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第十一章 オーランド王国動乱編
第454話 その頃の元主神③
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「ほう。あれがフェロー王国か……」
オーランド王国から飛び立つ事、数時間。
漸く、フェロー王国が見えてきた。国の中心部に視線を向けると、ヴォーアル迷宮のある王都が目に映る。
しかし……。
「王座から覗いた時は、もう少し寂れた印象だったが……どういう事だ?」
上空から見る王都は随分と人で栄えている様に見える。それに、あんな大きな建物あっただろうか?
まあ、よいか……。
今は『フギンとムニン』の回収が最優先。
「フギンにムニンよ。待っておれ。すぐに迎えにいってやるからな……むっ?」
フェロー王国の上空に差し掛かろうとした所で違和感に気付く。
「……どういう事だ? いや、気のせいか……しかし、そうだとするとこの違和感は一体……」
フェロー王国に入った瞬間、まるで迷宮の中に入ったかのような感覚に襲われた。
「……いや、流石に考え過ぎだな」
そもそも、迷宮を攻略したとして、その迷宮の支配領域を広げるなんて事、普通の人間には無理だ。
それにロキが拠点としているのは、サンミニアート・アルモンテ聖国。フェロー王国ではない。
ロキが肩入れしている可能性がないとはいえないが、ロキの力を以ってしてもフェロー王国全土を迷宮の支配下に治める事は難しい。
そもそも、信仰心をどれだけ消費するかもわからない事柄に奴が力を注ぎ込むかも疑問だ。
「あ奴が迷宮の支配領域を一国中に張り巡らせるなど、そんな無意味な事をする筈もないか……」
この世界に顕現する事を目的とするのであれば、迷宮の支配領域を拡張するより、布教活動に勤しんだ方がまだいい。となれば、やはりこれは気のせい。考え過ぎだな。
「さて、迷宮に入るには総合ギルドのギルドカードが必要なのだったな……誰か丁度いい者はいないだろうか……」
ヴォーアル迷宮の上空で、迷宮に入ろうとする総合ギルドの者を待ち構えていると、一人の収穫人が向かってくるのが見えた。
「あの者、一人でヴォーアル迷宮に挑む気か? まあいい。折角だ。あの者のギルドカードを頂くとしよう……」
ワシは早速、行動に移す事にした。
周囲に誰もいない事を確認すると、音もなく収穫人の後ろに回り、意識を刈る。
そして、そいつを裏路地に引き摺り込むと、服を弄りギルドカードを手にした。
「ふん。これがギルドカード……何々、カマ・セイヌー。こ奴の名前か? まあいい」
ワシはカマ・セイヌーの表情をマジマジ確認すると、顔と身体を造り替えていく。
「……これでいい。今のワシはカマ・セイヌー、カマ・セイヌーだ。さて、ヴォーアル迷宮に向かうか……」
カマ・セイヌーと名乗る首輪を嵌めた収穫人を一人、裏路地に放置すると、ワシはヴォーアル迷宮に向かった。
ヴォーアル迷宮の入り口に向かうと、総合ギルドの人間がギルドカードを提示しろと言ってくる。
ワシがギルドカードを提示すると、総合ギルドの人間が上級ポーション二つを渡してきた。
「なんだこれは?」
ワシがそう質問すると、総合ギルドの人間が、怪訝そうな表情を浮かべる。
「総合ギルドから収穫人の皆様への支給品です。総合ギルドで説明があったと思いますが……」
「そ、そうか、そうだったな。すっかり忘れておったわ。うむ。有り難く頂戴しよう」
「なんだか、今日のカマ・セイヌーさんおかしくないですか? 首に『奴隷の首輪』も付けていないし……って!? えっ! 『奴隷の首輪』はどうしたんですか!? まさか……」
な、なんだと!?
こいつ、借金奴隷だったのか……だから首に首輪を……。
くっ、そんな事なら首輪もしっかり再現しておけばよかった……。
「い、いや、これは……」
ワシが言い淀んでいると、総合ギルドの人間が口を開く。
「まさか、借金奴隷から解放されたんですか!? おめでとうございます!」
「……あ、ああ、実はそうなのだよ。つい先日、借金を返し終えたばかりなのだ」
まったく、驚かせおって……。
まあいい。ここさえ、通り抜ける事ができれば、後の事はどうでもいい。
すぐにヴォーアル迷宮を攻略し、この迷宮から出て行ってやる。
「とはいえ、念の為、確認を取らせて頂きます。カマ・セイヌーさんはこれからヴォーアル迷宮に潜るんですよね?」
「ああ、その通りだ」
「でしたら問題ありません。迷宮からの帰りにこちらから声をかけさせて頂きます」
「ああ、それでいい」
「それでは、カマ・セイヌーさん。お気を付けて!」
ワシは総合ギルドの人間に向かって手を振りながら、ヴォーアル迷宮に足を踏み入れた。
そして、近くの森に入り込むと、カマ・セイヌーの姿から元の姿に戻していく。
「ふう。全く面倒をかけさせおって、まあいい……」
早速、フギンとムニンを迎えに行くとするか
そういうと、ワシは足下に穴をあける為、神器『ヴァルハラ』に力を貯めていく。
そして、それを地面に解き放った。
解き放った力は地面を削り、次の階層に向け大穴を穿っていく。
「ふん。まあこんなものか……さて、これだけの力を放ったのだ。三十階層位までは貫けたか……なにぃ!」
大穴を覗くも、次の階層に貫通した様子は見られない。
その様子にワシは茫然とした表情を浮かべた。
オーランド王国から飛び立つ事、数時間。
漸く、フェロー王国が見えてきた。国の中心部に視線を向けると、ヴォーアル迷宮のある王都が目に映る。
しかし……。
「王座から覗いた時は、もう少し寂れた印象だったが……どういう事だ?」
上空から見る王都は随分と人で栄えている様に見える。それに、あんな大きな建物あっただろうか?
まあ、よいか……。
今は『フギンとムニン』の回収が最優先。
「フギンにムニンよ。待っておれ。すぐに迎えにいってやるからな……むっ?」
フェロー王国の上空に差し掛かろうとした所で違和感に気付く。
「……どういう事だ? いや、気のせいか……しかし、そうだとするとこの違和感は一体……」
フェロー王国に入った瞬間、まるで迷宮の中に入ったかのような感覚に襲われた。
「……いや、流石に考え過ぎだな」
そもそも、迷宮を攻略したとして、その迷宮の支配領域を広げるなんて事、普通の人間には無理だ。
それにロキが拠点としているのは、サンミニアート・アルモンテ聖国。フェロー王国ではない。
ロキが肩入れしている可能性がないとはいえないが、ロキの力を以ってしてもフェロー王国全土を迷宮の支配下に治める事は難しい。
そもそも、信仰心をどれだけ消費するかもわからない事柄に奴が力を注ぎ込むかも疑問だ。
「あ奴が迷宮の支配領域を一国中に張り巡らせるなど、そんな無意味な事をする筈もないか……」
この世界に顕現する事を目的とするのであれば、迷宮の支配領域を拡張するより、布教活動に勤しんだ方がまだいい。となれば、やはりこれは気のせい。考え過ぎだな。
「さて、迷宮に入るには総合ギルドのギルドカードが必要なのだったな……誰か丁度いい者はいないだろうか……」
ヴォーアル迷宮の上空で、迷宮に入ろうとする総合ギルドの者を待ち構えていると、一人の収穫人が向かってくるのが見えた。
「あの者、一人でヴォーアル迷宮に挑む気か? まあいい。折角だ。あの者のギルドカードを頂くとしよう……」
ワシは早速、行動に移す事にした。
周囲に誰もいない事を確認すると、音もなく収穫人の後ろに回り、意識を刈る。
そして、そいつを裏路地に引き摺り込むと、服を弄りギルドカードを手にした。
「ふん。これがギルドカード……何々、カマ・セイヌー。こ奴の名前か? まあいい」
ワシはカマ・セイヌーの表情をマジマジ確認すると、顔と身体を造り替えていく。
「……これでいい。今のワシはカマ・セイヌー、カマ・セイヌーだ。さて、ヴォーアル迷宮に向かうか……」
カマ・セイヌーと名乗る首輪を嵌めた収穫人を一人、裏路地に放置すると、ワシはヴォーアル迷宮に向かった。
ヴォーアル迷宮の入り口に向かうと、総合ギルドの人間がギルドカードを提示しろと言ってくる。
ワシがギルドカードを提示すると、総合ギルドの人間が上級ポーション二つを渡してきた。
「なんだこれは?」
ワシがそう質問すると、総合ギルドの人間が、怪訝そうな表情を浮かべる。
「総合ギルドから収穫人の皆様への支給品です。総合ギルドで説明があったと思いますが……」
「そ、そうか、そうだったな。すっかり忘れておったわ。うむ。有り難く頂戴しよう」
「なんだか、今日のカマ・セイヌーさんおかしくないですか? 首に『奴隷の首輪』も付けていないし……って!? えっ! 『奴隷の首輪』はどうしたんですか!? まさか……」
な、なんだと!?
こいつ、借金奴隷だったのか……だから首に首輪を……。
くっ、そんな事なら首輪もしっかり再現しておけばよかった……。
「い、いや、これは……」
ワシが言い淀んでいると、総合ギルドの人間が口を開く。
「まさか、借金奴隷から解放されたんですか!? おめでとうございます!」
「……あ、ああ、実はそうなのだよ。つい先日、借金を返し終えたばかりなのだ」
まったく、驚かせおって……。
まあいい。ここさえ、通り抜ける事ができれば、後の事はどうでもいい。
すぐにヴォーアル迷宮を攻略し、この迷宮から出て行ってやる。
「とはいえ、念の為、確認を取らせて頂きます。カマ・セイヌーさんはこれからヴォーアル迷宮に潜るんですよね?」
「ああ、その通りだ」
「でしたら問題ありません。迷宮からの帰りにこちらから声をかけさせて頂きます」
「ああ、それでいい」
「それでは、カマ・セイヌーさん。お気を付けて!」
ワシは総合ギルドの人間に向かって手を振りながら、ヴォーアル迷宮に足を踏み入れた。
そして、近くの森に入り込むと、カマ・セイヌーの姿から元の姿に戻していく。
「ふう。全く面倒をかけさせおって、まあいい……」
早速、フギンとムニンを迎えに行くとするか
そういうと、ワシは足下に穴をあける為、神器『ヴァルハラ』に力を貯めていく。
そして、それを地面に解き放った。
解き放った力は地面を削り、次の階層に向け大穴を穿っていく。
「ふん。まあこんなものか……さて、これだけの力を放ったのだ。三十階層位までは貫けたか……なにぃ!」
大穴を覗くも、次の階層に貫通した様子は見られない。
その様子にワシは茫然とした表情を浮かべた。
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