ユニコーンだけど、めっちゃ清らかな子が死にかけてたので助けたら男の娘だったし懐かれた

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我はユニコーン、本日処女を救う

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 我が歩くと硬い地面はカツカツと小気味いい音を立て、日が刺せば我が美しき角は光をはじいて輝きを増す。

 そう、我はユニコーン!

 清らかな処女を愛し、穢れた水を清め、清らかな処女を愛し、あらゆる病を癒し、清らかな処女を愛し、時に憤怒の象徴ともされ、清らかな処女を愛する誇り高き獣である!

「.......む?」

 そんな我の棲む森に、何やら覚えの無い気配がする。我が擁する森は豊潤なため、愚かな人間の冒険者が狩りに侵入することもあるが.......この気配、何かおかしい。

 まるで、惹き付けられるような。魅了されるような。
 そんな、不思議な感覚がする。

 気が付けば、我は導かれるようにその気配の元へと歩を進めていた。



「う.......ぅ.......」

 逸る気持ちに乗せられて駆け足で辿り着いたその場所には、一人の人間が傷付き倒れていた。
 ──それを見た我は──


(ワーーーーイ! 処女だーーーー!!!)

 歓喜した。


(夜空のように深い漆黒でありながら星のような煌めきを持つ髪! 青ざめているとはいえそれを抜きにしても白く美しい肌! 苦しみに細められてはいるものの大きな、これまた美しい黒曜石のような瞳! 血に濡れてはいるが細身で清楚な肢体! 完璧なまでに清らかな、明らかなる処女ではないかーーー!!! ウヒョーーーーーー!!!!)

 我はユニコーン。乙女大好きユニコーンだ。
 我が生まれ育ったこの森は豊潤ではあるが険しく、乙女など決して訪れることはない。つまり、我にとっては初めて見る、生身の乙女だ。興奮しない訳がない。

「.......っ、ぅ.......」

 と、我が興奮している間にも、傷を負い血に塗れた処女は弱っていく。一刻も早く治療してやらねば。


「あ、あー.......んん、.......き、清らかなる人間よ」
「.......、.......?」
「この森の主、ユニコーンが其方を癒してやろう」

  声を掛けると、弱々しい動きで乙女は我を見上げた。hoooooooo! 目が合っちゃった! 処女と目が合っちゃったぞ我!

「.......乙女よ、もう苦しむことはない。“エクストラヒール”」
「──ぁ、.......」

 癒しの魔法を掛けてやると、乙女は驚いたように目を瞬かせ──ふ、とそのまま意識を失ってしまった。



「ク、ッククク.......ハハハハハハハハハ! 完璧ではないか!」

 癒しを終えた我は意識を失った乙女を背に乗せ、己の住処へと運び込んでやった。そして配下の魔物たちに急ぎ誂えさせた寝床に、壊れ物を扱うようにそっと乙女を横たえさせてやる。
 穏やかな寝息をたてながら眠る乙女を満足感に溢れる気持ちで見詰めていると、配下の魔物たちが次々と貢物を運んで来た。
 甘い果実に人間たちから奪い取った宝飾品、森の近くを通りかかった隊商から奪った衣類や嗜好品の数々。ああ、乙女が目を覚ますのが楽しみでならない。

「乙女よ、乙女。我が為にこの地に現れた乙女」

「疾く、疾く目覚めよ.......」


 この時の我は未だ知らない。

 ユニコーンは清らかなる乙女を好み、相対した人間が処女かどうかを判別できるが──相手の性別を読み取ることはできないのだと。

 そう、眼前で眠る乙女──否、“少年”が、世にも愛らしい容姿をした人間の“男”であることなど。
 我は、知る由もなかった。
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