ユニコーンだけど、めっちゃ清らかな子が死にかけてたので助けたら男の娘だったし懐かれた

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僕にはわからないことだらけ

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 世の中は分からないことだらけだ。
 空が青くて綺麗なのも、うさぎがふかふかでかわいいのも、穏やかな風が心地よいのも、理屈や証明はあるけれど理解はなかなかに難しい。
 ごくごく普通の家庭で、普通に育てられた僕がこんなにも四角四面な性格に育った理由もわからないし、




 ──友人が紛失したという財布が、僕の鞄から出てきた理由もまた、わからない。




 わからない。
 わからない。
 どうしてこんなに痛くて苦しい目に遭うのか。

 わからない。
 どうして。




 .......どうして.......?






「.......っ、ここ、は.......?」


 気が付くと、僕は見知らぬ洞窟のような場所にいた。
 ような、と曖昧な表現になってしまうのは、ここがただの洞窟ではなさそうだからだ。僕の身体は何か柔らかい布の上に横たえられており、上体を起こすと周囲には様々なものが置いてあるのがわかった。
 どうやら僕は食べ物や衣類、きらびやかな宝飾品に囲まれて眠っていたらしい。


「.......???」

 状況が理解できない。
 僕は確か、学校にいた筈で──

(.......いや、違う)

 違う。学校にいたことは間違っていないけれど、それは僕の最も新しい記憶ではない。
 学校でたくさんの視線に晒されながら俯いていた僕は、教室の床に奇妙な紋様が浮かび上がってきたその瞬間を覚えている。

 そして、次の瞬間。
 唐突に、周囲の景色が人工物に溢れた教室から深い森のような景色に変わったことも。

 ざわめくクラスメイトたちと、座っていた椅子すらどこかに掻き消えて地面にへたり込みながらただただ唖然とするしかなかった僕。
 

 そんな場所に突如現れた、──奇妙で恐ろしい、化け物としか言い様のない生物。


 覚えているのはその生き物のおぞましい見た目と、泣き叫ぶ誰かの声。
 そして、逃げようとした僕がその生き物の眼前に、まるで差し出すかのように突き飛ばされたことだけだ。


(.......みんなは逃げられたのかな)

 そこから先のことはよく覚えていないけれど、少なくとも今の僕に怪我はない。もしかしたらあの生き物はただ偶然僕達と出会しただけで、人に危害を加えるような生き物ではなかったのかもしれない。
 .......もしそうだったら悪いことをしたな。見た目だけで怖がって、おぞましいだの何だのという感想を持ってしまうなんて。


(.......それにしても、ここはどこなんだろう)




 全く、空気の読めない友人もいたものだ!
 せっかく乙女を眺めながら乙女の意識が戻るのを待っていたというのに、我を呼び出して森に侵入者がいただの何だのと!
 我は今、1秒でも長く乙女の寝顔を目に焼き付けていたいというのに!

 カツカツと蹄を慣らして歩いていた我だが、ふと乙女が眠っていることを思い出して足音を抑えた。早く目覚めてほしいのは事実だが、叩き起したい訳ではないのだ。
 贈り物は用意出来ているし、配下の魔物に命じて鬣の一筋に至るまで念入りにブラシをかけさせピカピカになった我を早く乙女の瞳に映したいところではあるが、あんなにも深い傷を負っていたのだ。無理をさせてはならない。ゆっくりと身体を休め──

 む?


「.......お」
「!」
「起きているではないか乙女よーーー!!!」
「っ!?」

 乙女起きてた!我歓喜!!!ヒャッホゥ!!!
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