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ひとつのギルドができるまで
みせられた
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「ごごごめんなさい、僕夢中になっちゃって、あの、ラテさんのこと無視してたわけじゃ……!」
「うんうん、大丈夫だよー」
ヒュウガはラテに謝り倒していた。
またしても、悪癖が出てしまったのだ。
「あのあの、僕絵を描くのが大好きで……気が付くと何時間も経ってたりして、あれからどのくらい経ちましたかどのくらい待たせてしまいましたか!?」
「はいはーい、おちついておちついてー」
ぺこぺこと頭を下げるヒュウガを落ち着かせるように、ラテはのんびりとした声を出す。謝られるよりも、彼には気になることがあった。
「それより、絵はできたーのー? 完成したならボクにも見せてほしーいなー」
「あ、はい是非!」
出会ったばかりながらとても仲良くなれる予感のするこの少年が、どんな絵を描いたのか。ラテはそれが知りたかった。
そして、目線を合わせるようにしゃがんだヒュウガの手元を覗き込む。
とても軽い気持ちで。
「なにこれ」
Monster Legendsの標準機能で搭載されたメモ帳は、そう高機能なものではない。プレイヤー間の相談や、ちょっとしたメモ書きに使える程度のそれだ。描く線の太さも、使える色も一種類しかない。
にも関わらず、ヒュウガの手の中には美しく彩られた世界があった。
その一本一本にすら見蕩れてしまうような様々な線からハジマリの古都が持つ、少し煤けたような空気感すら感じる程の凄味を感じる。魚眼レンズで撮影した写真のように構成されたその絵は、単色で描かれたとは思えない程の鮮やかさでもってラテの瞳を灼いた。着色などひとつもされていない筈の空が、どこまでも蒼く透き通って見える。初めて目にした時あんなにも感動したMonster Legendsのグラフィックが見劣りしてしまう程の繊細さが、視線を逸らすことを許さない。
「……なに、これ」
見た目からしてそう長くは生きていない、恐らくは自分よりも年下であろう、青年の域に満たない子供。そんな歳頃の人間が、ここまでの物を創り出した。
ラテは初めて、隣の少年が怖いと思った。
「うんうん、大丈夫だよー」
ヒュウガはラテに謝り倒していた。
またしても、悪癖が出てしまったのだ。
「あのあの、僕絵を描くのが大好きで……気が付くと何時間も経ってたりして、あれからどのくらい経ちましたかどのくらい待たせてしまいましたか!?」
「はいはーい、おちついておちついてー」
ぺこぺこと頭を下げるヒュウガを落ち着かせるように、ラテはのんびりとした声を出す。謝られるよりも、彼には気になることがあった。
「それより、絵はできたーのー? 完成したならボクにも見せてほしーいなー」
「あ、はい是非!」
出会ったばかりながらとても仲良くなれる予感のするこの少年が、どんな絵を描いたのか。ラテはそれが知りたかった。
そして、目線を合わせるようにしゃがんだヒュウガの手元を覗き込む。
とても軽い気持ちで。
「なにこれ」
Monster Legendsの標準機能で搭載されたメモ帳は、そう高機能なものではない。プレイヤー間の相談や、ちょっとしたメモ書きに使える程度のそれだ。描く線の太さも、使える色も一種類しかない。
にも関わらず、ヒュウガの手の中には美しく彩られた世界があった。
その一本一本にすら見蕩れてしまうような様々な線からハジマリの古都が持つ、少し煤けたような空気感すら感じる程の凄味を感じる。魚眼レンズで撮影した写真のように構成されたその絵は、単色で描かれたとは思えない程の鮮やかさでもってラテの瞳を灼いた。着色などひとつもされていない筈の空が、どこまでも蒼く透き通って見える。初めて目にした時あんなにも感動したMonster Legendsのグラフィックが見劣りしてしまう程の繊細さが、視線を逸らすことを許さない。
「……なに、これ」
見た目からしてそう長くは生きていない、恐らくは自分よりも年下であろう、青年の域に満たない子供。そんな歳頃の人間が、ここまでの物を創り出した。
ラテは初めて、隣の少年が怖いと思った。
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