのかもしれないが、元いた世界ではありえない仕組みだ。
 まあ異世界だし、日本の科学は通用しないのだろう。不思議ミステリーといった感じだ。
 しかし困った。
 ウェークに住む一般的な住民よりもステータスが低い上、頼みの綱の『影操作』は本当に影を操るだけの能力であることが立証されてしまった。
 これ絶対に、戦争や迷宮じゃ使えないよね……。
 あれ、俺、結構詰んでない?
 そんな風に考えていると、後ろから笑い声が聞こえてきた。

「おいおい! お前、俺達と同じ転移者のくせに、まともなユニークスキル持ってないのかよ!」
「うわっ! ダッセー! 影を操るだけとか手品かよ」

 キラキラネームが眩しい光魔法使いの愛堕夢と、ゴロツキ雷魔法使いの多威餓が、俺の『影操作』を見てあざけってくる。

「宰相さんよ~、ステータスも低くて、影を動かすことしかできないコイツに生きる価値あんの?」
「いやマジ無能だな、お前。ろくに使えないスキルとか、同じ転移者として恥ずかしいぜ。ヒャハハハ~!」

 清々すがすがしいくらいのクズである。
「ヒャハハハ~!」とか言う人初めて見た。
 とはいえ、『影操作』が使えないとなると、どうしたものか……。
 二人の発言を受けて、ベーリング宰相が口を開く。

「ふむ、ステータスも低く、MAGやINTが高くても、ユニークスキルがこれでは、使い物になりませんね。影を動かすことしかできない悠斗様を王城に置いておいていいものか……これではまるで、穀潰ごくつぶし……いやおとり位なら使えるか」

 本人が目の前にいることを一切気にせず、かなりひどい発言をしていた。
 そんな俺の視線に気付いたのか、宰相は一つ咳払せきばらいをして、取りつくろうように言った。

「いえ、失礼いたしました。転移者様は、ステータスの上昇値が高いと聞きます。とりあえず予定通り、迷宮に入ってもらいレベル上げをすることにしましょう。もしかしたら、ステータス値の急上昇もあるかもしれません」

 こうして俺は、有望な転移者から、ユニークスキルもろくに使えない穀潰し……無能へとジョブチェンジした。


「とはいえ、いきなり迷宮に入っていただくわけにもいきませんので、あなた方には訓練を受けていただく必要があるのですが……その説明は明日にいたしましょう。ささやかではありますが、お部屋に食事を用意させていただきました」

 ベーリング宰相がそう言うと、部屋の外に控えていたらしきメイドが扉を開けてやってきた。

「早速、案内させていただきます。愛堕夢様はこちらへどうぞ」
「多威餓様はこちらに、飲み物はどうされますか」

 愛堕夢と多威餓が、下卑げびた笑みを浮かべながら、メイドに連れられ貴賓室きひんしつへと案内されていく。
 そして、いよいよ俺の番。
 そう思っていると、明らかに見下したかのような視線を俺に向けながら、ベーリング宰相が声をかけてきた。

「悠斗様はこのまま少々お待ちいただいてもよろしいでしょうか」

 ベーリング宰相の言葉に思わず驚く。

「えっ?」
「大変申し訳ないのですが、【異世界人召喚の儀】で呼び出せるのは二名だけと聞き及んでおりましたので、悠斗様のお部屋を用意できていないのです。早急に手配いたしますので、しばらくここでお待ちください」

 ここは王城だと思っていたんだけど、そうだとしたら、貴賓室のような部屋が二部屋だけなんてことがあるのだろうか。
 とはいえ、そう言われては仕方がない。おそらくユニークスキル『影操作』があまり使えないのを見て、考えを変えたのだろう。

「わかりました。待っている間、ここで『影操作』の練習をしてもいいですか?」

 するとベーリング宰相は笑みを浮かべる。

「もちろんです。どうぞご自由に練習してください。部屋の準備が整い次第、改めて案内させていただきたいと思います。それまでの間、もう少々お待ちくださいませ」

 そう言うと、大広間にいた王様とベーリング宰相、そしてすべての使用人が扉の向こうへと消えていった。
 まさか一人で残されるとは思わなかった。
 しかも、日が落ち始めているというのに、灯りまでほとんど落としていくなんて!
 本当に、部屋の準備をしてくれているのだろうか。メイドさん、ちゃんと呼びに来てくれるよね。大丈夫だよね。
 しかし、そんなことを考えていてもどうしようもない。

「とりあえず、『影操作』でどんなことができるのか検証しておかないとまずい。このまま不良二人組と一緒に迷宮に向かっても、荷物持ちか、いざという時に囮にされて、悲惨な目に遭うような気がするし」

 そんな未来を迎えないために、俺は早速、『影操作』の検証を始めた。
 しかし、何度か『影操作』を唱え、能力を発動しても、宰相達に見せた時から進展が全くない。
 せいぜい、宰相達の前で披露ひろうしたことを復習する程度だ。
 日も完全に落ち、薄暗くなった大広間で、『影操作』を行使して明るくしたり、影の形を繰り返し動かしたりして魔法に慣れていく。
 とはいえ、影を操る以外、一向に手応えを感じない。わずかな手がかりすら掴めていない状態がもどかしい。
 そもそも『影操作』がどんなものか、宰相が話していた以上のことを俺は知らない。
 少しアプローチを変えて、能力を調べれば何かわかるだろうか。
 俺は「ステータスオープン」と唱え、試しに、スキル『鑑定』をステータスに表示されている『影操作』に使用してみた。
 すぐに、『影操作』の詳細が浮かび上がる。


 ユニークスキル:影操作Lv‌8
  すべての影を操作することができる。Lv‌10になることで影魔法に進化。


 もしかしたら、とは思っていたけど、本当に鑑定することができるとは!
 それにスキルレベルが宰相達にステータスを見せた時より上がっている。
 そういえば、ベーリング宰相はスキルは使用することによりレベルが上昇すると言っていた。転移者はスキルレベルや基礎能力が上がりやすいとも……。
 おそらく、何度も『影操作』に挑戦したり、一人で試したりしているうちにレベルが上がったのかもしれない。
 よく見ると、『影操作』の詳細に『Lv‌10になることで影魔法に進化』と書かれている。
 これは、影しか操ることができない現状を打開するかぎになるかもしれない。
 このままレベルを上げていけば『影魔法』を使えるようになるに違いない!
 だいたい、不良二人組は『光魔法』と『雷魔法』を使えるのに、なぜ俺だけ『影魔法』の前段階である『影操作』しか使えないんだ?
 ベーリング宰相は、【異世界人召喚の儀】で呼び出せるのは二人だけのはずと言っていた。
 つまり、俺はその二人に巻き込まれただけなのかもしれない。
 そのせいで、ユニークスキルも中途半端なものを授かったのだろう。
 やっぱりステータスにあったLUKは、一応MAXにはなっていたけど全然働いていない気がする……巻き込まれて異世界転移とか、どう考えても不幸のたぐいだ。
 そこまで考えたところで、ここまで何度も『影操作』を使ったのに、魔力が極端に減ったり、疲れたりという感覚がないことに気が付いた。まだまだ使えそうだ。
 この世界には、魔法を使うたびに消費されるMPマジックポイントのような概念がないのだろうか。それとも転移者だけ特別なのか?
 いや、違う。『影操作』を使うたびに、何かが身体から抜けていく感覚が多少はある。
 そういえば、ステータスにMAGという項目があった。たしか、俺のステータスに表示されている数値は100。
 平均より多いという話だし、使っていたのはいくら影を操るだけのスキルだが、長い時間使用していれば、魔力が枯渇こかつしてもおかしくない。
 もしかして魔力は俺の身体だけではなく、空気中にも含まれているのではないだろうか。
 だとすれば俺は、自分の魔力と空気中に含まれている魔力の両方を利用して、無意識に自分の魔力の出力を抑えながら、『影操作』を発動しているのかもしれない。

「今度は魔力の流れを意識して『影操作』を使ってみるか」

 目を閉じて、『影操作』を行使した際に魔力がどう流れるのかに神経を集中させる。
 何度も繰り返した結果、呼吸とともに空気中に含まれる魔力が身体に入り込むのが理解できた。心臓の隣あたりで自分の魔力と混ざり合い、手の平、足へと流れていくような感覚もある。
 思った通り、俺は知らず知らずのうちに、自分の魔力と空気中の魔力をあわせて使用していたようだ。

「いつまでも『影操作』を使えるわけだ」

 自分以外の魔力も取り込んで使っているのだから当たり前だと、俺は頷く。
 そして、それ以外にもわかったことがある。
『影操作』は、手の平を影にかざすことで、より正確に影をコントロールできるようだ。
 おそらく、操る影を視覚的にイメージしやすくなったためだと思われる。
 さらに、直接影に手を触れると、魔力がスムーズに行き渡り、イメージ通り完璧に操ることもできた。
 この調子で、『影操作』を使っていけば、『影魔法』まですぐに辿たどり着けるかもしれない……。
 そう思い色々試していると、扉が開き、メイドさんが入ってきた。

「悠斗様、大変お待たせいたしました。お部屋の用意が整いましたので案内させていただきます」

 ようやく部屋で休むことができそうだ。
 それにしても遅かった。
 体感で三時間くらい大広間にいたような気がする。まあ『影操作』の感覚をつかめたから良かったんだけど。
 俺はメイドさんに連れられ、急遽きゅうきょ用意されたのであろう使用人部屋へと案内された。

「本日はゆっくりとお休みください。食事は、部屋に用意してあります」
「ああ、ありがとうございます」

 メイドさんにお礼を言い、部屋の中に入る。
 机の上には、異世界でよく見かけるような特殊なデザインの服が置かれていた。
 俺の制服では、何かと目立つからという配慮なのだろう。
 とりあえず、一通り着替えると、使用人部屋のベッドに寝転がる。
 寝る前に、「ステータスオープン」と呟き確認してみたところ、MAGの数値が上がっていた。
 さらに、『影操作』がカンストし『影魔法』に進化していたため、試そうと思ったのだが、今日は続けざまに色々な事が起きて疲れてしまった。
 まぁ、明日以降も時間はあるだろうし、慌てなくても大丈夫だろう。



 3 訓練ってキツいんですね


 翌朝、運ばれてきた朝食をとった後、昨日進化したユニークスキル『影魔法』の練習を始めようとしたところで、宰相からお呼びがかかった。

「一体何だろうか……」

 大広間に入ると、眠そうな顔をした愛堕夢と多威餓の顔がこちらに向く。
 そして、さっきまでボケっとしていたのに、俺の顔を見た瞬間からニヤニヤし始めた。
 しかも、昨日とは違う服を着ているのだが、その服が既に破けている。
 それにしても、実に気持ちが悪い。俺の顔を見て突然ニヤニヤし出すとか、何を考えているのだろうか。
 やはり不良二人組の思考回路は不明だ。
 そんなことを思っていると、大広間の扉が開き、成金趣味全開のド派手な王笏おうしゃくをもった王様が十数名の部下を引き連れてやってきた。

「おはよう諸君。昨日はよく眠れただろうか。ここにいる者達は、そなたらの教育係を務める我がマデイラ王国軍屈指の騎士達である。これからそなたらには、彼らによる厳しい訓練を受けてもらう」

 昨日の流れでは協力するなんて一言も言っていないのに、王様の頭の中では、もう俺達が戦争に参加することは決定事項らしい。
 清々しい程の自己中っぷりだ。
 いや、自己中で我儘わがまま、それを実現する権力を持っているからこそ王様なのか?

「さて、まずは、普段騎士達が受けているものと同じ訓練をしてもらう。どれだけの力があるのかを見たいからな。その後、迷宮についての知識を学び、最終的には迷宮でそなたら自身の力を鍛えてほしい。転移者の力は絶大だからな……特に愛堕夢と多威餓、君達には期待をしているぞ」
「「はい! ありがとうございます」」

 そんな言葉を口にする愛堕夢と多威餓に、思わず俺は唖然とする。
 まさかちゃんと感謝の意を表すことができるとは……てっきり舌打ちでもかまして、絨毯じゅうたんつばでも吐くのかと思っていた。
 昨日俺をカツアゲしてきた不良二人組とは思えない言動だ。

「では早速、訓練に入ってもらおう。それでは騎士団長のオスロ、よろしく頼む」
「はっ! お任せください」
「それでは転移者諸君! まずは君達の基礎体力を測ろうと思う。そのあとは迷宮でも生き残ることができるようみっちり訓練してやるからな、ありがたいと思え! そして、そこの二人、次にまたメイドに狼藉ろうぜきを働こうとしたらどうなるかわかっているな!」
「「はいっ!」」

 不良二人組が少しおびえた表情を浮かべていた。
 なるほど、二人組が大人しくなっていたのはそのためか。
 お世話してくれているメイドさんに手を出した結果、騎士団からお仕置きされるとか同じ転移者として恥ずかしい。
 そんな不良二人組は、メイドさんに謝りながら、訓練用に替えの服をもらっていた。

「それでは、これより訓練を開始する!」


 そして、騎士団との訓練が始まってから二週間が経過した。
 部屋のベッドに腰掛けながら、ここ数日の訓練の日々を思い返す。
 この二週間はハッキリ言って、過酷だった。本当につらかった。
 まず、ステータスが一般人以下の俺が、騎士団と同じ運動メニューを課されている時点でおかしい。できるわけがない。
 愛堕夢と多威餓がなんでこの訓練に耐えられるのか不思議なくらいだ。
 筋肉痛で全身が動かなくなるまで毎日走らされたのである。
 休みなんて与えられない。


 誰かが倒れたら、当たり前のように、『治癒水ポーション』をぶっ掛けてくる。
 水ではない、『治癒水ポーション』である。
 走って、倒れて、『治癒水ポーション』をぶっ掛けられて、また走る。これを今後毎日繰り返し行うと聞かされ、驚愕した。
 そして、訓練二日目、あろうことか、不良二人組が訓練をサボった。
 あいつらなら絶対に問題を起こすと踏んでいたので、それ程驚きはしなかったし、正直俺もサボろうと思った。
 しかし、そうは問屋がおろさない。
 危機的な状況にあるマデイラ王国にとって、戦力となる転移者が訓練をサボることは由々ゆゆしき事態だ。とにかく必死な彼らに、もし転移者の機嫌を損ねたら闘ってもらえなくなるかも、という考えは微塵みじんもない。
 最悪、以前宰相が言っていた『隷属の首輪』をつけて無理やりにでも戦わせればそれでいいのだ。
 そんなわけで、訓練をサボった不良二人組は、三日目の朝、騎士団によってボコボコにされてからグラウンドを走る羽目になっていた。
 しかも倒れるたびに『治癒水ポーション』をぶっ掛けられ、罵倒ばとうされている。
 やがて、罵倒に耐え兼ねた不良二人組は、途中から「「ヒャッハー!」」と奇声を上げながら走り出した。
 過酷な訓練に数々の罵倒が加わって、二人の心は折れてしまったらしい。
 そして、一週間が経った頃には新たなメニューが追加された。
 全身運動に障害物走、自衛隊式腹筋や自衛隊式スクワットともいわれる屈み跳躍ちょうやくである。
 なぜ異世界に自衛隊式運動メニューがあるのかといえば、十年程前に、【異世界人召喚の儀】で呼び出した二人の転移者が、自衛隊員だったようだ。
 転移者は、この国の生温なまぬるいトレーニングにいきどおりを覚え、騎士団に自衛隊式運動メニューを教えたそうだ。実にいい迷惑である。
治癒水ポーション』をぶっ掛けられながら走るのも厳しかったが、自衛隊式運動メニューが加わってからはさらなる地獄が待っていた。
 中でも、何回跳ぶかは騎士団長の気分次第、という自衛隊式スクワットが一番きつかった。
 最低三十センチメートル以上跳ばないとカウントされないのだ。
 しかも、ことに騎士団長が自ら激しい罵倒の言葉を飛ばしてくる。
 聞くにえない罵倒の数々……初めて騎士団長を見た時は優しげな雰囲気だと思ったが、その口から出てくるとは到底思えない言葉だった。
 追加されたメニューはそれだけではない。
 モンスターとの戦闘に慣れるため、ゴブリンを相手に戦わされたのだ。
 たしかに、モンスターを倒したことのない奴が、迷宮でレベル上げなんてできるわけがない。その理屈は納得なのだが、それにしてもきつかった。
 初めてゴブリンを倒した日。生き物をあやめた罪悪感から食べ物がのどを通らなかった。
 生き物を刺した時の感触が手に残るのだ。
 しかし、戦闘訓練を繰り返していくうちに、段々と、それにも慣れてきた。
 戦わなければられるだけ。迷宮で生き残るには、モンスターを倒さなければ、どうしようもないということを知った。
 そんなこんなで、二週間頑張った結果がこれだ。


【名前】佐藤悠斗
【レベル】‌1 【年齢】15歳
【性別】男 【種族】人族
【ステータス】 STR:5   DEX:50   ATK:5
          AGI:5   VIT:5   RES:5
        DEF:5   LUK:100(MAX)   MAG:150
        INT:100   ???:120
【ユニークスキル】言語理解・影魔法
【スキル】鑑定
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