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5.鍛冶屋の頑固ジジイ
しおりを挟む今日は依頼を受けずにちょっとした用事を済ませようと村はずれの小屋に訪れていた。
その小屋の周辺に家はほとんど無く、基本的に誰も近ずかない。
そんな場所になんの用かと言うと、この小屋に住むアルム爺さんに刀をみせるためである。
ここに住むアルム爺さんは凄腕の鍛冶屋なのだが、気に入った物にしか仕事を受けない変わり者で、ベリーが言うには昔はえらく高名な鍛冶師だったという。
小屋に近づくと、カン、カン、カンと小気味よく鉄を打つ音が聞こえてくる。
小屋をノックしても気づかないので、いつも通りそのまま小屋に入りカウンターで待たせて貰うことにする。
小屋の1部は武器防具屋として解放されている。
「入るぞ爺さん。刀のメンテできた。いつものたのむよ。」
一応、鍛冶場の方まで入っていき一声かけるとこちらを見ずに手を上げ作業に戻っていった。
一段落したら顔を見せるだろう。俺は店に戻り爺さんを待つ事にする。
☆☆☆
待つ事10分、鍛冶場からアルム爺さんが店に顔を出しに来た。
「なんじゃ、もう来よったのかつい先日といだばかりだろう。」
呆れたとばかりに刀を受け取り状態を確認する。
「魔者がでよったか。それにこれは。」
考え込む爺さんが1人事を呟く。
「流石爺さん、何を切ったかお見通しか。」
「バカタレ!誰にものを言っておる。とぎ直すからちょっと待っとれ。」
そう言い刀をもち鍛冶屋へと消えていき20分後には戻ってきた。
「コレでいいじゃろ?」
刀を返され、自分でも状態を確認する。
「ああ、完璧。ありがとう!」
素直に例を良い代金を払う。
「しばらく村を離れるのか?」
唐突に爺さんは俺に問いかける。
「ああ、他の町をめぐってベリーさんの手紙を届けてまわる事になってな。」
「そうか。ならコレを持っていけ。」
そう言い爺さんは包みを俺に渡す。
「それに、刀の手入れ道具を入れてある自分でやれ。」
「おお、助かるよ爺さんありがとう。」
俺が素直にお礼を言うと恥ずかしそうに目を逸らす。ツンデレか?いい歳して。
ライトが帰り静けさが戻る店内でアルムは1人思考にふける。
「あの刀やはり、遂に受肉体が動きだしたか、儂は逃亡者。何方にも肩入れできんが。」
後悔を滲ませる。それは逃げ出したことへか、それとも。
「真の人にならんことを。」
ただ、願いは昔と変わらない。
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