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第17話 金の釣竿と銀の釣竿
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一方その頃、南極大陸では、暇を持て余した大魔王コサカが南極大陸の海氷に複数の穴をあけ、魚釣りを楽しんでいた。
「フハハハハハッ! 大漁じゃ! 大漁じゃあ!」
釣り針に仕掛けを施し海底まで下すと、ほぼ100%の確率で魚を釣り上げる事ができる。
外は極寒。その為、釣り上げた魚はその場で凍ってしまうが、キャッチ&リリースを考えていない大魔王コサカにとってはどうでもいい。
釣竿を握り、今また穴に仕掛けを垂らすと、釣竿が勢いよくしなる。
「フハハハハハッ! これは大物かもしれん!」
大魔王コサカは、穴の底にいる魚に負けじと釣竿に魔力を込め勢いよく引っ張り上げようとする。
「この釣竿は趣味の為だけに、ワシ自ら魔王城一城を建てる事ができる程の金をかけて作成したのだ! 魚如きが大魔王であるワシにかなう筈がなかろうが、愚か者め! サッサとワシに釣り上げられよ!」
大魔王コサカは釣竿を持つ手に力をリールを巻き取っていく。
すると、海氷の下に薄らと魚影が見えてきた。
「でかい。これはこの南極大陸を統べる主かも知れぬ!」
大魔王コサカは笑顔を浮かべながら、リールを巻き取っていると背後から声が聞こえてきた。
「おい。何をやってるんだ?」
「フハハハハハッ! 見てわからぬか! 今ワシは南極大陸の主を釣り上げようとしているのだ!」
「ふーん。まあいいや、大魔王コサカ。俺の話を聞いてくれ」
「な、なんじゃ貴様! ワシは今忙しいのだ! ワシへの用は後にしろ! もう少しだ、もう少しで南極大陸を統べる主が!」
「あーわかったわかった。ここ寒いんだよ。まずは俺の話を聞けよ。なっ?」
勇者マコトは釣りに夢中になっている大魔王コサカの肩に手を置くと、そのまま後ろに引っ張った。
「ぬ、ぬわっ! な、何をするっ!」
急に後ろに引っ張られバランスを崩した大魔王コサカが、自分の身体を守ろうと、咄嗟に両手で持っていた釣竿を放してしまう。
「おわっ!」
すると、大魔王コサカの手から離れた釣竿は、南極大陸を統べる主と共に海氷の奥深くへと引き摺り込まれてしまった。
「ぎゃああああああああああああ!」
大魔王コサカはその場にへたり込みながら絶叫を上げる。魔王城一城分かけて作った釣竿が海の藻屑となってしまった事に、髪が白く染め上がる程のショックを受けていた。
「あー悪い悪い。釣竿が海に沈んじまったか。まあなんだ……ドンマイ。それで俺の話を聞いて欲しいんだけど……」
全く反省のない勇者マコトの言葉に、大魔王コサカがキレる。
「き、貴様……。貴様ァァァァァァァ! なんと言う事をしてくれたのだ! あれ高かったんだぞ! 魔王城を一城築ける位の値段がするんだぞォォォォォ!」
「わかった。悪かったって! なあ、俺とお前の仲だろ。許してくれよ」
「ゆ、許せるかァァァァァァ! 返せェェェェ! あの釣竿を返せェェェェ!」
大魔王コサカのあまりの剣幕に勇者マコトは舌打ちをしながら「仕方がねーな」と呟くと、アイテムボックスから〔金の斧と銀の斧〕を取り出した。
「むっ!? それは……」
勇者マコトは〔金の斧と銀の斧〕を両手に持つと、大魔王コサカに自慢する。
「ふっ、気付いた様だな。これは……魔王城に飾ってあった〔金の斧と銀の斧〕という魔道具だ!」
「いやいやいやいや! それワシのだから! それワシの魔道具だから! それを取り出すという事は……まさかっ!」
「そう! その通り! こいつを海氷の穴の中に入れウソ泣きをすると……おい。なにぼさっとしてんだ。泣けよ」
「……お前いつか地獄に落ちるぞ。まあよい。ぐすっ、ぐすぅ! これで良いか?」
「もっと泣き喚けって……あと『これで良いか?』なんて言わなくていいから」
大魔王コサカがウソ泣きをしていると〔金の斧と銀の斧〕を投げ入れた穴から、ピカピカ光る金の釣竿をもった男が現れた。
「こんにちは、君が落としたのはこの釣竿かな?」
「違うの。ワシが落としたのはそんな立派な釣竿ではない」
すると男は、次にギラギラ光る銀の釣竿を出してきた。
「ではこの釣竿か?」
「いや。そんな銀色の釣竿ではない」
そう答えると男は感心した面持ちで、ボロボロになった釣竿を取り出す。
「では、この釣竿か?」
「そ、それだ! しかし、なぜそんなボロボロにっ!?」
大魔王コサカがそう問いかけるも男は頷くだけで何も答えない。
「そうか。お前は正直な大魔王だな。正直な君にプレゼントを贈ろう」
男は金の釣竿と銀の釣竿、そしてボロボロになった釣竿を大魔王コサカに渡すと、遥か上空を指さす。
「正直な大魔王に幸があらんことを……」
それだけ呟くと、渡すものを渡した男はこの場から消え去った。
そして男が指さした方向に視線を向けるとそこには……。
大魔王コサカに向かって真っ逆さまに落ちてくる南極大陸を統べる主(巨大魚)の姿がそこにあった。
勇者マコトは一瞬青ざめた表情を浮かべると、大魔王コサカに「まあ後は頑張れ」と呟き、南極大陸から転移魔法でハジマリノ王国へと離脱する。
その場に残された大魔王コサカはと言うと……。
「勇者マコトォォォォォ! 貴様ァァァァァァァ!」
南極大陸を統べる主(魚)が地表に激突した瞬間、とてつもない震動が南極大陸に襲いかかった。
「フハハハハハッ! 大漁じゃ! 大漁じゃあ!」
釣り針に仕掛けを施し海底まで下すと、ほぼ100%の確率で魚を釣り上げる事ができる。
外は極寒。その為、釣り上げた魚はその場で凍ってしまうが、キャッチ&リリースを考えていない大魔王コサカにとってはどうでもいい。
釣竿を握り、今また穴に仕掛けを垂らすと、釣竿が勢いよくしなる。
「フハハハハハッ! これは大物かもしれん!」
大魔王コサカは、穴の底にいる魚に負けじと釣竿に魔力を込め勢いよく引っ張り上げようとする。
「この釣竿は趣味の為だけに、ワシ自ら魔王城一城を建てる事ができる程の金をかけて作成したのだ! 魚如きが大魔王であるワシにかなう筈がなかろうが、愚か者め! サッサとワシに釣り上げられよ!」
大魔王コサカは釣竿を持つ手に力をリールを巻き取っていく。
すると、海氷の下に薄らと魚影が見えてきた。
「でかい。これはこの南極大陸を統べる主かも知れぬ!」
大魔王コサカは笑顔を浮かべながら、リールを巻き取っていると背後から声が聞こえてきた。
「おい。何をやってるんだ?」
「フハハハハハッ! 見てわからぬか! 今ワシは南極大陸の主を釣り上げようとしているのだ!」
「ふーん。まあいいや、大魔王コサカ。俺の話を聞いてくれ」
「な、なんじゃ貴様! ワシは今忙しいのだ! ワシへの用は後にしろ! もう少しだ、もう少しで南極大陸を統べる主が!」
「あーわかったわかった。ここ寒いんだよ。まずは俺の話を聞けよ。なっ?」
勇者マコトは釣りに夢中になっている大魔王コサカの肩に手を置くと、そのまま後ろに引っ張った。
「ぬ、ぬわっ! な、何をするっ!」
急に後ろに引っ張られバランスを崩した大魔王コサカが、自分の身体を守ろうと、咄嗟に両手で持っていた釣竿を放してしまう。
「おわっ!」
すると、大魔王コサカの手から離れた釣竿は、南極大陸を統べる主と共に海氷の奥深くへと引き摺り込まれてしまった。
「ぎゃああああああああああああ!」
大魔王コサカはその場にへたり込みながら絶叫を上げる。魔王城一城分かけて作った釣竿が海の藻屑となってしまった事に、髪が白く染め上がる程のショックを受けていた。
「あー悪い悪い。釣竿が海に沈んじまったか。まあなんだ……ドンマイ。それで俺の話を聞いて欲しいんだけど……」
全く反省のない勇者マコトの言葉に、大魔王コサカがキレる。
「き、貴様……。貴様ァァァァァァァ! なんと言う事をしてくれたのだ! あれ高かったんだぞ! 魔王城を一城築ける位の値段がするんだぞォォォォォ!」
「わかった。悪かったって! なあ、俺とお前の仲だろ。許してくれよ」
「ゆ、許せるかァァァァァァ! 返せェェェェ! あの釣竿を返せェェェェ!」
大魔王コサカのあまりの剣幕に勇者マコトは舌打ちをしながら「仕方がねーな」と呟くと、アイテムボックスから〔金の斧と銀の斧〕を取り出した。
「むっ!? それは……」
勇者マコトは〔金の斧と銀の斧〕を両手に持つと、大魔王コサカに自慢する。
「ふっ、気付いた様だな。これは……魔王城に飾ってあった〔金の斧と銀の斧〕という魔道具だ!」
「いやいやいやいや! それワシのだから! それワシの魔道具だから! それを取り出すという事は……まさかっ!」
「そう! その通り! こいつを海氷の穴の中に入れウソ泣きをすると……おい。なにぼさっとしてんだ。泣けよ」
「……お前いつか地獄に落ちるぞ。まあよい。ぐすっ、ぐすぅ! これで良いか?」
「もっと泣き喚けって……あと『これで良いか?』なんて言わなくていいから」
大魔王コサカがウソ泣きをしていると〔金の斧と銀の斧〕を投げ入れた穴から、ピカピカ光る金の釣竿をもった男が現れた。
「こんにちは、君が落としたのはこの釣竿かな?」
「違うの。ワシが落としたのはそんな立派な釣竿ではない」
すると男は、次にギラギラ光る銀の釣竿を出してきた。
「ではこの釣竿か?」
「いや。そんな銀色の釣竿ではない」
そう答えると男は感心した面持ちで、ボロボロになった釣竿を取り出す。
「では、この釣竿か?」
「そ、それだ! しかし、なぜそんなボロボロにっ!?」
大魔王コサカがそう問いかけるも男は頷くだけで何も答えない。
「そうか。お前は正直な大魔王だな。正直な君にプレゼントを贈ろう」
男は金の釣竿と銀の釣竿、そしてボロボロになった釣竿を大魔王コサカに渡すと、遥か上空を指さす。
「正直な大魔王に幸があらんことを……」
それだけ呟くと、渡すものを渡した男はこの場から消え去った。
そして男が指さした方向に視線を向けるとそこには……。
大魔王コサカに向かって真っ逆さまに落ちてくる南極大陸を統べる主(巨大魚)の姿がそこにあった。
勇者マコトは一瞬青ざめた表情を浮かべると、大魔王コサカに「まあ後は頑張れ」と呟き、南極大陸から転移魔法でハジマリノ王国へと離脱する。
その場に残された大魔王コサカはと言うと……。
「勇者マコトォォォォォ! 貴様ァァァァァァァ!」
南極大陸を統べる主(魚)が地表に激突した瞬間、とてつもない震動が南極大陸に襲いかかった。
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