トラウマを抱えたDKがトイレに入れない話

こじらせた処女

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第三章

1

「っっうわぁぁ!!」
 上半身が勢いよく跳ねる。暗がりの部屋で、俺の心臓の音だけが聞こえる。
 また、あの夢。季節は夏に向かっているのに、寝間着は汗でびしょびしょなのに、寒い。
 こうなってしまっては電気をつけないと落ち着けない。スイッチを押して目に飛び込む光に眉をひそめる。
 あの日から2カ月。未だにあの日の夢を見る。
「メンタルクリニック…」
最近の検索履歴はもっぱらこれだ。メンタルクリニック、すなわち精神科医
そろそろ向き合わないといけない。分かっている、分かっているんだけれども…
「親にバレたらなぁ…」
 PTSDの後遺症は数か月程度、しかし数年経っても治らないということもザラだという。もしもずっとこの症状を抱えていくんだとしたら…それだけでゾッとする。最近は友人の外出に誘われても行けなくなったし、何より今年は修学旅行がある。行動が制限されるというのはジワジワと神経を蝕んでいくもの。
「やだな…」



「うん、時田は成績も良いし今から頑張れば良いところ狙えると思うぞ。大学とかはもう決めたのか?」
「まだ決まってなくて…実家から通いたいとは思ってるんですけど…」
「まあここから通えるところはいっぱいある。夏休み、いくつかオープンキャンパス、いってこい」
「そうします」
「で、それと、な。最近、どうだ?」進路相談もそこそこに、例の話。心配そうな表情。自分が欠陥を抱えている、そう思えて心が痛い。
「まだ、行けてない、です…」
「そうか。あの部屋ならいくらでも使って良いからな。水分だけは取っておけよ。熱中症は命にかかわる」
「ありがとうございます…でも、そろそろ何とかしないとって、なるんですけど…病院って行ったら親に見つかるんでしょ?」
「そうだな。親御さんに相談、は難しいか?」
「…」
「まあデリケートなことだからな…」
「おれ、ほんとにどうすれば良いんでしょうか…最近、外に出るのも怖くて…」
「本来はなぁ…警察とか家族に相談しないといけないんだけどな…」
分かっている、分かっているけど…ギュッと机の下で手を握りしめる。
「時田、夏休みは空いてるか?」
「…まあ…空いてます…」
「先生な、大学時代にカウンセラーの資格取ったんだよ」
「そんなのもあるんですね、すごい」
「まあ簡単なやつだけどな。本当はその手のプロに任せるべきなんだろうけど…補講のような形で、どうだ?週に何日か、カウンセリングをするのは」
「…いいんですか…?」
「何もしないよりはな。良いぞ、うちの担当の部活は午前中までだし」
正直カウンセリング自体、信用していない節がある。でも、誰かに話せるっていうことが凄く安心する。今ならこれの必要性が分かる気がする。
 断る理由が無かった。
「よろしく、お願いします」

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