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パワハラ上司にいびられている最中におしっこしたくなった新入社員は
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上半期が終わり、風が少しずつ冷たくなっていく。俺は研修期間を終え、晴れて一人前の会社員だ。そんな時、このオフィスの部長が急遽変わることとなった。
「普段は変わるとしても年ごとなんだがなぁ…系列のa社から要請が入ったからうちから何人か抜けることになったんだ」
最近また腹が丸くなった部長が言う。
「そこで兼ね合いがあって天野くんは隣の部署にその期間だけ移動となるんだが、問題はないか?」
「はい、問題ないですよ。ただ…」
ちらり、と俺の方を見る。
「高野くんが心配かなーって」
本当に心配なら心配そうな顔をしろ。いつものニヤニヤをこちらに向けてくる。
「だ、大丈夫ですよ!!そんけいする先輩に教育していただいたんですから!!」
「ほんとうか~?」
「ははは、よろしく頼むよ高野くん。最近仕事も早くなってきて、有望株の一人なんだから」
「あ、ありがとうございます」
「まあ、フロアは違うが同じ場所なんだから何かあったら天野くんに頼りなさいね」
「そーだぞー、遠慮なくこいよー」
このニヤニヤ顔を見ずに済む日が来てせいせいする。でも…
(ちょっとさみしい…かも…)
なんて思うわけがない!頭をブンブンとふって、軌道修正にいそしんだ。
「え…?あの…」
「だーかーらー。君、もういいよ。仕事が遅すぎる。コーヒー淹れてきて」
「はい…」
新しい部長に変わってから、怒られることが多くなった。他の同期はそんなことないのに、俺だけ。さっきは仕事が遅いと呆れられ、今日やる業務を全てとられて部長のコーヒーを淹れさせられている。
「砂糖、一本。ミルク、半カップ」
使われない半端なミルクを捨てる。部長の好みは何度も怒鳴られて覚えた。お茶汲みなんていつの時代だよ…俺以外、誰もしていないのに。それだけ役立たずだったのかな…天野先輩の後輩だから、褒められただけなのかな…
「ここ!!違うだろ!!またお前かよ…ほんっとグズだな!!」
できた資料を見せに行った瞬間、それを机に何度も叩きつけられ、罵られる。
「申し訳、ありません…」
周りの視線が一度集まり、すぐに視線は各々のパソコンに戻る。同期の宮島が、心配そうにチラチラと見てくる。同じ時期に入社したのに、俺だけが怒られている、その事実がまた、キツい。
「あーあ、お前が仕事おっそいせいで、まーた作業が滞る…宮島ぁ」
「は、はい!」
「ごめんなぁー?このノロマの分の仕事までやってもらっちゃって…」
「はぁ…」
「宮島一人で高野3人ぐらい必要なんじゃないかー?」
「そんなこと…」
「まあ、宮島には期待してるから。頑張れよ」
「はあ…」
俺のことを気にしてか、曖昧な返事で濁す宮島。そんなことを気にさせてしまう俺はもう、お荷物でしかないのだ。
「普段は変わるとしても年ごとなんだがなぁ…系列のa社から要請が入ったからうちから何人か抜けることになったんだ」
最近また腹が丸くなった部長が言う。
「そこで兼ね合いがあって天野くんは隣の部署にその期間だけ移動となるんだが、問題はないか?」
「はい、問題ないですよ。ただ…」
ちらり、と俺の方を見る。
「高野くんが心配かなーって」
本当に心配なら心配そうな顔をしろ。いつものニヤニヤをこちらに向けてくる。
「だ、大丈夫ですよ!!そんけいする先輩に教育していただいたんですから!!」
「ほんとうか~?」
「ははは、よろしく頼むよ高野くん。最近仕事も早くなってきて、有望株の一人なんだから」
「あ、ありがとうございます」
「まあ、フロアは違うが同じ場所なんだから何かあったら天野くんに頼りなさいね」
「そーだぞー、遠慮なくこいよー」
このニヤニヤ顔を見ずに済む日が来てせいせいする。でも…
(ちょっとさみしい…かも…)
なんて思うわけがない!頭をブンブンとふって、軌道修正にいそしんだ。
「え…?あの…」
「だーかーらー。君、もういいよ。仕事が遅すぎる。コーヒー淹れてきて」
「はい…」
新しい部長に変わってから、怒られることが多くなった。他の同期はそんなことないのに、俺だけ。さっきは仕事が遅いと呆れられ、今日やる業務を全てとられて部長のコーヒーを淹れさせられている。
「砂糖、一本。ミルク、半カップ」
使われない半端なミルクを捨てる。部長の好みは何度も怒鳴られて覚えた。お茶汲みなんていつの時代だよ…俺以外、誰もしていないのに。それだけ役立たずだったのかな…天野先輩の後輩だから、褒められただけなのかな…
「ここ!!違うだろ!!またお前かよ…ほんっとグズだな!!」
できた資料を見せに行った瞬間、それを机に何度も叩きつけられ、罵られる。
「申し訳、ありません…」
周りの視線が一度集まり、すぐに視線は各々のパソコンに戻る。同期の宮島が、心配そうにチラチラと見てくる。同じ時期に入社したのに、俺だけが怒られている、その事実がまた、キツい。
「あーあ、お前が仕事おっそいせいで、まーた作業が滞る…宮島ぁ」
「は、はい!」
「ごめんなぁー?このノロマの分の仕事までやってもらっちゃって…」
「はぁ…」
「宮島一人で高野3人ぐらい必要なんじゃないかー?」
「そんなこと…」
「まあ、宮島には期待してるから。頑張れよ」
「はあ…」
俺のことを気にしてか、曖昧な返事で濁す宮島。そんなことを気にさせてしまう俺はもう、お荷物でしかないのだ。
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