378 / 486
第十章 冒険者ギルド編
第424話 冒険者ギルド本部
しおりを挟む
ここは全国にある冒険者ギルドを統括する冒険者ギルド本部。
ここでは、冒険者ギルドの最高職位にあたるグランドマスター、グランが執務にあたっていた。
グランドマスターの仕事内容は、商人連合国アキンドや国との交渉、有事の際における冒険者の派遣、各冒険者ギルドの損益管理等、多岐に渡る。
最近になって、オーランド王国発と思われる疫病が国々に蔓延している。また、その疫病が迷宮のボスクラスモンスターに感染し、各国に撒き散らからせている事もグランの頭を悩ませていた。
さらに、このタイミングでオーランド王国が近隣諸国に対し、宣戦布告を行うなど、情勢は混乱を極めている。
オーランド王国からの宣戦布告に対応する事も大切ではあるが、まずは疫病をばら撒いているボスクラスモンスターを倒さない事には被害が大きくなるばかりだ。
それに各国からSランク冒険者やAランク冒険者などの高ランク冒険者の出動を要請され、ギルドマスターを経由して、冒険者達にはその要請にできる限り応えてくれるようお願いをしている。
ただ、その一方で、多くの高ランク冒険者が、ボスクラスモンスター討伐に向かってしまった為、冒険者ギルドの業務の一部、例えば、高ランク冒険者に対する護衛依頼の減少や、高ランク冒険者が国外に向かった事による素行の悪い冒険者の統制が上手く取れない等、深刻な問題も起きている様だ。
特に顕著なのが、フェロー王国。
何故かはわからないが、この国では全くと言っていいほど、疫病やボスクラスモンスターの被害がない。
ただ、問題もある……。
「ヴォーアル迷宮の踏破に、護衛依頼減少……確か、ここはギルドマスターをローテーションしたばかりだったな、早い所、ギルドマスターのモルドバに連絡を取らなければ……」
一応、冒険者ギルド本部としての見解書を送っておいたが、目を通してくれているだろうか?
冒険者ギルドのギルドマスターに就任する者は、元Aランク冒険者が多い。
高ランク冒険者ほど、貴族や商人からの依頼が多くなる為、礼儀を覚える者が多く。腕っ節も強い為、荒くれ者共が大半を占める冒険者達の統制を取るのに、丁度いい為だ。
最低限の常識を持っている事は、ギルドマスター就任前に確認するものの、それも、あくまで最低限のもの……ギルドマスターの中には、時に重篤な問題を起こし、責任問題に発展する事も多くなっている。
通信用の魔道具を手に取り、フェロー王国王都のギルドマスター、モルトバに連絡を取ろうとすると、部屋の扉をノックする音が聞こえてきた。
「入ってくれ」
グランが扉に向かってそう呟くと、焦り顔を浮かべたギルド職員が部屋の中に入ってくる。
「グランドマスター、フェロー王国の件で、大変な事が……」
「大変な事、なんだそれは?」
「まず、フェロー王国王都を活動拠点としていたSランク冒険者、佐藤悠斗氏が冒険者ギルドを脱退しました」
ギルド職員の言った言葉に、グランは思わず立ち上がる。
「な、何っ!? Sランク冒険者が冒険者ギルドを脱退しただとっ!?」
「は、はい」
数少ない冒険者ギルドの特級戦力、Sランク冒険者の脱退は今の冒険者ギルドにとって頭の痛い問題だった。
「ぐっ、何故、このタイミングで……とはいえ、脱退されては仕方がない。しかし、何故、彼は冒険者ギルドを脱退したのだ……」
「は、はい。ど、どうやら、フェロー王国王都支部のギルドマスター、モルトバ様がSランク冒険者である悠斗様に何やら無茶な要求をした様でして……それが原因で、悠斗様は脱退を決意された様です」
「モルトバが? モルトバは悠斗に何を要求したのだ。Sランク冒険者が冒険者ギルドを見限り脱退するなど、余程の事がなければ、あり得まい」
すると、ギルド職員が封筒を渡してくる。
「うん? ユートピア商会……ああ、最近、商人連合国アキンドの評議員に選出された傑物のいる大商会ではないか……いや、まて。たしか、この商会の会頭は……」
「はい。Sランク冒険者の佐藤悠斗様です」
その言葉に、グランは顔を青褪める。
「ま、ままままっ、まさか、モルトバの奴、ユートピア商会を……商人連合国アキンドの評議員を敵に回した訳ではあるまいなっ!?」
だとしたら大問題だ。
ユートピア商会は商人連合国アキンド議席数の半数を握っている。
場合によっては、商業ギルドと冒険者ギルドとの提携関係を解消されてしまうかもしれない。
強張った表情を浮かべ、封筒を開くと、そこには白金貨二千万枚に及ぶ請求書と、抗議文が入っていた。
抗議文には、何故、この抗議文を送るに至ったのか、事細かに記載されている。
「な、ななななっ! モルトバの奴は何をやっているのだぁぁぁぁ!」
抗議文の内容にグランは大声を上げる。
商人連合国アキンドの評議員半数を敵に回し、白金貨百万枚までせしめているのだ。
その結果がSランク冒険者である佐藤悠斗の脱退、そして、白金貨二千万枚にも及ぶ賠償金を招いたとすると、頭が痛い。
「じ、実はまだ報告する事がありまして……」
「ま、まだあるのかっ?」
「は、はい。おそらく、この件と関係しているのではないかと思いますが、商人連合国アキンドの評議員の一人が、商業ギルドでも迷宮内で活動できるよう、フェロー王国の現国王、シェトランド陛下より許可証を得た様でして……」
「な、なんだと……」
迷宮で活動する権利は今まで冒険者ギルドにのみ許された権利。それが、フェロー王国限定とはいえ、商業ギルドにも許可された事に驚きの表情を浮かべる。
どうやらすぐにでも事実確認をする必要がありそうだ。
グランは通信用の魔道具を手に取ると、早速、フェロー王国王都支部のギルドマスター、モルトバに通信をかけた。
ここでは、冒険者ギルドの最高職位にあたるグランドマスター、グランが執務にあたっていた。
グランドマスターの仕事内容は、商人連合国アキンドや国との交渉、有事の際における冒険者の派遣、各冒険者ギルドの損益管理等、多岐に渡る。
最近になって、オーランド王国発と思われる疫病が国々に蔓延している。また、その疫病が迷宮のボスクラスモンスターに感染し、各国に撒き散らからせている事もグランの頭を悩ませていた。
さらに、このタイミングでオーランド王国が近隣諸国に対し、宣戦布告を行うなど、情勢は混乱を極めている。
オーランド王国からの宣戦布告に対応する事も大切ではあるが、まずは疫病をばら撒いているボスクラスモンスターを倒さない事には被害が大きくなるばかりだ。
それに各国からSランク冒険者やAランク冒険者などの高ランク冒険者の出動を要請され、ギルドマスターを経由して、冒険者達にはその要請にできる限り応えてくれるようお願いをしている。
ただ、その一方で、多くの高ランク冒険者が、ボスクラスモンスター討伐に向かってしまった為、冒険者ギルドの業務の一部、例えば、高ランク冒険者に対する護衛依頼の減少や、高ランク冒険者が国外に向かった事による素行の悪い冒険者の統制が上手く取れない等、深刻な問題も起きている様だ。
特に顕著なのが、フェロー王国。
何故かはわからないが、この国では全くと言っていいほど、疫病やボスクラスモンスターの被害がない。
ただ、問題もある……。
「ヴォーアル迷宮の踏破に、護衛依頼減少……確か、ここはギルドマスターをローテーションしたばかりだったな、早い所、ギルドマスターのモルドバに連絡を取らなければ……」
一応、冒険者ギルド本部としての見解書を送っておいたが、目を通してくれているだろうか?
冒険者ギルドのギルドマスターに就任する者は、元Aランク冒険者が多い。
高ランク冒険者ほど、貴族や商人からの依頼が多くなる為、礼儀を覚える者が多く。腕っ節も強い為、荒くれ者共が大半を占める冒険者達の統制を取るのに、丁度いい為だ。
最低限の常識を持っている事は、ギルドマスター就任前に確認するものの、それも、あくまで最低限のもの……ギルドマスターの中には、時に重篤な問題を起こし、責任問題に発展する事も多くなっている。
通信用の魔道具を手に取り、フェロー王国王都のギルドマスター、モルトバに連絡を取ろうとすると、部屋の扉をノックする音が聞こえてきた。
「入ってくれ」
グランが扉に向かってそう呟くと、焦り顔を浮かべたギルド職員が部屋の中に入ってくる。
「グランドマスター、フェロー王国の件で、大変な事が……」
「大変な事、なんだそれは?」
「まず、フェロー王国王都を活動拠点としていたSランク冒険者、佐藤悠斗氏が冒険者ギルドを脱退しました」
ギルド職員の言った言葉に、グランは思わず立ち上がる。
「な、何っ!? Sランク冒険者が冒険者ギルドを脱退しただとっ!?」
「は、はい」
数少ない冒険者ギルドの特級戦力、Sランク冒険者の脱退は今の冒険者ギルドにとって頭の痛い問題だった。
「ぐっ、何故、このタイミングで……とはいえ、脱退されては仕方がない。しかし、何故、彼は冒険者ギルドを脱退したのだ……」
「は、はい。ど、どうやら、フェロー王国王都支部のギルドマスター、モルトバ様がSランク冒険者である悠斗様に何やら無茶な要求をした様でして……それが原因で、悠斗様は脱退を決意された様です」
「モルトバが? モルトバは悠斗に何を要求したのだ。Sランク冒険者が冒険者ギルドを見限り脱退するなど、余程の事がなければ、あり得まい」
すると、ギルド職員が封筒を渡してくる。
「うん? ユートピア商会……ああ、最近、商人連合国アキンドの評議員に選出された傑物のいる大商会ではないか……いや、まて。たしか、この商会の会頭は……」
「はい。Sランク冒険者の佐藤悠斗様です」
その言葉に、グランは顔を青褪める。
「ま、ままままっ、まさか、モルトバの奴、ユートピア商会を……商人連合国アキンドの評議員を敵に回した訳ではあるまいなっ!?」
だとしたら大問題だ。
ユートピア商会は商人連合国アキンド議席数の半数を握っている。
場合によっては、商業ギルドと冒険者ギルドとの提携関係を解消されてしまうかもしれない。
強張った表情を浮かべ、封筒を開くと、そこには白金貨二千万枚に及ぶ請求書と、抗議文が入っていた。
抗議文には、何故、この抗議文を送るに至ったのか、事細かに記載されている。
「な、ななななっ! モルトバの奴は何をやっているのだぁぁぁぁ!」
抗議文の内容にグランは大声を上げる。
商人連合国アキンドの評議員半数を敵に回し、白金貨百万枚までせしめているのだ。
その結果がSランク冒険者である佐藤悠斗の脱退、そして、白金貨二千万枚にも及ぶ賠償金を招いたとすると、頭が痛い。
「じ、実はまだ報告する事がありまして……」
「ま、まだあるのかっ?」
「は、はい。おそらく、この件と関係しているのではないかと思いますが、商人連合国アキンドの評議員の一人が、商業ギルドでも迷宮内で活動できるよう、フェロー王国の現国王、シェトランド陛下より許可証を得た様でして……」
「な、なんだと……」
迷宮で活動する権利は今まで冒険者ギルドにのみ許された権利。それが、フェロー王国限定とはいえ、商業ギルドにも許可された事に驚きの表情を浮かべる。
どうやらすぐにでも事実確認をする必要がありそうだ。
グランは通信用の魔道具を手に取ると、早速、フェロー王国王都支部のギルドマスター、モルトバに通信をかけた。
16
あなたにおすすめの小説
えっ、能力なしでパーティ追放された俺が全属性魔法使い!? ~最強のオールラウンダー目指して謙虚に頑張ります~
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
コミカライズ10/19(水)開始!
2024/2/21小説本編完結!
旧題:えっ能力なしでパーティー追放された俺が全属性能力者!? 最強のオールラウンダーに成り上がりますが、本人は至って謙虚です
※ 書籍化に伴い、一部範囲のみの公開に切り替えられています。
※ 書籍化に伴う変更点については、近況ボードを確認ください。
生まれつき、一人一人に魔法属性が付与され、一定の年齢になると使うことができるようになる世界。
伝説の冒険者の息子、タイラー・ソリス(17歳)は、なぜか無属性。
勤勉で真面目な彼はなぜか報われておらず、魔法を使用することができなかった。
代わりに、父親から教わった戦術や、体術を駆使して、パーティーの中でも重要な役割を担っていたが…………。
リーダーからは無能だと疎まれ、パーティーを追放されてしまう。
ダンジョンの中、モンスターを前にして見捨てられたタイラー。ピンチに陥る中で、その血に流れる伝説の冒険者の能力がついに覚醒する。
タイラーは、全属性の魔法をつかいこなせる最強のオールラウンダーだったのだ! その能力のあまりの高さから、あらわれるのが、人より少し遅いだけだった。
タイラーは、その圧倒的な力で、危機を回避。
そこから敵を次々になぎ倒し、最強の冒険者への道を、駆け足で登り出す。
なにせ、初の強モンスターを倒した時点では、まだレベル1だったのだ。
レベルが上がれば最強無双することは約束されていた。
いつか彼は血をも超えていくーー。
さらには、天下一の美女たちに、これでもかと愛されまくることになり、モフモフにゃんにゃんの桃色デイズ。
一方、タイラーを追放したパーティーメンバーはというと。
彼を失ったことにより、チームは瓦解。元々大した力もないのに、タイラーのおかげで過大評価されていたパーティーリーダーは、どんどんと落ちぶれていく。
コメントやお気に入りなど、大変励みになっています。お気軽にお寄せくださいませ!
・12/27〜29 HOTランキング 2位 記録、維持
・12/28 ハイファンランキング 3位
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
見捨てられた万能者は、やがてどん底から成り上がる
グリゴリ
ファンタジー
『旧タイトル』万能者、Sランクパーティーを追放されて、職業が進化したので、新たな仲間と共に無双する。
『見捨てられた万能者は、やがてどん底から成り上がる』【書籍化決定!!】書籍版とWEB版では設定が少し異なっていますがどちらも楽しめる作品となっています。どうぞ書籍版とWEB版どちらもよろしくお願いします。
2023年7月18日『見捨てられた万能者は、やがてどん底から成り上がる2』発売しました。
主人公のクロードは、勇者パーティー候補のSランクパーティー『銀狼の牙』を器用貧乏な職業の万能者で弱く役に立たないという理由で、追放されてしまう。しかしその後、クロードの職業である万能者が進化して、強くなった。そして、新たな仲間や従魔と無双の旅を始める。クロードと仲間達は、様々な問題や苦難を乗り越えて、英雄へと成り上がって行く。※2021年12月25日HOTランキング1位、2021年12月26日ハイファンタジーランキング1位頂きました。お読み頂き有難う御座います。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。