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第十一章 オーランド王国動乱編
第490話 あっけない終幕②
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突如として、オーディンの腕輪から立ち上がった光が悠斗様の持つ腕輪へと向かっていく。
「えっ、ちょっと何っ! なんで光がこっちに向かってくるの! うわっ!」
完全に油断していた悠斗様は、それを避ける事もできず、腕輪に光を宿してしまった。
腕輪に宿る光が収まると、悠斗様の身体を黒い瘴気が覆っていく。
「……オーディン。君は……悠斗様に何をしたの?」
「知れた事を……ワシはもう動けぬ。だからこそ託したのだよ。ワシの意思を継いでくれそうな者にワシの全てをな……」
「全く……最後の最後で厄介な事をしてくれたね……」
こんな事になるなら、オーディンに止めをさしておけばよかった。
そんな事を考えていると、赤い甲冑を身に纏ったカマエルがこちらに向かって飛んでくるのが目に映る。
「おい。ロキ、今の光はなんだっ!」
「ああ、カマエル。今の光はオーディンの最後の悪あがきだよ。でも、少しばかり拙い事になったかな……」
ほくそ笑むオーディンを後目に、悠斗様に視線を向けると、オーディンの力を受けた悠斗様の身体が『ドラウプニル』から絶え間なく出てくる瘴気により球形に覆われていく。
「なるほど、確かに拙い事になった様だな……」
「全くだよね。う~ん。どの道、悠斗様の神化は避けられなかったけど、まさかこんな形で神化する事になるとはね……」
力を使い果たしたオーディンは死なない様に『秩序破り』で保護してある。
問題はオーディンの力を受け継いだ悠斗様だ。
あれは間違いなくオーディンが習得していたルーンの一つ、最後の呪法。
腕輪を通し自身の全てを他者に渡すオーディンだけが知る呪法だ。
厄介なのは、その最後の呪法が『自身の全てを他者に渡す』という点。
あの黒く禍々しい神気。
今の悠斗様はオーディンの持っていた負の感情をも受け継いでいる可能性が高い。
油断なく瘴気に視線を向けていると、悠斗様を包んでいた球形の瘴気に罅が入る。
「カマエル、出てくるよ……」
瘴気が罅割れ、粉々に砕け散ると、中から目を赤く染めた悠斗様が呆然とした表情を浮かべながら出てきた。体格もほんの少しだけ幼くなっている様に見える。
「……悠斗様。神化おめでとう」
「うん。ありがとう。ロキさん。これが神化か……神になったからと言ってあまり、変わらないんだね?」
あれ?
悠斗様が神化した事は間違いなさそうだけど、オーディンの抱えていた負の感情を宿しているかと言われればそういう風には見えない。
「うん。そうだよ~神になったからといって、翼が生えたり、人間的な特徴が失われる訳じゃないのさ。それで、今の気分はどうかな?」
「うーん。気分か……あまり変わらないかな?」
「そっか、それならよかったよ。それで、悠斗様はどんな神様になったの?」
「そういえばまだ確認していなかったね。ステータスオープン」
悠斗様はステータスオープンと呟くと、自身のステータスを見て目を丸くし、変な声をあげた。
「う、うぐっ……こ、これが俺のステータス……」
「ねえ、どんなステータスになったの?」
興味本位で聞いてみると、悠斗様は疲れ果てた表情を浮かべながら地面にステータスを書き写していく。
--------------------------------------
神を統べる者 ユウト
Lv:-
種族:神族
STR(物理):30000 DEX(器用):30000
ATK(攻撃):30000 AGI(素早):30000
VIT(生命):30000 RES(抵抗):30000
DEF(防御):30000 LUK(幸運):777
MAG(魔力):30000 INT(知力):30000
スキル:言語理解 影魔法 召喚 限界突破 鑑定 属性魔法 生活魔法 付与 状態異常無効 叡智 不死 先読 収納
--------------------------------------
なるほど、確かに悠斗様が疲れ果てた表情を浮かべるのもわかる気がする。
『神を統べる者』これは恐らく『召喚』スキルを持ったまま神化した為についた称号のようなもの。
そして、このステータス……ボクの『秩序破り』で『限界突破』スキルを手に入れた影響なんだろうけど、まさかここまでとは……既に悠斗様のステータスは神を超えている。
まあ、神が神を超えたステータスを持つというのも変な話なんだけど……。
基本的に神化する際のステータスは、その時の自身のステータスに、神化時点の信仰心が加算される。
悠斗様の場合、屋敷神と鎮守神の尽力によるものが大きい。
一体、どれほどの信仰心が悠斗様に集まっているのだろうか……。
でも、ボクより信仰心が大きいなら好都合。悠斗様にこの世界の主神になってもらい天界の仕事全てを任せる事ができる。
そんな事を考えていると、オーディンが信じられないといった様子で呟いた。
「な、何故……ワシは確かに……負の感情も込め、確かに全ての力を渡した筈……それなのに……それなのに何故……何故」
オーディンの目論見はどうやら霧散したらしい。
それもそのはず、悠斗様のステータスを見ると、そこには悠斗様が身に着けていた魔道具の能力がそのままスキルに変わっていた。
おそらく、神化した際、身に着けていた物が全て自身のスキルに置き換わったんだろうけど、その中に『状態異常無効』スキルがある。悠斗様はこのスキルでオーディンに与えられた負の感情を打ち払ったのだろう。
何はともあれ、ここに戦争は終結した。
後は戦後処理をどうするかだけだ。
「えっ、ちょっと何っ! なんで光がこっちに向かってくるの! うわっ!」
完全に油断していた悠斗様は、それを避ける事もできず、腕輪に光を宿してしまった。
腕輪に宿る光が収まると、悠斗様の身体を黒い瘴気が覆っていく。
「……オーディン。君は……悠斗様に何をしたの?」
「知れた事を……ワシはもう動けぬ。だからこそ託したのだよ。ワシの意思を継いでくれそうな者にワシの全てをな……」
「全く……最後の最後で厄介な事をしてくれたね……」
こんな事になるなら、オーディンに止めをさしておけばよかった。
そんな事を考えていると、赤い甲冑を身に纏ったカマエルがこちらに向かって飛んでくるのが目に映る。
「おい。ロキ、今の光はなんだっ!」
「ああ、カマエル。今の光はオーディンの最後の悪あがきだよ。でも、少しばかり拙い事になったかな……」
ほくそ笑むオーディンを後目に、悠斗様に視線を向けると、オーディンの力を受けた悠斗様の身体が『ドラウプニル』から絶え間なく出てくる瘴気により球形に覆われていく。
「なるほど、確かに拙い事になった様だな……」
「全くだよね。う~ん。どの道、悠斗様の神化は避けられなかったけど、まさかこんな形で神化する事になるとはね……」
力を使い果たしたオーディンは死なない様に『秩序破り』で保護してある。
問題はオーディンの力を受け継いだ悠斗様だ。
あれは間違いなくオーディンが習得していたルーンの一つ、最後の呪法。
腕輪を通し自身の全てを他者に渡すオーディンだけが知る呪法だ。
厄介なのは、その最後の呪法が『自身の全てを他者に渡す』という点。
あの黒く禍々しい神気。
今の悠斗様はオーディンの持っていた負の感情をも受け継いでいる可能性が高い。
油断なく瘴気に視線を向けていると、悠斗様を包んでいた球形の瘴気に罅が入る。
「カマエル、出てくるよ……」
瘴気が罅割れ、粉々に砕け散ると、中から目を赤く染めた悠斗様が呆然とした表情を浮かべながら出てきた。体格もほんの少しだけ幼くなっている様に見える。
「……悠斗様。神化おめでとう」
「うん。ありがとう。ロキさん。これが神化か……神になったからと言ってあまり、変わらないんだね?」
あれ?
悠斗様が神化した事は間違いなさそうだけど、オーディンの抱えていた負の感情を宿しているかと言われればそういう風には見えない。
「うん。そうだよ~神になったからといって、翼が生えたり、人間的な特徴が失われる訳じゃないのさ。それで、今の気分はどうかな?」
「うーん。気分か……あまり変わらないかな?」
「そっか、それならよかったよ。それで、悠斗様はどんな神様になったの?」
「そういえばまだ確認していなかったね。ステータスオープン」
悠斗様はステータスオープンと呟くと、自身のステータスを見て目を丸くし、変な声をあげた。
「う、うぐっ……こ、これが俺のステータス……」
「ねえ、どんなステータスになったの?」
興味本位で聞いてみると、悠斗様は疲れ果てた表情を浮かべながら地面にステータスを書き写していく。
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神を統べる者 ユウト
Lv:-
種族:神族
STR(物理):30000 DEX(器用):30000
ATK(攻撃):30000 AGI(素早):30000
VIT(生命):30000 RES(抵抗):30000
DEF(防御):30000 LUK(幸運):777
MAG(魔力):30000 INT(知力):30000
スキル:言語理解 影魔法 召喚 限界突破 鑑定 属性魔法 生活魔法 付与 状態異常無効 叡智 不死 先読 収納
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なるほど、確かに悠斗様が疲れ果てた表情を浮かべるのもわかる気がする。
『神を統べる者』これは恐らく『召喚』スキルを持ったまま神化した為についた称号のようなもの。
そして、このステータス……ボクの『秩序破り』で『限界突破』スキルを手に入れた影響なんだろうけど、まさかここまでとは……既に悠斗様のステータスは神を超えている。
まあ、神が神を超えたステータスを持つというのも変な話なんだけど……。
基本的に神化する際のステータスは、その時の自身のステータスに、神化時点の信仰心が加算される。
悠斗様の場合、屋敷神と鎮守神の尽力によるものが大きい。
一体、どれほどの信仰心が悠斗様に集まっているのだろうか……。
でも、ボクより信仰心が大きいなら好都合。悠斗様にこの世界の主神になってもらい天界の仕事全てを任せる事ができる。
そんな事を考えていると、オーディンが信じられないといった様子で呟いた。
「な、何故……ワシは確かに……負の感情も込め、確かに全ての力を渡した筈……それなのに……それなのに何故……何故」
オーディンの目論見はどうやら霧散したらしい。
それもそのはず、悠斗様のステータスを見ると、そこには悠斗様が身に着けていた魔道具の能力がそのままスキルに変わっていた。
おそらく、神化した際、身に着けていた物が全て自身のスキルに置き換わったんだろうけど、その中に『状態異常無効』スキルがある。悠斗様はこのスキルでオーディンに与えられた負の感情を打ち払ったのだろう。
何はともあれ、ここに戦争は終結した。
後は戦後処理をどうするかだけだ。
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