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第四章 ノースの街作り
第104話 世界樹の街⑥
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<まあ、ハーフエルフのことは置いておいておきましょう。ノース様、あと数時間もすれば街が完成します>
(えっ! もう街が完成しちゃうの!?)
まだ街を作ろうと決意してから一時間も経ってないよ!?
<はい。マッシュルーム兵総勢で街作りに着手していますので、マッシュルーム兵が本気を出せば街作り位、簡単です。また森を切り開き手に入れた木材を使って建物の建造やインフラ整備を行っておりますので、すぐに住むことができます>
(そ、そうなんだ……)
すごいな、マッシュルーム兵……。
<さて、ここで一点問題が……>
(も、問題?)
ナビさんが懸念する程の問題とは一体……。
数時間で街を作り上げる力を持つマッシュルーム兵では、解決できない問題なのだろうか?
ゴクリと喉を鳴らし、ナビさんが浮かべる文字を待つ。
<ええ、問題です。この街の名称を付けなければなりませんが……。一体、どうしましょう?>
すると、ナビさんは僕の視界に文字を浮かべた。
どうやら、この街の名称をなににするかについて悩んでいたようだ。
(街の名称? この街の??)
<はい。ノース様が支配するに相応しい街の名称を付けようと考えを巡らしているのですが、中々、思い付かず……>
(そ、そうなんだ。まあ、なんでもいいけど、街の名称か……街の名称ってどうやって付けるものなの?)
僕の知っている街の名称は、お父さんが治める『アベコベの街』。そして、フォーリッシュ兄様が治める『ホオズキの街』だけだ。
街の名称がどのように決められているのか僕は知らない。
<街の名称は、その場所の特徴から取ったものから、命名者の願望・思想を付けたものまで様々です。ノース様はこの街にどのような名称を付けたいですか?>
(う~ん。そうだね……)
そう言われても中々、思いつかない。
ここはアメリアさんとクロユリさんにも協力してもらおう。
(アメリアさんとクロユリさんの意見を聞いてからでもいいかな?)
<ええ、もちろん構いません。ノース様の治めるこの街に相応しい名前を一緒に考えて頂きましょう>
ナビさんとの会話を一時的に打ち切ると、僕はアメリアさんとクロユリさんに話しかける。
「アメリアさんとクロユリさん。ちょっと、協力してほしいことがあるんだけど、いいかな?」
「協力……ですか? 一体なんでしょう?」
「もちろんです! 私にできることならなんでも言って下さい!」
僕の言葉を聞いてクロユリさんが再起動する。
「う、うん。そう? それじゃあ、この街に名前を付けたいんだけど、どんな名前を付けたらいいか一緒に考えてくれないかな?」
そう言うと、アメリアさんとクロユリさんが考え込む。
「この街の名前ですか……」
「ノース様の治める街に相応しい名前……難しいですね」
「い、いや、そんな大層な名前を付けなくてもいいからね? そういえば、お父さんはどんな風に『アベコベの街』の名前を付けたんだろう? アメリアさんはなにか知ってる?」
お父さんがどんな風な思いを込めて、『アベコベ』の名を付けたのか気になる所だ。
「……そうですね。オーダー様であれば、その街をどんな街にしたいのか考えてから街の名前を命名します。オーダー様の名づけたアベコベの街は、確か、物事の順序や位置、関係などが本来の逆となっているという意味を込め『アベコベ』の名を付けたと聞いております」
「えっ? でも、お父さんは領主様なんだよね? どの辺がアベコベなの??」
ちょっとなにを言っているかわからない。
「そ、それは……私の口からはなんとも……。まあ、いいではありませんか。オーダー様にはオーダー様なりの考えがあるのです。オーダー様の真意は測りかねます」
「そっか……そうだよね?」
『アベコベ』の名を付けた真意か……。
確かに、それはお父さん以外にはわからないことだ。
フォーリッシュ兄様が治めるホオズキの街も同様だろう。
「話の流れを元に戻しましょう。ノース様の治める街の名前についてですが、世界樹にまつわる名称にしてはいかがでしょうか?」
「世界樹に?」
世界樹にまつわる名称か……。
確かに、良いかもしれない。
「はい。これほど立派な世界樹を街の中心に置いている街を私は知りません。いっそのこと、『世界樹の街』という名称でもよろしいのではないでしょうか?」
「『世界樹の街』か……いいね。それ!」
壮大な感じがしてなんかいい。
「クロユリさんはどうかな?」
「そうですね。『世界樹の街』というのも素晴らしい名前ですが、それではノース様が主体となった街ではなく世界樹が主体となった街、という風に聞こえてしまう恐れがあります。この街はノース様が治める街、なので『トネリコ』という名を使ってはいかがでしょうか?」
「トネリコ?」
「はい。世界樹とは、トネリコの大樹の異称です。トネリコには「威厳」「偉大」「服従」「高潔」といった意味があります。トネリコの大樹には魔力や海を従わせる偉大な力があると言われており、それを街の中心に置き、ノース様が創り上げた街。なので、『トネリコの街』をしてはいかがでしょうか?」
なるほど……トネリコの街か。
僕的には世界樹の街の方が好みなんだけど……。
<トネリコの街ですか。良いのではないでしょうか? 世界樹の街では、ノース様のアイデンティティが皆無なので少し心配しておりました。しかし、これなら安心です>
この日、ナビさんが盛大にギフトポイントを使い創った街。
その街の名前が『トネリコの街』に決まった。
(えっ! もう街が完成しちゃうの!?)
まだ街を作ろうと決意してから一時間も経ってないよ!?
<はい。マッシュルーム兵総勢で街作りに着手していますので、マッシュルーム兵が本気を出せば街作り位、簡単です。また森を切り開き手に入れた木材を使って建物の建造やインフラ整備を行っておりますので、すぐに住むことができます>
(そ、そうなんだ……)
すごいな、マッシュルーム兵……。
<さて、ここで一点問題が……>
(も、問題?)
ナビさんが懸念する程の問題とは一体……。
数時間で街を作り上げる力を持つマッシュルーム兵では、解決できない問題なのだろうか?
ゴクリと喉を鳴らし、ナビさんが浮かべる文字を待つ。
<ええ、問題です。この街の名称を付けなければなりませんが……。一体、どうしましょう?>
すると、ナビさんは僕の視界に文字を浮かべた。
どうやら、この街の名称をなににするかについて悩んでいたようだ。
(街の名称? この街の??)
<はい。ノース様が支配するに相応しい街の名称を付けようと考えを巡らしているのですが、中々、思い付かず……>
(そ、そうなんだ。まあ、なんでもいいけど、街の名称か……街の名称ってどうやって付けるものなの?)
僕の知っている街の名称は、お父さんが治める『アベコベの街』。そして、フォーリッシュ兄様が治める『ホオズキの街』だけだ。
街の名称がどのように決められているのか僕は知らない。
<街の名称は、その場所の特徴から取ったものから、命名者の願望・思想を付けたものまで様々です。ノース様はこの街にどのような名称を付けたいですか?>
(う~ん。そうだね……)
そう言われても中々、思いつかない。
ここはアメリアさんとクロユリさんにも協力してもらおう。
(アメリアさんとクロユリさんの意見を聞いてからでもいいかな?)
<ええ、もちろん構いません。ノース様の治めるこの街に相応しい名前を一緒に考えて頂きましょう>
ナビさんとの会話を一時的に打ち切ると、僕はアメリアさんとクロユリさんに話しかける。
「アメリアさんとクロユリさん。ちょっと、協力してほしいことがあるんだけど、いいかな?」
「協力……ですか? 一体なんでしょう?」
「もちろんです! 私にできることならなんでも言って下さい!」
僕の言葉を聞いてクロユリさんが再起動する。
「う、うん。そう? それじゃあ、この街に名前を付けたいんだけど、どんな名前を付けたらいいか一緒に考えてくれないかな?」
そう言うと、アメリアさんとクロユリさんが考え込む。
「この街の名前ですか……」
「ノース様の治める街に相応しい名前……難しいですね」
「い、いや、そんな大層な名前を付けなくてもいいからね? そういえば、お父さんはどんな風に『アベコベの街』の名前を付けたんだろう? アメリアさんはなにか知ってる?」
お父さんがどんな風な思いを込めて、『アベコベ』の名を付けたのか気になる所だ。
「……そうですね。オーダー様であれば、その街をどんな街にしたいのか考えてから街の名前を命名します。オーダー様の名づけたアベコベの街は、確か、物事の順序や位置、関係などが本来の逆となっているという意味を込め『アベコベ』の名を付けたと聞いております」
「えっ? でも、お父さんは領主様なんだよね? どの辺がアベコベなの??」
ちょっとなにを言っているかわからない。
「そ、それは……私の口からはなんとも……。まあ、いいではありませんか。オーダー様にはオーダー様なりの考えがあるのです。オーダー様の真意は測りかねます」
「そっか……そうだよね?」
『アベコベ』の名を付けた真意か……。
確かに、それはお父さん以外にはわからないことだ。
フォーリッシュ兄様が治めるホオズキの街も同様だろう。
「話の流れを元に戻しましょう。ノース様の治める街の名前についてですが、世界樹にまつわる名称にしてはいかがでしょうか?」
「世界樹に?」
世界樹にまつわる名称か……。
確かに、良いかもしれない。
「はい。これほど立派な世界樹を街の中心に置いている街を私は知りません。いっそのこと、『世界樹の街』という名称でもよろしいのではないでしょうか?」
「『世界樹の街』か……いいね。それ!」
壮大な感じがしてなんかいい。
「クロユリさんはどうかな?」
「そうですね。『世界樹の街』というのも素晴らしい名前ですが、それではノース様が主体となった街ではなく世界樹が主体となった街、という風に聞こえてしまう恐れがあります。この街はノース様が治める街、なので『トネリコ』という名を使ってはいかがでしょうか?」
「トネリコ?」
「はい。世界樹とは、トネリコの大樹の異称です。トネリコには「威厳」「偉大」「服従」「高潔」といった意味があります。トネリコの大樹には魔力や海を従わせる偉大な力があると言われており、それを街の中心に置き、ノース様が創り上げた街。なので、『トネリコの街』をしてはいかがでしょうか?」
なるほど……トネリコの街か。
僕的には世界樹の街の方が好みなんだけど……。
<トネリコの街ですか。良いのではないでしょうか? 世界樹の街では、ノース様のアイデンティティが皆無なので少し心配しておりました。しかし、これなら安心です>
この日、ナビさんが盛大にギフトポイントを使い創った街。
その街の名前が『トネリコの街』に決まった。
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