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第十一章 オーランド王国動乱編
第489話 あっけない終幕①
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「ぐっ、ぐう……無念」
突然王座が爆発し、爆発の影響を思い切り受けてしまったワシは、身体を動かす事もできず地面に這いつくばっていた。
一体何故、こんな事になってしまったのだろうか。
ボロボロになった身体に鞭を打ち、顔を前に向けると同じくボロボロの姿となった雷神トールと、同じく爆風に吹っ飛ばされ気絶しているオーランド王国の女王フィンが天使によって連れ去られようとしていた。
「ま、待てっ……ワシの……ワシの息子を、フィンをどこに連れて行く気だ……」
動けない身体でそう呟くも、天使はワシの言葉を気にした様子もなくトールとフィンを抱え飛び立っていく。
「ま、待てぇぇぇぇ!」
何故だ……何故……。
ワシが何をしたというのだ……ワシは……ワシはただ主神の座を取り戻したかっただけなのに……。
ワシはただ……ワシの事を頼りにしてくれた者の望みを叶えようとしてやっただけなのに……。
これ以上、ワシから……ワシから何も奪うな……。
どれだけワシから奪い去れば気が済むのだっ……。
ぐっ……ロキめ……ロキの奴めぇぇぇぇ!
天使に連れ去られていくトールとフィンを目の前にして、何もできない自分が嫌になる。
あまりの悔しさに涙を浮かべていると、近くに誰かがやってきた。
「やあ、オーディン♪ どうしたの? 随分とボロボロのようだけど大丈夫?」
そ、その声はロキッ!?
「ロ、ロキィィィィ! 貴様ぁ! トールとフィンをどうするつもりだっ!」
「う~ん、実はまだ迷っているんだよね♪ 死にそうなトールはとりあえず、死なない様に『秩序破り』で運命を改変して回復した後に、百年間はこの世界の為に役立って貰おうと思っているんだけど……、ああ、オーランド王国の女王フィンはフェロー王国に引き渡す予定だよ♪ 戦争を引き起こした首謀者だからね。でも、そんな事を聞いてどうするの? 君はもう何もできないでしょ?」
「き、貴様ぁぁぁぁ!」
ロキの物言いに怒りで頭が沸騰しそうになる。
「オーディン。君はボクがこの場にいる意味をわかってる? 現状をちゃ~んと理解している?」
「な、なにを言って……」
うん?
待てよ……サンミニアート・アルモンテ聖国には、バルドル達を向かわせた。
ロキがここにいるという事は、どういう事だ?
ま、まさか……。
「ま、まさかバルドル達は……」
「そう。バルドル達はボクの第一使徒ソテルが捕えました♪ ああ、安心して、ちゃんと生きてるから♪ それともう一つ、君の妻フリッグもこっちの世界にやってきているよ」
「な、なにっ!?」
バルドル達が捕まっただとっ!?
それにフリッグがこちらの世界に??
「フリッグもバルドルの事が心配だったんだろうね。ああ、彼等はちゃ~んとボクが管理してあげるから安心していいよ♪ 百年経ったら天界に返してあげるからさ♪」
「なっ、なんだと……ふ、ふざけるなぁぁぁぁ! 貴様……貴様ぁぁぁぁ! 一体、ワシからどれだけ奪えば気が済むのだぁぁぁぁ!」
愛馬スレイプニルは死に、フギンとムニンは敵の内、グングニルと王座は爆散し、爆発の余波に巻き込まれゲリとフレキは瀕死状態。
主神の座はロキに渡り、その上、我妻フリッグと息子達がロキの手の内……。
もうワシには何もない。
何も残されていない……。
全てをロキが奪っていった。
動かぬ身体を必死に動かし、ロキを睨み付ける。
「まあまあ、そんな顔しないでよ♪ でも、この戦争は君が最初に始めた戦争なんだから仕方がないよね? 奪うも何も、君もボクを殺して主神の座を取り戻そうとしていたんだし、たったそれだけの為に、この世界の人々を……多くの国を巻き込んだんだ。大切なものを奪おうとしていた者が、大切なものを奪われたからといって、責めるのは、盗人猛々しいとそう思わない?」
「ぐっ……」
「それにボクは君の全てを奪おうとしている訳じゃない。これはこの世界の人々に迷惑をかけてしまった贖罪さ。たった百年、この世界の役に立つだけで解放してあげるんだから感謝して欲しい位だよ♪」
「感謝……感謝だとっ……ふざけるなぁぁぁぁ!」
「う~ん。ボクは別にふざけてないんだけどなぁ~?」
「その態度がふざけているというのだ! おちょくるのも大概にせいよ!」
ロキに向かってそう怒鳴り声を上げると、不意に黄金の腕輪『ドラウプニル』が目に映る。
「く……くくくっ……そうだ……まだワシにはこれが残されておったな……」
「おやおや? 怒鳴ったかと思えば、急に笑い出してどうしたの?」
「いや……まだワシにもできる事が残されている事に気付いてなぁ……ロキよ。確かにこの勝負……ワシの負けの様だ。しかし……」
「しかし?」
「しかし……ただでは負けぬ!」
ワシは黄金の腕輪『ドラウプニル』に残された信仰心を送り込んでいく。
ふふふっ、確かにワシに力は残されていない。
しかし、託す事はできる。このワシの力を……残りの力全てを……。
以前、『ドラウプニル』を渡した子供には悪いがこうなっては仕方がない。
どうか、ワシの無念を果たしてくれ……。
ワシの『ドラウプニル』が黄金の光を失うのと同時に、その光は近くにある『ドラウプニル』に向かって飛んでいく。
その瞬間、近くで大きな力が発現した。
突然王座が爆発し、爆発の影響を思い切り受けてしまったワシは、身体を動かす事もできず地面に這いつくばっていた。
一体何故、こんな事になってしまったのだろうか。
ボロボロになった身体に鞭を打ち、顔を前に向けると同じくボロボロの姿となった雷神トールと、同じく爆風に吹っ飛ばされ気絶しているオーランド王国の女王フィンが天使によって連れ去られようとしていた。
「ま、待てっ……ワシの……ワシの息子を、フィンをどこに連れて行く気だ……」
動けない身体でそう呟くも、天使はワシの言葉を気にした様子もなくトールとフィンを抱え飛び立っていく。
「ま、待てぇぇぇぇ!」
何故だ……何故……。
ワシが何をしたというのだ……ワシは……ワシはただ主神の座を取り戻したかっただけなのに……。
ワシはただ……ワシの事を頼りにしてくれた者の望みを叶えようとしてやっただけなのに……。
これ以上、ワシから……ワシから何も奪うな……。
どれだけワシから奪い去れば気が済むのだっ……。
ぐっ……ロキめ……ロキの奴めぇぇぇぇ!
天使に連れ去られていくトールとフィンを目の前にして、何もできない自分が嫌になる。
あまりの悔しさに涙を浮かべていると、近くに誰かがやってきた。
「やあ、オーディン♪ どうしたの? 随分とボロボロのようだけど大丈夫?」
そ、その声はロキッ!?
「ロ、ロキィィィィ! 貴様ぁ! トールとフィンをどうするつもりだっ!」
「う~ん、実はまだ迷っているんだよね♪ 死にそうなトールはとりあえず、死なない様に『秩序破り』で運命を改変して回復した後に、百年間はこの世界の為に役立って貰おうと思っているんだけど……、ああ、オーランド王国の女王フィンはフェロー王国に引き渡す予定だよ♪ 戦争を引き起こした首謀者だからね。でも、そんな事を聞いてどうするの? 君はもう何もできないでしょ?」
「き、貴様ぁぁぁぁ!」
ロキの物言いに怒りで頭が沸騰しそうになる。
「オーディン。君はボクがこの場にいる意味をわかってる? 現状をちゃ~んと理解している?」
「な、なにを言って……」
うん?
待てよ……サンミニアート・アルモンテ聖国には、バルドル達を向かわせた。
ロキがここにいるという事は、どういう事だ?
ま、まさか……。
「ま、まさかバルドル達は……」
「そう。バルドル達はボクの第一使徒ソテルが捕えました♪ ああ、安心して、ちゃんと生きてるから♪ それともう一つ、君の妻フリッグもこっちの世界にやってきているよ」
「な、なにっ!?」
バルドル達が捕まっただとっ!?
それにフリッグがこちらの世界に??
「フリッグもバルドルの事が心配だったんだろうね。ああ、彼等はちゃ~んとボクが管理してあげるから安心していいよ♪ 百年経ったら天界に返してあげるからさ♪」
「なっ、なんだと……ふ、ふざけるなぁぁぁぁ! 貴様……貴様ぁぁぁぁ! 一体、ワシからどれだけ奪えば気が済むのだぁぁぁぁ!」
愛馬スレイプニルは死に、フギンとムニンは敵の内、グングニルと王座は爆散し、爆発の余波に巻き込まれゲリとフレキは瀕死状態。
主神の座はロキに渡り、その上、我妻フリッグと息子達がロキの手の内……。
もうワシには何もない。
何も残されていない……。
全てをロキが奪っていった。
動かぬ身体を必死に動かし、ロキを睨み付ける。
「まあまあ、そんな顔しないでよ♪ でも、この戦争は君が最初に始めた戦争なんだから仕方がないよね? 奪うも何も、君もボクを殺して主神の座を取り戻そうとしていたんだし、たったそれだけの為に、この世界の人々を……多くの国を巻き込んだんだ。大切なものを奪おうとしていた者が、大切なものを奪われたからといって、責めるのは、盗人猛々しいとそう思わない?」
「ぐっ……」
「それにボクは君の全てを奪おうとしている訳じゃない。これはこの世界の人々に迷惑をかけてしまった贖罪さ。たった百年、この世界の役に立つだけで解放してあげるんだから感謝して欲しい位だよ♪」
「感謝……感謝だとっ……ふざけるなぁぁぁぁ!」
「う~ん。ボクは別にふざけてないんだけどなぁ~?」
「その態度がふざけているというのだ! おちょくるのも大概にせいよ!」
ロキに向かってそう怒鳴り声を上げると、不意に黄金の腕輪『ドラウプニル』が目に映る。
「く……くくくっ……そうだ……まだワシにはこれが残されておったな……」
「おやおや? 怒鳴ったかと思えば、急に笑い出してどうしたの?」
「いや……まだワシにもできる事が残されている事に気付いてなぁ……ロキよ。確かにこの勝負……ワシの負けの様だ。しかし……」
「しかし?」
「しかし……ただでは負けぬ!」
ワシは黄金の腕輪『ドラウプニル』に残された信仰心を送り込んでいく。
ふふふっ、確かにワシに力は残されていない。
しかし、託す事はできる。このワシの力を……残りの力全てを……。
以前、『ドラウプニル』を渡した子供には悪いがこうなっては仕方がない。
どうか、ワシの無念を果たしてくれ……。
ワシの『ドラウプニル』が黄金の光を失うのと同時に、その光は近くにある『ドラウプニル』に向かって飛んでいく。
その瞬間、近くで大きな力が発現した。
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