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寝たくないと泣いていた男の子が寝息を立てて早30分。気持ちよさそうに熟睡している中起こすのは忍びないが、約束である。小さく耳元で名前を呼び、肩を叩くが起きる気配はない。
「…まあいっか」
彼に必要なのは睡眠だ。途中起こしてしまうとそれだけ質は下がる。たとえ失敗してしまっても、長く寝られる方がいい。
「…っ、んぅ、」
しかし、彼のトイレのサインは案外分かりやすかった。布団の中で落ち着きなくソワソワし出し、時折ギュッと縮こまる。
「おーい、トイレいこっか」
小さな子供は夜の失敗を避けるため、お泊まり保育の時におねしょ疑惑のある子供を夜中起こす事があると保育園の先生をしている大学の友人が言っていた。
「ぅ…?」
半分開いた目。しかし体力が消耗されているのかすぐに閉じてしまう。
「あっ、おーい、おーい、」
「おちっこ、ぅ…、っ~、」
布団を剥がすと彼の手元は年甲斐もなく前を握りしめて、モジモジと足を擦り合わせている。
(そうだ、)
「といれ、といれぇ、どこぉ?」
どんどんと激しくなる動き。夢の中でも漏れそうなのだろう。咄嗟に枕元の洗面器をとって、握りしめている手をトントンと叩いた。
「着いたよトイレ。お手手離せる?」
「~、はなせ…ぅ、」
フッと力の抜けた手のひらを剥がしてゴムのズボンをずり下ろす。性器の先を洗面器の受け皿に乗せて、少し膨らんだ下腹部を撫でた。
「トイレ、着いたよ。しー出来そ?」
「ん、しー、でる、」
「ん、そうそう。大丈夫。間に合ったねー」
「ん、ぅ、っふ、ぅ…」
夢の中の住人との会話は初めてで、本当に会話が出来るんだと感心してしまった。膀胱のあたりをマッサージするように指の先でクルクルと回すと、分かりやすく性器の先が震え、元気な水が飛び出した。
「んっ、っう~、」
「おしっこちゃんと出来たね。偉いよ~、」
「んふ、できた、ぁ、ぅ、」
ひとしきり出してスッキリしたのだろう。腕がダラリと落ちて、穏やかな寝息が戻る。雫が垂れている先をトントンと押さえて拭き、パンツとズボンを上げて、布団をかけ直した。
「…といれ、」
ふと、下腹部の重みで意識が浮上した。良かった、ちゃんと間に合いそう。
「ぅ、んぇ…?」
何かおかしい。何か下がスースーする。それに。
「ん、良いよ。しーして良いよ」
耳元から聞こえるのは、和樹さんの声…
「っ、!?、え!?」
慌てて飛び起きると、性器は丸出しで。それに、何故か洗面器を持っている和樹さん。
「ぁ、ぅ、え、なに、」
「ああおはよ」
「おはよじゃなくて…なにして……………ぁっ、おしっこ、」
尿道ギリギリにまで迫ったおしっこは、噴射3秒前。今からトイレに走って間に合うほどの余裕は無くて、慌てて洗面器に性器を押し付ける。
っしぃいいいいいいいいいいいっ!!!!
「ぁ、う、ぁああっ、」
何で俺、こんな格好で。トイレ起こしてくれるって言ったじゃん。
(ぁ…あの記憶…)
薄らぼんやりと夢の中の記憶がある。トイレを慌てて探してるんだけど、和樹さんが見つけてくれて、そんで何故か一緒におしっこするっていう夢。夢の中の自分は泣きながらおしっこおしっこと叫んでいた気がする。そんで、和樹さんが、しーしーって。もしかして、それって、今みたいに。
「ゆめじゃ…なかった…?」
俺の顔はさぞかし赤いことだろう。恐る恐る和樹さんの顔を見ると、にっこりと微笑まれた。
「ん、よくできました。顔色だいぶ良くなったね。熱測ってみよっか」
35.6℃。平熱だ。冷静になった頭はここ1日の愚行ばかりを記憶している。
「お腹すいたよね。晩御飯にしようね」
たぷんと水面の揺れた洗面器を持っていく和樹さん。出来るだけ触れないようにしてくれている。それが居た堪れなくて仕方が無かった。
「…まあいっか」
彼に必要なのは睡眠だ。途中起こしてしまうとそれだけ質は下がる。たとえ失敗してしまっても、長く寝られる方がいい。
「…っ、んぅ、」
しかし、彼のトイレのサインは案外分かりやすかった。布団の中で落ち着きなくソワソワし出し、時折ギュッと縮こまる。
「おーい、トイレいこっか」
小さな子供は夜の失敗を避けるため、お泊まり保育の時におねしょ疑惑のある子供を夜中起こす事があると保育園の先生をしている大学の友人が言っていた。
「ぅ…?」
半分開いた目。しかし体力が消耗されているのかすぐに閉じてしまう。
「あっ、おーい、おーい、」
「おちっこ、ぅ…、っ~、」
布団を剥がすと彼の手元は年甲斐もなく前を握りしめて、モジモジと足を擦り合わせている。
(そうだ、)
「といれ、といれぇ、どこぉ?」
どんどんと激しくなる動き。夢の中でも漏れそうなのだろう。咄嗟に枕元の洗面器をとって、握りしめている手をトントンと叩いた。
「着いたよトイレ。お手手離せる?」
「~、はなせ…ぅ、」
フッと力の抜けた手のひらを剥がしてゴムのズボンをずり下ろす。性器の先を洗面器の受け皿に乗せて、少し膨らんだ下腹部を撫でた。
「トイレ、着いたよ。しー出来そ?」
「ん、しー、でる、」
「ん、そうそう。大丈夫。間に合ったねー」
「ん、ぅ、っふ、ぅ…」
夢の中の住人との会話は初めてで、本当に会話が出来るんだと感心してしまった。膀胱のあたりをマッサージするように指の先でクルクルと回すと、分かりやすく性器の先が震え、元気な水が飛び出した。
「んっ、っう~、」
「おしっこちゃんと出来たね。偉いよ~、」
「んふ、できた、ぁ、ぅ、」
ひとしきり出してスッキリしたのだろう。腕がダラリと落ちて、穏やかな寝息が戻る。雫が垂れている先をトントンと押さえて拭き、パンツとズボンを上げて、布団をかけ直した。
「…といれ、」
ふと、下腹部の重みで意識が浮上した。良かった、ちゃんと間に合いそう。
「ぅ、んぇ…?」
何かおかしい。何か下がスースーする。それに。
「ん、良いよ。しーして良いよ」
耳元から聞こえるのは、和樹さんの声…
「っ、!?、え!?」
慌てて飛び起きると、性器は丸出しで。それに、何故か洗面器を持っている和樹さん。
「ぁ、ぅ、え、なに、」
「ああおはよ」
「おはよじゃなくて…なにして……………ぁっ、おしっこ、」
尿道ギリギリにまで迫ったおしっこは、噴射3秒前。今からトイレに走って間に合うほどの余裕は無くて、慌てて洗面器に性器を押し付ける。
っしぃいいいいいいいいいいいっ!!!!
「ぁ、う、ぁああっ、」
何で俺、こんな格好で。トイレ起こしてくれるって言ったじゃん。
(ぁ…あの記憶…)
薄らぼんやりと夢の中の記憶がある。トイレを慌てて探してるんだけど、和樹さんが見つけてくれて、そんで何故か一緒におしっこするっていう夢。夢の中の自分は泣きながらおしっこおしっこと叫んでいた気がする。そんで、和樹さんが、しーしーって。もしかして、それって、今みたいに。
「ゆめじゃ…なかった…?」
俺の顔はさぞかし赤いことだろう。恐る恐る和樹さんの顔を見ると、にっこりと微笑まれた。
「ん、よくできました。顔色だいぶ良くなったね。熱測ってみよっか」
35.6℃。平熱だ。冷静になった頭はここ1日の愚行ばかりを記憶している。
「お腹すいたよね。晩御飯にしようね」
たぷんと水面の揺れた洗面器を持っていく和樹さん。出来るだけ触れないようにしてくれている。それが居た堪れなくて仕方が無かった。
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