転異世界のアウトサイダー 神達が仲間なので、最強です

びーぜろ

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第九章 商人連合国アキンド編

第378話 働く悠斗②

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 翌朝、午前五時半に起きると、鎮守神が用意した朝食を十分で片付け執務室へと向かった。
 執務室に入ると、テーブルに大量の書類が積み上がり、サイドテーブルには、多くのペンダントが置かれている。

 おそらく、今日の仕事には書類仕事以外にも、ペンダントへ『影精霊』を付与する事も含まれるのだろう。

 ペンダントの数は昨日と同じく千個はありそうだ。
 置かれたペンダントを見ていると、頭が痛くなってくる。
 執務室に入るとまずは椅子に座る。
 すると、執務室の扉をノックする音が聞こえてきた。
 おそらく、鎮守神辺りが万能薬入りのハーブティーを運んできてくれたのだろう。

 俺が扉に向かって『入っていいよ』と呟くと、鎮守神がワゴンと共に入ってきた。
 案の定、ワゴンには、万能薬入りと思われるティーセットが置かれている。

「悠斗様、万能薬入りのハーブティーをお持ちしました」
「うん。ありがとう」

 やはり、万能薬入りのハーブティーだった様だ。
 鎮守神がハーブティーを注ぐ中、置かれた書類を手に取ると、早速、書類仕事を始める事にした。
 書類仕事と言っても、鎮守神や屋敷神、従業員達が纏めてくれた書類や稟議書を確認してサインしたり、気になった点についてコメントを書き込んだりするだけだ。
 とはいえ内部統制上、最終的には商会主である俺のサインが必要となる。

 とはいえ……。

 俺はテーブルに積み上がっている書類に視線を向けると、仕事を始めて僅か数秒でため息を吐いた。

 書類を確認してサインをするだけ……これだけを聞けば簡単な仕事に見えるかもしれない。
 しかし、塵も積もれば山となる。

 商会の規模が広がるにつれ、俺のサインが必要となる書類の数は激増するのだ。

 ハッキリ言って終わりが見えない。
 鎮守神が持ってきてくれたティーセットを乗せていたワゴンの隙間からも書類の束が『コンニチワ』している事からその事がよく分かる。

 とはいえ、やらなければ仕事は溜まる一方だ。
 鎮守神が持ってきてくれたハーブティーを口にすると書類に目を通していく。
 流石は万能薬入りのハーブティー。
 目と脳がガンガン冴えてきた。
 万能薬には眠い気持ちまで吹き飛ばす効果があるらしい。

 眠気が冴えすぎてなんだか脳が震えてきた。
 怠惰にはいられない。そんな気持ちだ。
 流石に指を噛み潰したり、目から血を流す訳ではないが、勤勉になろう。
 そんな気分になってきた。

 まあ、そんな冗談は置いておいて、万能薬のお蔭で覚醒した俺は、早速、書類仕事に取り掛かる事にした。万能薬入りのハーブティーを飲んだお蔭か、脳がやたらと冴え渡る。

 書類に目を通していくと、次々とサインをし決裁していく。
 しかし、中には止めなくてはならない書類も混じっていた。

「鎮守神、王都に造った噴水前に俺の銅像を建てるってどういう事?」

 誰がこんな発案をしたかは分からないが、流石にこれを認める訳にはいかない。

「ああ、それはユートピア商会に勤める者の総意で決められた事。従業員達の気持ちを蔑ろにし、悠斗様の独断で却下するというのであれば、仕方がなく諦めますが如何致しましょう……」

 くっ……鎮守神や屋敷神はいつもそうだ。
 俺が大事にしている従業員達を平気に盾に使ってくる。

「な、なんで、俺の銅像が必要なの……俺は王都中心に働いているんだから必要ないでしょ!」

 俺がそう言うと、鎮守神は首を振りこう答えた。

「そんな事はございません。悠斗様は偶像崇拝という言葉をご存知ですか?」
「い、いや、あまり良くは知らないけど……」
「そうですか……偶像崇拝とは、悠斗様の様に従業員達の信仰を集めている者を具象化し作られた像をあがめ尊ぶ事。または絶対的な権威として無批判に尊ぶ事を指します。つまり、従業員達にとって悠斗様は信仰の対象であり心の支えでもあるのです。つまり、従業員達にとってなくてはならないもの……悠斗様はそんな、従業員達の細やかな願いを無碍にしようというのですか?」
「ううっ……」

 その言い方はズルい。難しい言葉を使って煙に巻こうとして。
 そんな事を言われては、俺の一存で却下しにくいではないか。

「そ、それじゃあこれは! フェロー王国の完全支配って、これは問題があるでしょ!? これは流石に問題あるでしょう?」
「それに気付かれましたか……」
「えっ? 今なんて言ったの!? もしかして、気付かれましたかとか言ってないよね? 俺がこれを見逃していたらフェロー王国全土を支配下に置いていたなんてそんな事はないよね?」

 俺がそう言うと、鎮守神は俺から視線を外した。
 よもやよもやである。

 これは油断ならない。
 書類の中に罠を仕掛けてくるとは思いもしなかった。

 俺はその書類に『否決』と書くと、他の書類も念入りに確認していく。

 すると百枚に一枚の割合で罠が混入されているのが確認できた。
 これは完全に確信犯だろう。

 俺がジロリと視線を向けると、鎮守神は俺から視線を逸らす。
 これは思っていた以上に真剣に取り組まなくてはならなそうだ。

 鎮守神が仕事の進捗を見守る中、書類の中身をちゃんと吟味していくと、日が暮れてきた。
 そして、ペンダントに『影精霊』を付与し終ると丁度、午後十時……。

「悠斗様、お疲れ様でした。本日はゆっくりお休み下さい」
「う、うん……」

 これがあと数週間も続くのか……。
 俺は疲れ切った表情を浮かべると、軽くシャワーを浴び、その日はそのまま就寝する事にした。
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