KARMA///Acceleration

時雨 澪

文字の大きさ
6 / 6

6.救援へ

しおりを挟む

 魔者の出現再開から1週間後、ライトはまたベリーに呼び出され個室へと呼ばれていた。

 「来てくれてありがとう。ライト君。」

 何時になく真剣な表情で、ライトを呼ぶベリー。コレは俺の知らない何かが起こっているのかもしれない。

 「実は隣の村、イータの村から救援要請がきました。」

 「救援要請?まさかもう既に魔者の襲撃が?」

 ベリーの表情は優れない。
 
 「そうとも言えるし、そうでないともいえるわ。」

 曖昧な答えにライトは怪訝な表情を向ける。

 「どちらでもない?どういう事ですか?」

 この情報では何も分からない。

 「実は毎晩1人ずつ村から村人が消えて行くらしいの。」

 「まさか、魔者に?」

  「私とイータ村の代表もそう考えています。」

 ここからが本題だと一度息を吐き。

 「この間の人間魔者の件も考慮した所、最近移住して来た村人を代表の家に集め生活させた所、毎晩代表の家から何者かが抜け出している痕跡を発見しました。」

 「ではその家にいる何者かが、あの人間魔者だと?」

 ベリーは肯定した。

 「そうだと思うわ。なので実際に人間魔者を倒した貴方に見極めて欲しいそうよ。」

 そういう事かと納得する。

 「その依頼は見極めるだけではなく。」

 「はい、魔者の討伐まで含まれています。」

 受けなければ毎晩犠牲者がでつづける。

 受けるしか無いだろう。

 「分かりました。準備できしだいイータの村に向かいます。」

 「ありがとう。気をつけて。ごめんなさいね、辛い役を押し付けて。」

 気にする事はないと伝える。

 「魔者は殺すだけです。」

 そうベリーに伝え度の準備に戻るのだった。



 ☆☆☆


 
 旅の準備を終えゼータの村を出立して半日くらいだろうか。

 そろそろ空も暗くなり始め今日の野営場所を決めなくてはならない。

 そう思い歩をすすめていると、森の奥から戦闘音が聞こえてくる。

 気配からすると集団の魔者に1人では応戦しているようだ。

 急ぎ向かい加勢する為に戦う人物の前に飛び出す。

 「君は!?」

 「な!?」

 2人の驚愕が重なる。

そこで戦う人物は先日、人間魔者シュバルツと戦う際に共闘した、フードの女であった。

 あの時は気づかなかったかったが深く被ったフードの奥は仮面を付けている。

フードには認識阻害、仮面には変声がふよされていそうである。

 相当高度は魔道具である。アーティファクトのたぐいだろう。

 しかし、あの時の彼女の実力ならこれくらいの魔者に苦戦はしなさそうではあるが何か事情があるのだろう。

 「通りかかった縁だ。手伝おう。俺が右の5体殺る。キミは左をお願いする。」

 「わかった。右はお任せしよう。左の5人は引き受けよう。」

 ??言い回しに引っ掛かるものを感じるが今は気にしている時ではない。

 素早くてきに切り込み魔者の体を切り裂く。

 振り返るとフードの女も魔者たちを倒し終えた後だった。

 女は何故か魔者が光の粒子になって消える際に手を合わせ祈りを捧げている。

 それが終わると森のなかに走りさろうとする。

 「おっと、それは無いんじゃないか?」

 俺が肩を掴み女をとめると

 こちらを睨むかのように振り返る。

 「助けられた事には礼を言いますが貴方と馴れ合う気はありません。」

 拒絶の言葉に少し怯みそうになるが堪え反撃する。

 「こっちとしては、そうゆう訳には行かない訳よ。あのシュバルツとか言う人間魔者とも何か関わりありそうだったし、今回の魔者達の進行とも関係あるんじゃないの?」

 問い詰めるが答える気は無いとそっぽを向く。

 「せめて目的だけでも知らなきゃ、はいさよならとはなんないのよ。頼むよ姫様。」

 「くっ!」

 姫様呼びが相当聞くのか少し怯んだように見える。

 「何をかくしてるんですか姫様。さぁ洗いざらい話してください姫様。分かってるんですか姫様!」

 我慢の限界が来たのか遂にブチ切れる。

 「その姫様ってやめてください!!!私はそんないいものではありません!次姫様呼びしたら斬りますよ!」

 ゼェゼェと息を切らしながらまくし立て落ち着いたかと思うと、はぁー、と長いため息をつく。

 「分かりました。言いますよ。私の目的はあなた達の言い方だと魔者と人間の争いをとめる事です。」

 「戦いをとめる?どうやって?」

 止めれるものならもう誰か止めている。そんな方法があるのだろうか。

 「魔者たちの希望を打ち砕けばいいのです。つまりは王の撃破これをもって全ての魔者達は崩壊していくでしょう。魔者達は魔王が居るからこそ存在出来ているのだから。」

 魔王がいるから存在できている?

 「それはつまり、魔王を倒せば魔者は消えると考えていい?」

 「そうよ。」

 短く簡潔に答えを放つ。

 しかしそれは。

 「ソースはあるのか?」

 俺にとっていや、人類にとっても大切な確実性だ。未だ魔王の存在も本当か分からない。

 「あなた達は言っても信じられないわ。そんなソースに意味はあるかしら?」

 確かに意味はない。しかし今の言い回しに引っ掛かりを覚える。

 「確かに無いな。じゃあ答えは一つだけだな。」

 ガコン、と歯車の噛み合う音が鳴り響く。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

処理中です...